5倍になった収入

2014-11-19 執筆者:小倉 基弘

先般、弊社のサービスを通して数年前にプライベートエクイティ(PE)及び投資銀行(IBD)に入られた方3名とお会いする機会がありました。

Aさんは現在35歳ですが5年程前に日系の証券会社からPEに転職されています。この5年間はPEにとってもリーマンショック後の厳しい状況が続いていた時期ですが入社されたPEは着実に成果を出しており、収入もその成果に報いるようにフロントメンバーには配分され、日系証券での年収は1,000万円弱であったのが2013年度には約5,500万円になりました。
Bさんは8年前に異業種から大手日系証券会社の投資銀行部門に入社され、その後、順調にプロモーションして昨年ディレクターになっています。8年前約800万円であった年収が2013年度は約3,000万円です。
Cさんは7年前に日系証券から外資系PEに転職しています。その後、実績を積まれ昨年MDに昇進。ベース給与も1,000万円単位で上がっていますが、キャリーのみで億単位の収入を得られています。

日本人の給与所得者の年齢別平均給与は30代で約460万円、40代で約600万円(出所「転職サービスDODA」2013年度)であることを考えると上記の方々は破格の給与を得ていることになります。
もちろん収入が上がったからといって転職自体が成功したわけではありませんが、それぞれの方は数年前に得られた機会を活かし努力された結果、今の収入を手にされています。転職当初は前職の年収とそれほど大きな差はありませんでしたが、5年から8年の歳月をかけて成果を出してきたからこそ上記のような前職の何倍もの年収になったのです。

所属している業界が金融であり、かつプロフェッショナルファームの領域であったことが高年収の一つの要因ではありますが、IBD、PE業界に入った人が皆こういった収入を得られている訳ではありません。

それぞれの方は何を為したのでしょうか。何を為して年収が何倍にもなったのでしょうか。成果とはなんだったのでしょうか。Up or Outのような厳しい人事制度があり、ワーカホリック集団の中で極端に労働時間の長い世界で専門性の高いプロフェッショナルとして高い成果を出し続けることが高収入に繋がっているのは確かですが、それ以外には何か理由はないのでしょうか。

全員が共通点を持っている訳ではありませんが、例えば、フロントラインで
 案件を獲得するスキル
 ディールをプロジェクトマネージャーとしてまとめ上げるスキル
 複雑な利害関係をまとめあげるコミュニケーションスキル
 M&A/買収に関するファイナンス知識
 その法務知識
 粘り強さ、持久力
といったスキル、知識、気質があるからこそ結果として組織の中でもはるかに優れた手数料/キャピタルゲインを成果としてあげることができたのだと思われます。

そしてその成果を長期に渡って継続してきたことが高収入に繋がっています。

代表取締役小倉 基弘 / Motohiro Ogura
【経歴】
上智大学法学部卒。日興證券(現SMBC日興証券)を経て90年、建築関連のビジネスを起業。約7年のベンチャー経営後、プロフェッショナルのキャリアデザインに関連するビジネス創造を目指して、人材エージェントにてコンサルタントを4年間経験。2002年、「野心と向上心を持ったプロフェッショナル」に対してチャレンジングな機会提供を行う目的でアンテロープキャリアコンサルティングを設立。同社は投資銀行、プライベートエクイティ、ベンチャーキャピタル、アセットマネジメント、不動産ファンド及びコンサルティングファームのフロント人材の長期的なキャリアデザインを支援している。07年アンテロープの共同創業者の増井慎二郎氏とオープンワーク(株)(旧(株)ヴォーカーズ)設立にも関わる。

【担当領域/実績】
専門は投資銀行、PE投資ファンド、投資先企業マネジメントポジション、不動産ファンド。