調和のとれた転職活動

2015-05-27 執筆者:鈴木 勝則

「転職の目的はなんですか?」
我々キャリアコンサルタントは、キャリアミーティングにおいて転職の目的を確認します。

社会人経験の短い方は

・専門性を高める
・自分が本来やりたかった仕事をする
・成長できる職場で働く

などの回答が多く、中堅の方々からは

・職務の制限が無い組織で働く
・更に専門性が高められる会社に行く
・年収(ポジション)を上げる

といった目的も聞かれます。
転職を希望なさる方は、それぞれの目的を達成するために転職活動という“行動”を起こされます。

「仕事の目的はなんですか?」
一方でこの問いに対する答えは、あまり社会人経験の年数とは関係がないようです。

・仕事で自己実現を追求する
・社会の役に立つ
・労働に見合った対価を得る
・社会との繋がりを実感する
・物事を成し遂げる達成感を得る

など、皆様ご自身の仕事観を様々に“表現”なさいます。

さて、今度は転職を考えるに至ったきっかけに目を向けてみます。実際に転職活動に踏み出す方は、ほとんどが明確な原因をお持ちです。また、その原因は往々にしてご本人が重要と考えている何かを阻害している場合が多いようです。この本人が重要と考えている何かを、仮に【内実の仕事の目的】と呼ぶとしましょう。

では、内実の仕事の目的は先で語られた転職の目的や仕事の目的と同じでしょうか? それは必ずしも一致していない場合が多く、率直に言うと常日頃からの“考え”(価値観)に近いように見受けられます。

つまり、内実の仕事の目的≒“考え”が何らかの要因で阻害されている、ないしは満たされていないと感じた時、それが原因で転職を選択する場合が多いのだと言えます。この選択を後から理由付けするために、転職の目的をお考えになる場合もあるように感じます。

いま転職を意識している方は、内実の仕事の目的≒“考え”、仕事の目的≒“表現”、転職の目的≒“行動”の3要素を客観的に比較してみてはいかがでしょう。

目的は人それぞれであって、どれが優れていてどれが劣っているなどということは言えません。ただ、自分が本来どういった目的で行動していて、それは一貫しているのかを理解しておくことは、キャリア戦略を構築していくうえでとても役に立ちます。

ご自身の考えと、他者に対する言動と、実際の行動が一致していれば、転職活動もきっとうまくいくはずです。

幸せとは、
あなたが考えることと、
あなたが言うことと、
あなたがすることの、
調和が取れている状態である。
(マハトマ・ガンジー)

是非、調和の取れた状態で転職活動に臨んで下さい。

鈴木 勝則 / Katsunori Suzuki
【経歴】
中央大学理工学部卒。シティバンク、エヌ・エイにて外国為替カスタマーディーラーとしてトップティアの事業法人や金融法人を担当。後に同行プライベートバンキング部門に異動し、投資カウンセラーとして個人富裕層顧客にも対応。その後カナダ・ロイヤル銀行にて再び大手法人顧客への外国為替のセールスに従事。20年以上に亘り、金融業界で多様な顧客と国際金融市場との架け橋役を担ってきたが、テーマを社会で最も重要な「人」に変え、向上心を持つプロフェッショナルと人材を求める企業との架け橋となるべくアンテロープに参画。

【担当領域/実績】
資産運用会社(アセットマネジメント)、プライベートバンク、フィンテック、銀行・証券のセカンダリーを中心としたフロントおよびセールスポジション等、マーケット分野を中心に担当。金融業界での長年のキャリアをベースとした情報やネットワークで、幅広い年齢層の転職をサポートしている。