面接での批判的な発言は何が悪い?

2015-01-28 執筆者:山本 恵亮

「面接で、現職や過去の会社について批判的なことを言うとマイナス評価になりがち」ということは多くの方が認識していると思います。平たく言えば、面接の場で愚痴を言っている様に見えると、自分に対する印象が悪くなる、ということですね。

ただ、そうは言っても何の不満も無くて転職しようという人もほとんどいない訳です。「正直に話したら不合格になるというのは、あまりに表面的な評価ではないか?」という疑問は多少ありながらも「ま、この場では大人の対応をするべきだよね」といった理解で割り切っている人が大部分かなぁ、と思います。

ただ、これについて誤った理解をしていると、批判的なことを言っていないのにも関わらず、言った時と同じ理由で不合格になることがあります。どうしてでしょうか?

愚痴を言っている様に見える態度が評価に悪影響を及ぼす理由には、誰もが想像出来るものと、多くの人が気づいていないものがあります。まず前者は、応募者が愚痴を言っていると受け止めた時、面接官がそれに同情することはまず無くて、かえって話している人を嫌悪するということですね。これについては常識の範囲に入ることだと思いますので、ここではこれ以上書きません。

もうひとつの理由。それは、一般的に愚痴を言うという行為は、話しているその人の思考がその時点で停止していることを示すものだからです。誤解を恐れずに言えば、愚痴ること、批判的なことを言うというのは、それを話している人の決めつけであり、その事柄に一方的に批判のラベルをつけていることに他なりません。そして一度ラベルを張ると、その事柄についてそれ以上考えないようになってしまい、更にはその問題や関連する問題について新しい考え方も出来なくなります。

面接に置き換えると、応募者が愚痴を言っている様に見えてしまうと、面接官は「この人は物事について、一方的に決めつけてしまう人なのかな。そうだとしたら、新しい考えを模索することも、受け入れることも出来ないのではない
か」と考えます。このポイントを押さえておかないと、発言内容にかかわらず「柔軟性が無い」とか「複眼的なものの見方が出来ない様に見受けられる」という理由で不合格となるのです。

この様に面接での批判的な発言は、単に何となくネガティブな印象を与えるというだけでなく、応募者の性格や思考力に対する冷静な評価に繋がります。もしもこんな評価が下されたら、もう挽回不能ですね。用心しましょう。

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* 山本のコラムをグループ会社(ヤニー株式会社)のサイトで定期的に発信しています。

取締役山本 恵亮 / Keisuke Yamamoto
【経歴】
同志社大学商学部卒。大手人材サービス会社にて金融とIT業界を担当後、渡米。在米のコンサルティング会社で、人材採用支援、人事コンサルティング、そして新規事業の立ち上げを事業開発マネージャーとして推進し、北米での事業拡大に貢献。2004年4月アンテロープ参画、翌年同社取締役。PEファンド(バイアウト)を中心に、VC、M&A、コンサル、投資先企業の経営人材、また組織立ち上げ期におけるコアメンバー採用の支援も強み。1級キャリアコンサルティング技能士。

【担当領域/実績】
専門はPEファンド(バイアウト)、VC、エンゲージメントなど投資ファンド、投資先の経営人材など。20年のエージェント経験で培われた層の厚いネットワークを有し、業界トップから新鋭企業まで数百名に及ぶ転職を支援してきた。水面下で流通する求人案件の提案から、選考対策、希望職種の明確化も含め丁寧な支援を行っている。