自分用の有効求人倍率

2016-04-21 執筆者:山本 恵亮

自身のキャリアを具体的に考える時には、労働市場の状況を理解しておくことも大切です。
仮に転職するとして求人があるのかざっくりとイメージを掴む指標として有効求人倍率があります。

有効求人倍率とは、求職者1人あたり何件の求人案件があるのかを示す数値で、月間の求人数を求職者数で割り算しています。

3月29日の日経新聞(電子版)によると厚生労働省が29日に発表した2月の有効求人倍率は1.28倍で、24年振りの高水準だそうです。
リーマンショックの時が0.4倍程でしたのでその高さが分かりますね。

さて、自分のキャリアを考える時に大事なのは、「で、自分にとってはどうなの?」ということです。

この高い数値は外国人旅行者の恩恵を受ける宿泊・飲食サービス業や卸売業、小売業の求人増がけん引していると記事では書かれています。となると、この業界で仕事を探す人以外にはあまり関係が無いですね。

そこで情報源を調べてみましょう。

厚生労働省のホームページで職業別一般職業紹介状況の一覧表を確認すると職種別の有効求人倍率(パートを除く)が確認出来ます。

幾つか抜粋してみます。

高い数値:
・建築・土木・測量技術者:4.71倍
・外勤事務:3.28倍
・保健師、助産師等:2.94倍
・情報処理・通信技術者:2.47倍

低い数値:
・一般事務:0.29倍
・美術家・デザイナー等:0.45倍
・会計事務の職業:0.55倍

1.28倍が高いと思っていたら、それをはるかに超える数値の職業がありますね。
情報処理・通信技術者(ITエンジニア等です)など専門性が高い仕事は人不足であることが浮き彫りになります。

尚、外勤事務はあまり耳にしない言葉ですが、例えば、電気・ガス・水道などのメーターの検針員の方々などです。
それぞれの職種の専門性がある人は引く手あまたという状況が見えます。

他方、一般事務や会計事務、デザイナー等は、はるかに低い数値になっています。
転職をしようとしても求人が少ないということですね。

有効求人倍率だけが労働市場を知る基準ではありませんが、こういった外部環境も理解して、自分がやりたい事と、今出来ること出来ないことは何か、と冷静にキャリアプランを考えることや転職活動の作戦を立てることは大切です。


山本のコラムをグループ会社(ヤニー株式会社)のサイトで定期的に発信しています。

取締役山本 恵亮 / Keisuke Yamamoto
【経歴】
同志社大学商学部卒。大手人材サービス会社にて金融とIT業界を担当後、渡米。在米のコンサルティング会社で、人材採用支援、人事コンサルティング、そして新規事業の立ち上げを事業開発マネージャーとして推進し、北米での事業拡大に貢献。2004年4月アンテロープ参画、翌年同社取締役。PEファンド(バイアウト)を中心に、VC、M&A、コンサル、投資先企業の経営人材、また組織立ち上げ期におけるコアメンバー採用の支援も強み。1級キャリアコンサルティング技能士。

【担当領域/実績】
専門はPEファンド(バイアウト)、VC、エンゲージメントなど投資ファンド、投資先の経営人材など。20年のエージェント経験で培われた層の厚いネットワークを有し、業界トップから新鋭企業まで数百名に及ぶ転職を支援してきた。水面下で流通する求人案件の提案から、選考対策、希望職種の明確化も含め丁寧な支援を行っている。