優秀な「ゆとり世代」

2012-05-08 執筆者:加藤 浩

金融・コンサルティング業界を主なターゲットとして、転職支援を行っている我々から見て、ジョブマーケットは予想通りの動きを見せています。すなわち例年のように春を過ぎたところで、少しずつではあるものの外資系投資銀行で採用再開の兆しが見え始めたり、クロスボーダーM&Aが増える中、国内でも海外でも戦っていける人材のニーズが更に強まったりという動きです。

一方、転職者側に目を向けると、我々の予想とやや違う動きがあります。ここ数年、社会人経験1~2年のいわゆる第二新卒クラスの若手の(優秀な)登録者が増えたことです。世間では「ゆとり世代は忍耐力がないな」などと短絡的な声を耳にすることもありますが、実際に彼らのキャリア観などを聞くと、驚くほどしっかりした考えを持っています。

ただ一方で、かつてない程の厳しい就職活動を経験し、自分の「やりたいこと」を考え抜く過程で、社会人になる前から自らのキャリアや志向性を固めてしまっているようにも思います。これは結構危険です。例えば、就職して配属先が希望と違ったから転職しよう、異動させられたから転職しよう、と安易に考えてしまうのです。

もちろん、キャリアに一貫性を持たせることは大切なのですが、今や狭い分野での専門性だけでやっていける時代ではありません。カバーする専門分野を広げたり、マネジメントやセールスまでカバーしたり、縦や横に広げていくことがキャリア構築そのものであり、転職市場における自らのバリューを高めることになります。

実は我々のキャリアコンサルティングは、このあたりからのアドバイスも含めて行っています。金融業界とコンサルティング業界だけでもキャリア構築の仕方は全く異なりますし、キャリア構築は自分の中だけで考えるものではなく、常に転職市場、大きく言えば世の中の動きを見ながら決めていく(決まっていく)ものです。弊社の登録者の方が、登録から実際に転職をするまでに何年もかかった、ということはごく頻繁にあります。直近の転職を前提とせずにご登録いただく方々も数多くいらっしゃいます。我々は、個々人の長いキャリアの中での伴走者になっていければと考えています。

加藤 浩 / Hiroshi Kato
【経歴】
上智大学法学部卒。大手メディア企業にてアジアを中心とした海外営業に10年間従事。その後、コンサルティング会社で人事領域をフロントラインで広くカバーする中、数々の優秀な人材と接触。プロフェッショナルのキャリア構築をこの手で支援したいとの強い思いから、2007年にアンテロープへ参画。

【担当領域/実績】
専門はPE投資ファンド、M&Aアドバイザリー、戦略系・総合系・再生系コンサルティングファーム。PEファンド等、マネージングディレクタークラスと独自のネットワークがない限り応募をすることすら難しい業界にも、豊富なパイプラインを持つ。情報提供はもちろん、コンサルファームのケース面接対策はじめ、キャンディデートを文字通りハンズオンで支援することにより、これまで経営トップから若手人材まで数百名の方々の転職を成功に導いてきた。