企業再生というキャリア

2012-11-30 執筆者:加藤 浩

ここ数年、転職希望者の方々から「企業再生に携わりたい」という言葉を多く聞きます。一昔前ではあまりそういう要望を聞かなかったですし、そもそも企業再生を生業にしている会社もあまりありませんでした。

しかし、現在は経営コンサルティングファームはもちろん、企業再生ファンド、再生コンサル、財務アドバイザリーファーム、銀行、法律事務所に至るまで多様な会社が企業再生をビジネスにし、専門部隊を設けています。実際、転職マーケットが大きく沈んだリーマンショック後も、企業再生分野では逆にプレイヤーが増え、市場が拡大し、今も数多くの求人が出ています。

では、どういう人材が企業再生分野で活躍できるのか。どういうスキルが必要とされるのか。まず、人によって企業再生の定義やイメージがかなり異なっています。また、志向性やキャリアにおいて望むものすらバラバラである印象があります。事業再建をしたい方から、いわゆる法的整理やリストラをしたい方、投資側から役員として入り込んでマネジメントしたい方、地元企業の応援をしたい方、本当に様々です。

我々のところへご相談にいらっしゃる方々に対しては、本当に何がやりたいのか、というところから掘り下げてお話をしています。実は一口に企業再生といっても様々なフェーズ、役割がありますし、この業界で活躍している人達も戦略コンサルや投資銀行出身者をはじめ、会計士、弁護士、税理士などの専門家、銀行出身者や事業会社出身者もいらっしゃいます。それぞれの方々が持ってるスキル、志向性によって再生業界の中でもどこがフィットしているのか、可能性があるのかということをアドバイスさせていただいています。

企業再生のビジネスは、いわば「総合格闘技」です。ビジネスや経営のことはもちろん、財務、法律、組織人事などに至るまで、あらゆることに精通していなくては本当のバリューは出せません。入口としては様々なバックグラウンドの人材が入ってきますが、キャリアとしてはその専門性を活かしながらも自らのスキルの幅を広げていくイメージです。

難しいからこそ、やりがいもあり、価値のあるビジネスパーソンになれる、良いキャリア選択の一つです。

加藤 浩 / Hiroshi Kato
【経歴】
上智大学法学部卒。大手メディア企業にてアジアを中心とした海外営業に10年間従事。その後、コンサルティング会社で人事領域をフロントラインで広くカバーする中、数々の優秀な人材と接触。プロフェッショナルのキャリア構築をこの手で支援したいとの強い思いから、2007年にアンテロープへ参画。

【担当領域/実績】
専門はPE投資ファンド、M&Aアドバイザリー、戦略系・総合系・再生系コンサルティングファーム。PEファンド等、マネージングディレクタークラスと独自のネットワークがない限り応募をすることすら難しい業界にも、豊富なパイプラインを持つ。情報提供はもちろん、コンサルファームのケース面接対策はじめ、キャンディデートを文字通りハンズオンで支援することにより、これまで経営トップから若手人材まで数百名の方々の転職を成功に導いてきた。