意外と怠ってしまう面接準備

2013-05-29 執筆者:加藤 浩

転職者の方がエージェントに期待することの一つに「面接対策」があります。面接ではどのような質問をされるのか、それに対してどう答えるべきなのか、そもそも事前にどう考えをまとめておくべきなのか、といったことに始まり、コンサルティングファーム等であればケースインタビューが行われることもあるので、どう対策すれば良いのか等、様々な要望をいただきます。もちろん、それに対する対策は弊社で存分に用意していますし、様々なアドバイスをさせていただいています。

一方で感じるのは、意外にこの準備をしない人が多いということです。信じられないかも知れませんが、例えば受けに行く会社のホームページすら読まずに臨んでしまう方すらいらっしゃいます。新卒の頃の就職活動と違って、多忙な中で時間をやりくりしながら面接を受けに行くため、準備に時間が取れないという現実もありますし、長年ビジネスを経験してきた自信から「何とかなるだろう」と思ってしまう方もいらっしゃいます。ただ、当然ながら事前に準備をするしないで結果には大きな差が出てしまいます。企業側からいただく面接NG理由に「事前に当社や業界のことを調べていなかった」「志望理由が曖昧だった」などは今でもよく挙がってきます。

そう、実は中途採用面接といってもベースは新卒と同じで、企業側が聞いてくるのは「志望動機」と「自己PR」なのです。もちろん、ビジネス経験を積んできているので、学生時代とはその内容や深さは違ってきます。

では、時間がない中でどう準備をしていくのか。オーソドックスですがまずはその会社、業界を公開情報レベルでいいので調べます。次にこれはエージェントから徹底的に情報を引き出す部分ですが、募集している人材スペックやイメージ、裏の事情も含めた募集背景を把握します。それを見て、自分が貢献できること・これから身につけなくてはいけないことを整理します。ここまでくれば、あとは志望動機というストーリーにそれらの情報を乗せていくだけです。

ここでもう一つのポイントは、そのストーリーに「リアリティ」を持たせることです。意外に多いのが、ガチガチのロジックで志望動機のストーリー立てをしたのに「どこか薄っぺらい」印象になってしまうパターンです。再度、本音で自分と向き合う作業が必要になります。これによって志望動機が現実味を帯びますし、場合によっては「自分は本当はこの企業を志望していないんじゃないか」ということに気づいたりします。これも非常に大事で、一度この会社に行きたいと思うと理由は後づけにして思い込んでしまうパターンも多いので、この作業は二度でも三度でも行うことをお薦めします。それでもこの会社へ行きたいというストーリーができた時、相手の心にも刺さる志望動機は完成します。

これらをガイド、サポートさせていただくのが我々の役目の一つでもあり、皆様が人生を考えるといっても大袈裟でないこのターニングポイントにおいて、少しでも力になれればと思っています。

加藤 浩 / Hiroshi Kato
【経歴】
上智大学法学部卒。大手メディア企業にてアジアを中心とした海外営業に10年間従事。その後、コンサルティング会社で人事領域をフロントラインで広くカバーする中、数々の優秀な人材と接触。プロフェッショナルのキャリア構築をこの手で支援したいとの強い思いから、2007年にアンテロープへ参画。

【担当領域/実績】
専門はPE投資ファンド、M&Aアドバイザリー、戦略系・総合系・再生系コンサルティングファーム。PEファンド等、マネージングディレクタークラスと独自のネットワークがない限り応募をすることすら難しい業界にも、豊富なパイプラインを持つ。情報提供はもちろん、コンサルファームのケース面接対策はじめ、キャンディデートを文字通りハンズオンで支援することにより、これまで経営トップから若手人材まで数百名の方々の転職を成功に導いてきた。