ブラック企業のススメ!?

2013-12-27 執筆者:加藤 浩

12月に入り、2015年採用の就職活動が解禁され、企業のロビーなどでもリクルートスーツに身を包んだ学生達を多く目にするようになりました。その学生達の間では最近、ホワイト企業かブラック企業か、ということが企業を選択する尺度の一つとなり、政府がホワイト企業のリストを作成しようかという動きにまでなってきています。

「ブラック企業のススメ」なんて書くと、単に厳しい環境に身を置くことが良いことだ、というような誤解を招いてしまうかもしれませんがそうではありません。ここで大事なこと、就活にしても転職にしても皆さんに大切にして欲しいポイントは、ホワイト企業/ブラック企業の「定義」です。実はこれ、人によって本当にバラバラになっています。例えば、ブラック企業を「残業時間がやたら多い、離職率が高い企業」と定義したら、コンサルティングファーム、外資系投資銀行などは大半がその仲間入りをしてしまいます。

就職・転職にあたっては、自分にとってのホワイト企業の定義は何か、ということを一度個々人で洗い出してみる必要があります。これはすなわち、仕事を通じて自分自身が何に一番モチベートされるのか、ということを見つめ直す作業です。

マズローの欲求5段階説ではないですが、安定的な職で、最低限食べていけるだけの給料さえもらえればいい、というのは低階層の欲求段階です。突き詰めていくと、他者から認められたい、尊敬されたい、自分の能力を引き出し創造的活動がしたい等の自己実現欲求が出てきたりします。高次の階層の欲求です。

もちろん、これは人それぞれの価値観なので、後者だから良いというものでもないですし、正解はありません。まさに、自分自身と向き合い、自分の素直な意見を聞いてみるという作業です。

ただ、長年キャリアコンサルタントをしてきた私の経験上、一部ではブラック企業と言われてしまっている企業の中にも、仕事はハードで離職率も高いが、社員の成長にはカネも手間も惜しまず注ぎ込み、結果としてそれらの人材がどこへ行っても活躍している、という企業もたくさんあります。

当然ながら成長している企業ほど仕事は忙しいですし、自律型組織になればなるほど、自身が成長すればどんどん仕事も任され、責任も与えられます。でも、結果としてこういう人材が、これからの先の見えない世の中では生き残っていくのでは、と思います。

我々が行っているキャリアミーティングでは、個々人の欲求段階まで掘り下げ、結果として「あなたにはプロフェッショナルファームは向いていないと思います」と厳しい意見をぶつけることもあります。このあたりは、自分で考えるだけでは打開できない部分が多いのも実際のところですし、是非一度、お越しになってみてください。

加藤 浩 / Hiroshi Kato
【経歴】
上智大学法学部卒。大手メディア企業にてアジアを中心とした海外営業に10年間従事。その後、コンサルティング会社で人事領域をフロントラインで広くカバーする中、数々の優秀な人材と接触。プロフェッショナルのキャリア構築をこの手で支援したいとの強い思いから、2007年にアンテロープへ参画。

【担当領域/実績】
専門はPE投資ファンド、M&Aアドバイザリー、戦略系・総合系・再生系コンサルティングファーム。PEファンド等、マネージングディレクタークラスと独自のネットワークがない限り応募をすることすら難しい業界にも、豊富なパイプラインを持つ。情報提供はもちろん、コンサルファームのケース面接対策はじめ、キャンディデートを文字通りハンズオンで支援することにより、これまで経営トップから若手人材まで数百名の方々の転職を成功に導いてきた。