面接突破の極意

2014-10-30 執筆者:加藤 浩

どうやったら面接を通過できるのか。転職活動における永遠のテーマですね。

もちろん、人が人を判断することなので100%の方法はないわけですが、確率を上げることはできます。簡単に言えば面接は「自分自身を売り込む(営業する)」ことです。営業ですから、アピールし過ぎてもいけません。また、これは意外と忘れがちですが、企業がお金を払って何かを購買する際、その意思決定には複数のキーパーソンがいます。例えば、会社が何かシステム導入をする時、予算の判断をする人の他に、技術面を評価する人、実際に使う立場になる人など、様々な人達の合意を得る必要があります。そして、それぞれの人が異なる尺度で意思決定をしたりします。逆に言えば、それら全てのキーパーソンを抑えていれば受注できます。人材を採用するというのも、採用する側の意思決定のプロセスは同じです。

ただ、通常の営業と違うのは、相手がまず初対面の方であり、それぞれの面接官にその1回の面接で判断されてしまう点です。営業であれば、色々な方法で何度も足しげく通って口説き落とす、なんていうことも可能ですが、転職活動ではそれはできません。

従って、事前の情報収集がかなり重要です。会社情報などはネットで調べられますが、キーパーソンがどんな人物で採用に対してどんな考えを持っているのかまでは分かりません。そこにエージェントが介在する価値のひとつがあるわけですが、エージェントは企業のキーパーソンと直接会っていますし、過去の面接事例でそれぞれの面接官が何をポイントに判断しているかまで把握しています。これを活かさない手はないので、是非、エージェントを存分に使ってください。

例えば「業容拡大に伴い若手を募集」という企業があったとして、そこの部門長が「現在の若手にも刺激を与えてくれるような人材が欲しい」と思っていたとしても、他のメンバーは「今の雰囲気を壊さない人の方が良い」と心の中で思っていたりするかもしれません。そういう部分まで理解して面接に臨むのと臨まないのでは、結果が確実に違ってきます。

たまに、本命の企業を受ける前に練習のつもりで他企業の面接を受けたいという方もいらっしゃるのですが、新卒の面接と違って企業によって評価ポイントが全く異なってくるので、実はあまり有効ではありません。「面接」というと構えてしまいますが、要は普通にビジネスの商談をしているようなイメージとあまり変わりはありません。その商談をどうやって成功させるか、ということをしっかり考えて進めていけば大丈夫です。

もちろん、面接を通過することが目的ではないので、一方で「自分にこの会社はフィットするのか」「やりたい仕事はできるのか」という見方をする冷静な自分を心に置いておく必要があります。一人でも多くの方のキャリアの成功のお手伝いができれば、これに勝る喜びはありません。

加藤 浩 / Hiroshi Kato
【経歴】
上智大学法学部卒。大手メディア企業にてアジアを中心とした海外営業に10年間従事。その後、コンサルティング会社で人事領域をフロントラインで広くカバーする中、数々の優秀な人材と接触。プロフェッショナルのキャリア構築をこの手で支援したいとの強い思いから、2007年にアンテロープへ参画。

【担当領域/実績】
専門はPE投資ファンド、M&Aアドバイザリー、戦略系・総合系・再生系コンサルティングファーム。PEファンド等、マネージングディレクタークラスと独自のネットワークがない限り応募をすることすら難しい業界にも、豊富なパイプラインを持つ。情報提供はもちろん、コンサルファームのケース面接対策はじめ、キャンディデートを文字通りハンズオンで支援することにより、これまで経営トップから若手人材まで数百名の方々の転職を成功に導いてきた。