プロフェッショナルファームの今年の採用見通し

2017-04-26 執筆者:加藤 浩

2017年も早くも3分の1が過ぎ去ろうとしていますが、プロフェッショナルファーム(コンサル・金融)の採用状況は明らかに昨年と違っています。各社とも今年度の採用目標数というのを掲げ、その数字だけを見ると昨年と同じ水準で推移しているように見えるのですが、実はその中身が変わってきています。

コンサルティングファームでいえば求人スペックがより具体化しています。例えば、こういったデータ分析ができる人材、M&Aのこのフェーズを経験している人材、こういう業界に精通した人材、等々。以前であれば、未経験でもポテンシャルが高ければ採用していたようなところでも、より専門性を求めてくるようになりました。また、昨年20代のジュニア層を大量にポテンシャル採用したところも多く、そういったファームは今年、それらの方々をマネジメント・教育できるマネージャー層の採用に力を入れていたりします。

PEファンドでいえば業界全体的な採用数は大きく変わっていませんが、明暗が分かれてきています。ここ数年、機関投資家によるオルタナティブ投資積極化の波もあって、新たにファンドレイズしたファンドも増えていますが、今年、一部でリストラを始めたファンドもあります。しかし、一方でこの間にしっかりと実績を積み、更に大きなファンドをレイズして、人員を大きく拡充しているファンドも存在しています。

経験上から言っても人材マーケットには必ず波があって、ポテンシャル採用で拡大をする時期と、経験者重視で採用する時期が交互にきます。今は後者です。ただ逆に言うと、経験者は引く手あまたの状態です。そして、経験者とはいえ、完全な横滑りの転職ではなく、例えば5割は経験を生かすけれど、5割は新しいことにチャレンジしてもらう、というチャンスもかなり多くあります。また、ご年齢が高い方でもその経験を買ってもらえれば、新たなフィールドでチャレンジすることもできます。

どこも人材が不足しているというのは間違いないです。キャリア形成という意味では、ただジョブマーケット状況に委ねてタイミングを待っていては徒に年齢を重ねるだけでチャンスを逸しかねないですし、そもそも主体的でないです。個々に見ていくと、必ずチャンスは転がっています。以前より候補者様と企業のマッチングが更に難しくなってきているので、我々としてもより情報の精度を上げて、お力になれればと考えています。

加藤 浩 / Hiroshi Kato
【経歴】
上智大学法学部卒。大手メディア企業にてアジアを中心とした海外営業に10年間従事。その後、コンサルティング会社で人事領域をフロントラインで広くカバーする中、数々の優秀な人材と接触。プロフェッショナルのキャリア構築をこの手で支援したいとの強い思いから、2007年にアンテロープへ参画。

【担当領域/実績】
専門はPE投資ファンド、M&Aアドバイザリー、戦略系・総合系・再生系コンサルティングファーム。PEファンド等、マネージングディレクタークラスと独自のネットワークがない限り応募をすることすら難しい業界にも、豊富なパイプラインを持つ。情報提供はもちろん、コンサルファームのケース面接対策はじめ、キャンディデートを文字通りハンズオンで支援することにより、これまで経営トップから若手人材まで数百名の方々の転職を成功に導いてきた。