Antelope Summary Report

[Antelope Summary Report No.186 ]不透明な時代のキャリア構築

2016.06.29

Antelope Summary Report ≪ No.186 ≫

~ Short Report ~

2016年6月29日(水)
アンテロープキャリアコンサルティング株式会社
http://www2.antelope.co.jp/e/105962/2016-06-29/ht7t1/47448064

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「不透明な時代のキャリア構築」 鈴木勝則

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★ 不透明な時代のキャリア構築

英国がEU離脱の是非を問う国民投票において、離脱を選択する事になりました。事前調査での予測は拮抗してはおりましたが、金融市場には楽観的な見通しもあったため、離脱の票が伸び結果が明らかになると株式市場は急落し、通貨その他資産価格もリスク回避の動きが強まりました。

我々はリーマン・ショック以降の雇用市場の低迷を経験しているため、この事態を受けた先行き不透明感を背景に、採用を手控える動きが出てくるのではないかと懸念しています。実際に今回の国民投票を挟んで、採用を取り止めたポジションがあったのも事実ですし、今後の経済動向によっては、更に採用を見合わせる動きが拡大することも予想されます。

このような政治経済のイベントリスクだけではなく、IT化の波が押し寄せる中で、5年後10年後、さらに先の将来に、どのような業種や企業が成長するのか、またどのような職種が残っていくのか、益々分かりにくくなっていく事が予想されます。こうした不透明な世の中で、どのようにしてキャリアを構築していくべきなのでしょうか?

このところ、20代から30代で転職を希望する方の多くが「専門性を身に付けたい」との考えをお持ちです。終身雇用制度が維持されており経済も右肩上がりであれば、ジェネラリストとして組織全体の機能を理解し、会社の発展に貢献していくという働き方も重視されるべきかもしれません。しかし、現実は違ってきています。その結果、専門性を持つ人材として組織の枠組みを超えて評価されることを希望し、このような転職志向に繋がっているようです。

具体的にどのような専門性を身に付けたいと考えるかに関しては、多種多様です。大きく分類すると、以下の3つが目立ちます。

・学生時代から勉強してきたことや興味を持ったことを専門性にしたい
・現職で担当した業務の専門性を伸ばしたい
・成長分野にキャリアチェンジして専門性を伸ばしたい

では、このような方向性で専門性を身に付けることがスムーズなキャリア構築に繋がっていくのでしょうか? これは必ずしも正解ではないようです。

学生時代に勉強したり興味を持ったことを専門分野にする事は、一貫性の点から見ても納得感は大きいと思います。しかし、自分はその分野でどの程度通用するのかを客観的に理解しておく必要があります。

現職で担当している業務の専門性を伸ばしていく事も、継続性やスキルセットの点では現実味があります。しかし、ここでも自分自身の市場における相対的な評価を確認しておく必要があります。

では、成長が期待できる分野にキャリアチェンジを考えるのはどうでしょう。この場合もその分野に自分が適しているかどうかが問題になります。

そしてすべてに通して言えるのは、その方が専門性を伸ばしたいと思っている分野が、そもそも長期的に成長が期待できるものなのかどうか、誰にも分からないという事です。このように、専門性自体に焦点を合わせてしまうと、逆にピントがずれてしまう事になりかねません。

結局のところ、キャリア構築において大切なのは、自分自身に焦点を合わせて、自分の能力や特性を深く理解する事だと思います。そして、伸ばすべき専門性は自分の特性や相対的な立ち位置を勘案して選択するべきなのです。この際に、外部要因として社会情勢など様々な点も考慮して、自分が納得できる業界や分野を選択することが望ましいと思います。また、ある分野に従事して専門性が高まったとしても、それに安住することなく様々な分野に興味を持ち自分の立ち位置を確認し続ける事も重要です。

その一方で、自分が選択した分野が成長から外れ需要が低下したとしても、その分野での相対的な評価が非常に高い人材は必ず一定のバリューがあります。衰退分野からは人材も流出しますので、一つの専門性を持続させることにより、ニッチな専門性として逆に長期的なキャリアに繋がる可能性すら出てきます。しかしこれも、その人物の専門性の評価が一定以上に高くなくては成り立ちません。

自分自身を理解し、何をもって自分の評価を高めるべきかは、一生涯の課題でもあります。自分の特性を反映した専門性を伸ばすことが出来れば、組織や社会にも貢献することが可能になり、市場価値も自ずと上がっていく事でしょう。

不透明な時代だからこそ、見えない先を見ることに労力を割くよりも、まずは自分自身を見つめ直し理解することを心がけててはいかがでしょうか。

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