財務に求められるスキルセットと役立つ資格
会計系職種のひとつに分類される「財務」。いわゆるバックオフィスの仕事であり、企業や団体などにおける“お金”の流れを管理するのが主な役割です。経理や会計が職人気質である一方、どちらかというと財務職は経営者サイドに近い存在といえます。金融機関はもちろん、あらゆる組織に必要な職種であるため常にニーズがあり、インダストリーや規模にこだわらなければ比較的転職しやすい職業です。ここでは財務における基本的な仕事内容の説明から、求められるスキルセット、転職やキャリアアップの際に役立つ資格について解説していきましょう。
財務職に求められる役割と目的
会社の規模によっては財務と経理がまとめられることもありますが、両者の業務の性質はやや異なります。というのも経理は企業内で「すでに動いた資金」の管理をする一方、財務は「これから動く資金」の管理を行うのが主な役割だからです。求人や業種によっても異なりますが、大きく分けると財務の業務は以下の3点に分類できます。
- (1)財務戦略の立案・実行
- 企業価値向上に向けて、財務戦略の立案・実行を行って「経営の健全化」を図ります。企業が健全性を保つためには第三者としての視点をもって評価することが必要不可欠であり、それを行うのは日常のルーティン業務から独立した部署でなければなりません。この重要な役割を担うのが企業における財務部門です。企業価値が低ければ信用が落ちてしまい、結果的に資金調達が困難になってしまいます。経営を安定させるためにも、企業価値を上げて、資金調達力の維持と向上に努めます。
- (2)資金管理
- 組織において資金管理はもっとも重要な業務のひとつといえます。資金が不足すればビジネスに大きな影響が出るのはいうまでもありませんが、支払いが出来なくなれば一瞬にして企業としての信用が落ちてしまうためです。特に金融機関のように信頼性が求められる会社では致命的といえるでしょう。財務部門ではこのような事態に陥らないためにも、常に事業部ごとの支出を把握して、不足しないようにチェックを行います。
- (3)資金調達
- 企業活動において資金が不足した場合、足りない分は資本金をはじめとして、銀行からの借り入れや、株式を発行する株式資本などで補填されるのが一般的です。財務部門は信用を担保として、こうした資金調達を行う役割を担っています。しかし、ただ資金を調達すればいいというわけではありません。借り入れが多ければ金利リスクが発生しますし、株券を発行しすぎると経営権が奪われる可能性もあるので、必要な額を適切な方法で調達することが求められます。それぞれの資金提供元へ営業に行くのも財務の仕事です。
財務に求められるスキルセット
財務部門の主な仕事をあげましたが、資金調達に特化した財務のプロフェッショナルを求めている企業もあれば、会計知識を求める企業もあるようです。ひと言で財務といっても求められるスキルは少しずつ異なるので注意しましょう。
現在、世界的に会計基準の統一が進んでいることから国際会計の知識やスキル、学習意欲が重視されていますが、すべての案件で求められているわけではありません。“お金”に関わる仕事であるため数字に強い人が評価されるのはもちろんですが、経済の動向を見極める分析力や法律に関する知識、正義感と道徳心の強い人が求められます。またさまざまな人と連携しながら仕事を進めることが多いので、コミュニケーション能力も求められます。
財務に役立つ資格について
会計や経理などは実務経験が重視される一方で、財務は未経験者にもチャンスが多い部門です。必要な資格は特にありませんが、資格は努力や向上心の証明でもあるため、所持していれば転職活動で有利になります。財務に役立つ資格としては以下のようなものがあります。
- ・公認会計士
- 企業を資金の流れから評価するスキルを身に付けている公認会計士は、監査法人として外部から企業に関わるだけでなく企業内で財務の仕事に就く場合も非常に有用です。また、アメリカにおける公認会計士の資格であるUSCPAは、日系企業の海外進出が進む中、特に大企業を中心に注目が集まっています。
- ・簿記
- 簿記は帳簿をつけるために必要なスキルです。事務職をはじめとして経理や会計などで高く評価される資格ですが、財務部門でも知識を役立てることが出来ます。将来的に経理部門のプロフェッショナルを目指す場合はぜひ取得しておきたい資格です。
- ・FASS
- FASSとは、経済産業省の委託を受けて日本CFO協会が認定している資格です。経理・財務スキル検定とも呼ばれており、実務レベルの技能を証明する手段として評価されています。経理・財務に従事している人はもちろんのこと、これから経理・財務部門を目指している人が体系立てて学ぶのに適した資格といえそうです。
おわりに
財務は経理職のひとつですが、求人を出している企業によって職域は微妙に異なります。企業によっては経理部門が兼任していたり、総務部門に組み込まれていたりする場合もあるので応募する際には注意をしましょう。転職活動をする際には求人要件をよく読み、職種名だけではなく業務内容もチェックしておくことでミスマッチを減らすことが出来ます。
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監修:アンテロープキャリアコンサルティング この記事は、アンテロープキャリアコンサルティング株式会社が監修しています。 コンサル業界・金融業界への転職に役立つ情報を発信しています。 |
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