コロナ禍におけるアセットマネジメント業界の人材動向

2020-12-24 執筆者:鈴木 勝則

2020年は新型コロナウイルスの影響で労働環境も様変わりし、人材市場でも様々な動きが見られました。アセットマネジメント業界でどのような動きが見られたか、簡単にまとめてみたいと思います。

今年の大きな流れとしては、IT人材ニーズの高まりと未経験者採用の減少が挙げられます。
新型コロナ禍でテレワークが進む中、社内インフラ整備やデジタルマーケティング等、デジタル推進領域での人材募集は非常事態宣言下でも活発に行われました。一方、テレワークが進むことで対面での社員教育が難しくなり、未経験者など教育が必要な人材の採用は手控えられた感があります。

次に、今年の募集ポジション毎の傾向です。

運用部門は各社とも即戦力採用に絞っており、市場の不透明感や手数料競争が激しさを増す中、アクティブ運用は採用ニーズに陰りが見られました。対するパッシブ運用は、債券を中心に例年とほぼ変わらない募集ニーズが見られたようです。近年採用ニーズが高いオルタナティブ領域は引き続き堅調で、この傾向は来年も続くと考えられます。

営業部門はオンライン化が浸透したことで人員拡大による採用は見られず、ほとんどがリプレイスに伴うものでした。こちらも経験者採用が中心となっておりました。

ミドル・バック部門は、販売用資料作成やRFP、また商品調査・企画などでの採用は例年通りに行われており、各社とも引き続き自社商品の差別化に注力していることが伺えます。

新型コロナウイルスによって来年以降の人材市場も大きく影響を受けることが予想されます。採用ハードルが高くなる中でも求められる人材になるために、リモート環境下で更に加速するデジタルトランスフォーメーション(DX)への対応は急務と考えられます。

DXはアセットマネジメント業界でも求められており、取り組むべき課題はいくらでもあります。ご自身の長期的な市場価値を高めるためにも、DXが進む中でどのようなマインドセットやスキルを持つべきか、常に念頭に置いてキャリアを考えていただきたいと思います。

鈴木 勝則 / Katsunori Suzuki
【経歴】
中央大学理工学部卒。シティバンク、エヌ・エイにて外国為替カスタマーディーラーとしてトップティアの事業法人や金融法人を担当。後に同行プライベートバンキング部門に異動し、投資カウンセラーとして個人富裕層顧客にも対応。その後カナダ・ロイヤル銀行にて再び大手法人顧客への外国為替のセールスに従事。20年以上に亘り、金融業界で多様な顧客と国際金融市場との架け橋役を担ってきたが、テーマを社会で最も重要な「人」に変え、向上心を持つプロフェッショナルと人材を求める企業との架け橋となるべくアンテロープに参画。

【担当領域/実績】
資産運用会社(アセットマネジメント)、プライベートバンク、フィンテック、銀行・証券のセカンダリーを中心としたフロントおよびセールスポジション等、マーケット分野を中心に担当。金融業界での長年のキャリアをベースとした情報やネットワークで、幅広い年齢層の転職をサポートしている。