若手未経験での資産運用業界への転職

2022-04-19 執筆者:鈴木 勝則

今年は金融の人材市場も活発化しており、未経験者採用ポジションも増えてきています。弊社のご登録者様からも、未経験から運用業界へのキャリアチェンジに関するお問い合わせが数多く寄せられております。そこで、資産運用関連のポジションでどのような未経験採用が行われているか、その必要条件なども交えて説明したいと思います。

まずは、ファンドマネージャーの未経験採用です。
大手運用会社が株や債券など伝統的資産の運用部門で未経験採用を行うことはあまりありませんが、オルタナティブ領域のプライベートアセット関連では未経験採用が行われています。具体的にはプライベートエクイティファンドやインフラ・不動産ファンドなどに投資を行うポジションです。
日本ではこれらオルタナティブ領域の業務経験者の数が限られており、選考基準も比較的緩く、財務分析能力と英語力、そして各プロダクトの基礎的な知識があれば採用の対象になります。
今後もオルタナティブ投資は拡大すると見られていますので、未経験採用はしばらく続くと思われます。

株や債券のファンドマネージャーは未経験採用が限られているのですが、ファンドマネージャーのキャリアにつながるリサーチアナリストではアプライ可能なポジションがあります。大手は未経験者を新卒採用しているため、中途での採用枠はほとんどありません。一方、独立系や一部の外資でポテンシャル採用は行われています。
ただし、こちらもベーススキルは求められます。具体的には、一定水準の財務分析能力と市場・経済知識、そして英語力です。それらの能力や知識を確認する目的から、採用要件に証券アナリスト資格(CMAまたはCFA)、またTOEICなど英語のスコアを一定以上としている場合が多いです。その他、投資銀行業務の経験や事業会社でのM&Aの経験なども、財務分析能力として評価され、採用に至るケースがあります。

ボトムアップリサーチを行うアナリストと並んでポテンシャル採用を行うポジションに、クオンツアナリストがあります。
クオンツアナリストは定量分析を行うための数理能力が重視されますので、大学及び大学院、そして業務において統計解析を行うスキルを十分身に着けていることが示せれば、採用の可能性があります。具体的には、PythonやRなどの統計解析言語、及びSQLなどのデータベース言語を使用してビッグデータ解析を行った経験です。
金融市場に関する知識も一定以上必要ですので、あわせて証券アナリスト資格なども取得しておけば可能性は上がります。

この他にも、エンゲージメントファンドやヘッジファンドで未経験採用を行う場合があります。この場合、戦略コンサルの経験者を採用する事例が見られますので、未経験からの運用業務のキャリアパスとして戦略コンサルも一つの選択肢になります。

現在日本では、未経験者のポテンシャル採用は若手に限定されていますが、オルタナティブ領域などを中心に、今後はミドルクラス以上にも広がりを見せることが期待されます。運用業界へのキャリアチェンジを検討される場合は、ぜひ弊社コンサルタントにご相談ください。

鈴木 勝則 / Katsunori Suzuki
【経歴】
中央大学理工学部卒。シティバンク、エヌ・エイにて外国為替カスタマーディーラーとしてトップティアの事業法人や金融法人を担当。後に同行プライベートバンキング部門に異動し、投資カウンセラーとして個人富裕層顧客にも対応。その後カナダ・ロイヤル銀行にて再び大手法人顧客への外国為替のセールスに従事。20年以上に亘り、金融業界で多様な顧客と国際金融市場との架け橋役を担ってきたが、テーマを社会で最も重要な「人」に変え、向上心を持つプロフェッショナルと人材を求める企業との架け橋となるべくアンテロープに参画。

【担当領域/実績】
資産運用会社(アセットマネジメント)、プライベートバンク、フィンテック、銀行・証券のセカンダリーを中心としたフロントおよびセールスポジション等、マーケット分野を中心に担当。金融業界での長年のキャリアをベースとした情報やネットワークで、幅広い年齢層の転職をサポートしている。