不動産金融市場に関わるプレイヤーを目指すには(後編)

2019-01-30 text by 渡邉 一也

2019年第一弾のショートレポートを担当させていただきます、アンテロープの渡邉です。前回、私が担当している不動産金融業界について、同業界への転職を目指すためのポイントをご紹介させていただきましたが、今回は2018年を振り返って実際に不動産金融の転職マーケットがどうであったかについて触れてみたいと思います。

業界全体の動きとして2018年上期は高値圏が続くなか、J-REITや機関投資家は市況悪化時でも安定的なキャッシュフローを維持できる都心の優良物件への投資が進み、その結果として取引額は都心の割合が継続的に上昇を致しました。その後も緩やかな増加傾向で推移し、2018年上期は約2.1 兆円と微減ながらも堅調な状況が続きました。

J-REITは三菱地所物流リート投資法人、CREロジスティクスファンド投資法人、ザイマックスリート投資法人、タカラレーベン不動産投資法人、伊藤忠アドバンスロジスティクス投資法人が新たに加わりファンド数は61となりました。REIT以外にも霞ヶ関キャピタル、東京インフラエネルギー投資法人も上場し新たなプレーヤーの仲間入りを果たしました。そうした影響もあり、年度の前半の人材ニーズとしてはアクイジションの採用が堅調であったように思われます。

2018年の後半における取引額は1.7兆円となり、前年同期と比較して3割以上も減少する結果となりました。これは欧米に比べて値頃感があると見た海外のマネーが日本に流れ込む構図に変化が出始めたことが要因でもあったと思われます。

海外では中国の経済減速感の影響が、国内においては一部金融機関における不適切融資問題が長引くことで不動産向け融資に慎重になり始める等、資金調達に大きな影響を及ぼしたことも大きかったと言えるでしょう。そのような状況下で、年度の後半においては内部成長に力を入れるファンドのアセットマネージャーや資金調達、リファイナンスを担当する財務・IR(ファンド企画)のポジションの募集が増加する傾向にありました。

2018年はアンテロープにおいてもそうしたファンドのリクエストを受けて、多くの転職者のお手伝いをさせていただくことができました。一例を挙げますと、大手PM会社のPM担当→私募ファンドのAM担当、大手生保の資産運用担当→外資系ファンドの財務IR担当、アセットマネジメント会社のコンプライアンスオフィサー→私募ファンドのコンプライアンスオフィサー、大手都市銀行のRM→公募REITの財務IR担当、投資用不動産仕入担当→外資系私募ファンドのアクイジション、不動産仲介会社営業→公募REITのAM担当、メガバンクのストラクチャ ードファイナンス担当→私募ファンドの財務IR担当、中堅PM会社のPM担当→再エネファンドのAM担当といったように、多くの候補者の方が不動産プレーヤーの仲間入りを成功させました。

最後となりますが、2019年2月にもエネクス・インフラ投資法人、エスコンジャパンリート投資法人といった新規上場が控えております(2019/1/29現在)。こうした不動産関連事業の新規上場は、新たに不動産金融市場を目指したい候補者の方にとっては絶好の転職機会となりうるでしょう。

新年度が近づくこの時期は転職希望者の増加も予想され、また企業側も2019年の採用に向けての採用枠を確保しようと動き出しているので、より動きが活発化してくると思われます。

各社の採用ニーズは日々変わっておりますし、如何にその情報を入手できるかが転職成功の鍵となります。このレポートを読んでいただいている方も転職をお考えであれば、ぜひ私たち転職エージェントを活用していただければと思います。既に不動産業界で活躍をされている方、これから不動産業界に挑戦されたい方からのご応募をお待ちしております。

渡邉 一也 / Kazuya Watanabe
【経歴】
成蹊大学法学部卒。地域金融機関にて法人や個人顧客を担当。与信業務・受信業務を通じて10年にわたり地域の発展に寄与。その後、大手邦銀にて10年間、住宅ローンコンサルタントとして個人顧客ならびに業者向けセールスを行う。20年以上に渡り顧客に金融商品を提供しながら信頼関係の構築に注力してきた経験を、人財というもっとも重要なリソースをクライアントに提供することに注ぐべくアンテロープに参加。

【担当領域/実績】
銀行の金融市場部門、資産運用会社(アセットマネジメント)、不動産金融、ベンチャーキャピタル、フィンテックを中心に担当。金融業界でのキャリアをベースとしたネットワークで、幅広い年齢層の転職をサポートしている。