VC採用条件とFintech業界について

2019-02-27 text by 山本 哲史

年明けに、2018年のVCファンドの資金調達額が3000億円中盤に達し、1500億円だった3年前から倍増したという報道がありました。VCの資金調達が進む=ファンドレイズも増えており、それに伴い採用ニーズも過去最高レベルで高まっております。独立系のVCだけでなく、事業会社内でCVC部門の設立も相次ぎ、今後もこの流れは続いていくものと思われます。また、金融やコンサルバックグラウンドの方々でVCへの転職にご関心を持たれる方が増えており、ご相談件数も増加しております。

独立系のVCは、おおよそ10名に満たない人数で運営しているところが多いです。故に、採用ニーズが上がっているというものの、採用枠も少なく、かつ選考もハードです。ハードさを具体的に表現すると「直近半年で100名くらい採用面接をしたけど、ひとりも採用できていない」(独立系VCヘッドへのヒアリングより)ということになります。

VCへの転職をサポートさせていただいている中で感じることは、比較的書類選考は通過しやすい傾向にありますが、面接を突破できないケースがとても多いという事です。また、各VCによって求めるバックグラウンド(=スキルセット)もかなり違ってきますので、VCへのご転職をお考えであれば、是非ご相談にいらして下さい。VC業界全体についての情報、各VCの特徴、選考突破のための準備・必要なことなどをお伝えし、ご転職のサポートに精一杯尽力いたします。

ところで、VCの有力な投資先となっているFintech業界についてニュースなどでも取り上げられることが多くなってきております。「Finance×テクノロジーでこれまでのお金のあり方を変える」という志を持つ企業が多いです。私もFintech領域の採用のサポートをさせていただいている中で、1年前より確実にプロダクトの進化、ユーザーの拡大、競争の激化が進んでいることを肌で感じています。急激に世の中に広まっていて、第四次産業の現在進行を目の当たりにしているように感じます。ここでFintechにはどういったメジャープレーヤーが存在しているのかまとめてみたいと思います。

そもそも「~tech」に明確な定義はなく、「テクノロジーを既存産業に掛ける」は必須ですが、Fintechの場合、この「Finance」という部分が曖昧です。一般的には決済・送金・融資・資産運用・仮想通貨がメインとなりますが、その他では不動産や金融に対するセキュリティ関連事業も含まれるケースがあります。その中で、Fintechイノベーションの入り口になる決済からみていきたいと思います。

【決済・送金・融資】
Fintechと言えば真っ先に上がるのがスマホ決済です。メジャープレーヤーは以下の通りです。
・LINEペイ
・メルペイ
・ペイペイ(ソフトバンクとヤフーが折半出資するスマホ決済会社)
・楽天ペイ
・Paidy
・オリガミ

LINE、メルペイ、ペイペイ、楽天はそれぞれ母体となる事業があり、その中で多くのユーザーを抱えており、そのユーザーに対する展開から始めていていましたが、現在はTVCMや顧客への還元策を打ち出し、顧客囲い込みが激化しています。また、使えるお店にも差が出始めています。LINEペイでは130万カ所で使えますが、その他の企業ではまだ10万店程度のところもあります。今後どこが中国でいうアリババのように覇権を握っていくのか注目されています。

【資産運用】
資産運用領域も競争が激しくなっています。資産運用と言えば、長らく大手証券・銀行などが顧客と対面で運用コンサルを行ってきましたが、世代交代やスマホの普及により、ここでもイノベーションが進みつつあります。メジャープレーヤーは以下の通りです。
・ウェルスナビ
・お金のデザイン
・フォリオ
・LINE
・FINATEXT(フィナテキスト)
・OneTapBuy

ポートフォリオの最適化をAIにより自動で行うウェルスナビ、お金のデザインが運用残高を急激に伸ばしています。フォリオはLINEと組んで若い世代をターゲットにテーマ別の投資サービスに注力しています。投資勉強会などのセミナーも行っているため、若い世代の金融リテラシー向上にも寄与しています。さらなる拡大が続いていくとファンドマネージャー、ポートフォリオマネージャーや対面での運用コンサルタントのジョブマーケットにも影響を及ぼすかもしれません。

その他のサービスラインでも、ブロックチェーン技術を用いた仮想通貨のbitFlyerやLastRoots、クラウドファンディングのreadyforやエメラダ、クラウドファクタリングのOLTA、クラウド会計のFreeeやアカウンティング・サース・ジャパンセキュリティ関連のカウリス、不動産TechのMFSなどがここ1、2年で大きな成長を遂げております。

このようなFintech企業での採用ニーズもかなり高まっております。入社する人の力量でビジネスドライブのスピードや規模の角度が大きく変わるため、選考も慎重に行ってはおりますが、ポストコンサル、ポスト金融の転職先としては非常に魅力的な機会と言えるのではないでしょうか。

一度しかない人生において、新しい産業を創造しようという気概を持った方々のご登録を、心よりお待ちしています。

山本 哲史 / Tetsushi Yamamoto
【経歴】
成蹊大学文学部卒。日興コーディアル証券(現SMBC日興証券)にて中小企業オーナー、個人富裕層に対し、金融ソリューション提案、相続対策、事業承継等コンサルティングに従事。在籍中、その高い実績から社長賞を含め多数の表彰を受ける。退社後、向上心あふれるプロフェッショナルの長期的なキャリアデザインと企業の課題解決をサポートする目的を持ち、アンテロープに参加。

【担当領域/実績】
証券のセカンダリー、M&Aアドバイザリー、ベンチャーキャピタル、AI、IoT、フィンテックを中心に担当。