スタートアップへの転職で重要な“投資ラウンド”とは?

2019-03-08 text by 山本 哲史

ここ数年で、スタートアップ企業への投資額が大きく伸びています。実際にベンチャーキャピタリストの方にお話しを伺うと、直近では株価の上昇によりバリュエーションが高くなり、ミドルステージ以降への投資がなかなか難しくなってきているようです。そのため、シード/アーリーへの投資が増加傾向です。スタートアップへの投資が増加している背景には、テクノロジーの進化により既存産業へのイノベーションが進んでいることが挙げられます。また、研究の成果や技術の発達により、大学発ベンチャーの数も大きく増えています。

具体的な事例でお話しすると、フリーマーケットアプリ開発運営会社であるメルカリが挙げられます。2018年、メルカリは東証マザーズへ上場しました。会社設立から3年で時価総額は1000億円を超え、5年でIPO、上場当日の終値ベースでは時価総額7000億円を超えました。今後の新たなユニコーン企業候補として、Preferred NetworksやSanSan、Spiber、パネイル、freeeなど大きなスケールを遂げている企業が次々と誕生、成長しています。そうした流れの中で、優秀な方々がベンチャー企業へご転職をされるケースも増えています。

ベンチャー企業への転職を考えた場合、「その企業が現在どの成長ステージにいるのか?」を知ることはとても重要なことだと思います。0→1のフェーズに参画し、創業期メンバーのひとりとして企業およびビジネスの立ち上げをやりたいのか、あるいはミドルステージで爆発的な拡大を目指し、経営・マーケティング・販売営業などの戦略立案~実行に尽力していくのかなど、ご自身の経験・強み・志向によって候補先も変わってくると思います。ここで、VCで一般的に使われている「投資ラウンド」を知ることで、ベンチャー企業がどの段階にいるのかを理解することが出来るので、簡単に解説したいと思います。

そもそも投資ラウンド(フェーズ)とは「VCなどの投資先であるベンチャー企業の成長段階」を意味します。投資先企業がどのような成長段階にあるかを端的に表し、理解しやすくするためにシリコンバレーで生まれた考え方です。近年のVC投資の拡大につれ日本でも一般的に使われるようになりつつあります。文脈により多少の認識の違いはありますが、基本的には5つのステージに分けて認識されています。


シード:起業前の段階(調達額は数百万円)
シードは起業前の段階を指します。創業チームが集まりビジネスモデルが固まっているだけで、法人は設立前であり、商品のプロトタイプを開発しているような段階が該当します。この段階ではビジネスプランやピッチ資料を練り上げ、エンジェル投資家、場合によっては家族や友人知人へプレゼンを行い、比較的少額の資金を調達します。

アーリー:起業直後の段階(調達額は数百万円)
アーリーは起業してすぐの段階を指します。ビジネスに着手し始めた段階で、軌道に乗せるために様々な改善・実行を繰り返す段階です。まだマネタイズが出来ず赤字経営の状態になることが多いため、資金調達のパイプ確保が非常に重要になりますので、ビジネスモデル・プランの実現可能性をVCへ強くアピールする必要があります。このころから、資金の出し手には銀行や行政からの助成金なども加わってきます。

シリーズA(ミドル):事業の本格的なスタート段階、市場確保前(調達額は数千万円)
シリーズAは商品やサービスをリリースし、マーケティング戦略も整えて世の中へ広めていく準備が出来ている段階を指します。フロント・ミドル・バックと会社の組織体制構築のために人材も増えていく時期になるので、必要な資金も増え、調達額としてはおおよそ数千万が目安となります。

シリーズB(ミドル):事業が軌道に乗り一定の市場を確保、さらに成長させる段階(調達額は数億円)
シリーズBは商品やサービスが軌道に乗り始め、売上や組織をより大きくする時期を指します。各部門さらに人材確保が必要になり、また事業の黒字化の達成も必要になるタイミングです。調達額も億単位になるため、複数のVCや銀行を組み合わせながら調達していくことになります。IPO時期の目途も具体的に検討していくフェーズです。

シリーズC(レイター):黒字化、経営安定期、IPO/M&A前(調達額は数億~数十億円)
シリーズCは確立されたビジネスのさらなる拡大のため、海外進出やM&A、新規事業開発などを成長戦略に組み入れます。また、IPO実現のために企業の内部環境もさらに整備する必要があります。これまで以上に大きな資金を必要とする段階です。


これまで解説してきた各ラウンドによって、求められる人材要件も変わってきます。シード/アーリーであればファイナンスバックグラウンドをお持ちで、かつビジネスサイドの役割も担える方が求められます。もしくは、事業会社での経営企画や新規事業開発経験のある方にも採用ニーズが強いです。一方で、シリーズA~Bではコンサルティングファーム経験者の腕の見せどころとなりますし、その会社の成長・拡大の角度とスピードが参画した方の手腕次第で大きく左右されることになります。

弊社では新聞などによく取り上げられるネクストユニコーンと目される企業~有望なシード/アーリー企業とお付き合いをいただいており、すべてのラウンドのベンチャー企業でポジションのご用意がございます。一方で、ポストコンサル、ポスト金融の方が就かれるポジションは採用するベンチャー企業側も慎重に選考を行います。その方の入社により、会社の将来が大きく左右されるからです。企業概要、ビジネスモデル、募集ポジションとその背景や求められる役割など、より詳細な情報の入手が必須であり、弊社ではそれらのご提供が可能です。

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山本 哲史 / Tetsushi Yamamoto
【経歴】
成蹊大学文学部卒。日興コーディアル証券(現SMBC日興証券)にて中小企業オーナー、個人富裕層に対し、金融ソリューション提案、相続対策、事業承継等コンサルティングに従事。在籍中、その高い実績から社長賞を含め多数の表彰を受ける。退社後、向上心あふれるプロフェッショナルの長期的なキャリアデザインと企業の課題解決をサポートする目的を持ち、アンテロープに参加。

【担当領域/実績】
証券のセカンダリー、M&Aアドバイザリー、ベンチャーキャピタル、AI、IoT、フィンテックを中心に担当。