第二新卒でのコンサルティングファームへの転職活動について

2021-08-03 執筆者:諏訪 夏樹

業界未経験でPEファンドやコンサルティングファームへの転職を考えるとなると、ハードルの高さを感じられる方もいらっしゃると思いますが、意外にも(?)若手の方からのプロフェショナルファームへの転職についてのご相談をいただくことが多いです。中でも、職務経験年数が3年未満程度のいわゆる「第二新卒」と呼ばれる方々でコンサルティングファームへの転職を希望される方が多いので、今回はそのような方に対して私が面談時にお話しさせていただいている内容を、ショートレポートという形でまとめてみたいと思います。

●コンサルティングファームの第二新卒の採用動向について

2020年から猛威をふるっている新型コロナウイルスの影響をものともせず積極的に採用活動を進めているコンサルティングファーム各社ですが、一般的な中途採用枠と別に第二新卒を分けて採用をしているファームは、実は数が少ない印象です。そのため動き方としては、他の年代の方々と同じ一般的な枠にチャレンジをするか、特別に第二新卒採用枠を切り出している個別ポジションに応募するか、のどちらかを選択することになります。
一般的な中途採用枠については各社通年で採用しているポジションが多いため、ご自身の興味関心に従ってどのポジションに応募するかを検討すればいいのですが、そもそも職務経験年数が丸2年以上(社会人3年目以上)でないと書類選考でお見送りになってしまうファームも複数あるので注意が必要です。
一方、第二新卒採用枠の通年採用を行っているファームは少なく、活動のタイミング次第でそうした枠がオープンかクローズしているかが決まってくるのが現状です。特にBig4をはじめとした総合系ファームについてはこのような傾向があり、入社のタイミングが4月もしくは10月と決められていることがほとんどです。加えて、そのような募集方法を取る場合、採用人数があらかじめ決められているので、定員に近づけば近づくほど採用ハードルが高くなる傾向にあります。このような募集が始まったら極力早く転職活動に取り組めるように、前もって準備をされておくといいでしょう。
まずはご自身の経歴や社会人経験年数を踏まえて、一般的な中途採用枠に挑戦されるのか、第二新卒採用枠に応募されるのか、という点について方針を定めていただき、その上でご自身が関心を持たれているポジションの採用枠の有無を確認する、というフローが一般的なものになります。

●求める人物像

以下、上述した第二新卒採用枠における、求める人物像について説明します。
まず大前提として、第二新卒の方を採用するにあたり会社側が必ず念頭に置いているのは「自社の新卒入社の若手と比較した際に、この方は優秀なのか」という観点です。
2018年頃から総合系ファーム各社は新卒採用の人数を格段に増やしている一方、その採用基準は引き続き非常に高いものとなっています。一部のファームにおいては、学歴の基準とTOEIC800点以上のスコアの両方を満たさない学生は書類選考で自動的にお見送りにしている、という話も伺っています。そのような厳しいセレクションをパスした新卒入社の方と比較した際に、どういった点で戦えばいいか、という点ですが、ポイントは下記になります。

1)学歴や在籍企業の知名度・所持資格等のハード面で勝負する

第二新卒採用では即戦力としてよりもポテンシャルが重視されますが、選考側がどのような点でそのポテンシャルを測っているかというと(若干身も蓋もない話になってしまいますが)学部卒業時の学歴や、現在の在籍企業の知名度や新卒時の入社難易度、どのような難関資格を保有しているか、という点になります。
資格について具体的に挙げると、優位に働くのはTOEIC800以上、簿記2級、ITパスポートもしくは基本情報技術者試験の3つになります。なぜこの3つかというと、新卒入社の方が内定時や新入社員研修の段階でこれらの資格を取得するようにと求められるからです。これらは現在コンサルティングファームが注力しているファイナンスやテクノロジーの基礎的な資格となっているため、それを保有していることが「基礎的な素養を持っている」と判断するに足りうる材料となるのです。もちろん、これらの領域においてより突出した能力を示せる資格があれば大きくプラスに作用します。会計領域であれば、日本の公認会計士資格やUSCPA、語学であれば帰国子女レベルに相当する英語力や英語+αの語学力、ITであれば、SAPやSalesforce、Oracle等の資格等がそれに該当します。

2)職務経験の内容で勝負する

一定程度ファームが好む職務経験内容というものは存在します。一般的には、事業会社での経営企画、事業企画、経理財務、調達、組織人事等に関する企画業務の経験者や、情報システム部等でのシステム導入の経験者、AIやRPAといった最新テクノロジーに関する知見を高いレベルでお持ちの方等が該当します。
現職においてすでにこのような経験を積めているようであれば、経験内容をより深く突き詰めていくことで他の候補者との差別化に繋がったり、新卒入社の方への優位性を見出したりすることが出来るのではないかと思います。また、このような経験を現職で出来ていないという方であれば、コンサルタントへの転職の前にまず社内での異動等を検討してみてもいいのではないかと思います。

●選考における注意点

最後に、実際に選考を受ける際の注意点について説明します。
選考プロセスは、書類選考→適性検査→面接2、3回程度→内定、というような流れが一般的です。書類選考通過については求める人物像の部分で記載したので、ここでは適性検査と面接について簡単に説明致します。
過去ご支援させていただいた方の中でも、せっかく書類選考を通過しても適性検査でお見送りとなってしまう方が一定数いらっしゃいました。適性検査に対して苦手意識をお持ちの方もいると思いますが、総合系ファームにおいてはまず100%適性検査が課されると考えた方がいいので、避けて通れない道となっています。適性検査はちゃんと時間をかけて準備をすれば規定水準をクリアできる場合がほとんどですので、焦らず、面倒くさがらずに時間をかけて準備を進めていくことが重要です。
面接は各ファームによって回数や内容が異なるものの、一般的な面接とケース面接の両方が課されることが多いです。ついケース面接の方に意識が向いてしまうかもしれませんが、一般的な面接も同等以上に重要になります。よくあるお見送りの理由として「志望理由に一貫性を感じられない」、「今後のキャリアビジョンについて明確に伺えず弊社で働くイメージを持てなかった」という内容があり、これらは論理的思考力というよりも「なぜコンサルタントになりたいか」「コンサルタントになってどのようなことに取り組みたいか」というそもそもの立脚点をしっかり考え抜くことが重要になります。

以上、第二新卒でのコンサルティングファームへの転職活動において重要な点をまとめました。弊社では業界未経験者のコンサルへの転職支援に注力しており、上記に記載出来なかった面接対策やケース面接の指導等、手厚く対応させていただいております。コンサルティングファームへの転職をご検討の場合、ぜひ弊社よりお力添えをさせていただけますと幸いです。

諏訪 夏樹 / Natsuki Suwa
【経歴】
早稲田大学法学部卒。新卒で日本IBMに入社し、コンサルタントとして製造業をクライアントとしたシステム導入案件を複数推進。その後人材業界にキャリアチェンジし、人材エージェントでコンサルティング業界への転職支援を中心に経験する中で、より個人の長期的なキャリア支援に従事したいという考えからアンテロープキャリアコンサルティングに参画。

【担当領域/実績】
“戦略”・”デジタル”がキーワードで、外資戦略ファームと総合ファームのデジタル部門に多数のサポート実績あり。戦略コンサル向けのケース面接対策も一定の評価を候補者様より頂いている。ポストコンサルの転職支援においても、AIやDXを軸としたスタートアップや大手事業会社への支援を強みとしている。