面接の職歴説明で意識すべきこと

2015-09-02 執筆者:山本 恵亮

採用面接の場においては「あなたの経歴について説明して下さい」と面接官から求められることが多々あります。面接の冒頭でそう言われて、応募者の中には「え、私の経歴書を読んでいないのかな?」と戸惑う人もいると思いますし、多くの方々は形式的な質問だと深く考えずに対応をされているのではないでしょうか? もしくは、説明の仕方によってコミュニケーション力を測られているのかな、という程度の認識ではないかと思います。

しかし、面接官にとって面接は、戦力になり、かつ共に仕事をするという大変濃い関係を築いていく仲間を選ぶ作業です。その様な真剣な目的を持った面接官が、限られた時間の中で暇つぶしの様な形式的な質問をするとは思えません。それでは、経歴書に書いてあるのにも関わらず、あえて説明を求めてくるのはどうしてでしょうか?

端的に言えば、その理由は過去の仕事の説明ぶりからプラスαの情報をキャッチして、その候補者が入社した後の、即ち未来の働き方を類推することです。面接官は意識をしていないかもしれませんが、結果的には、職務内容のみならず、どんな思いや問題意識を持って仕事をしているのか、仕事を通じて何を実現しようとしているのか、これらを満たすためにどの様に仕事に取り組んでいるのか…といったことを説明の行間に読み取ろうとしています。

例えば、コンサルティング職の場合「業務改善のコンサルティングに従事した」という情報しかない説明と、「クライアントのどの社員よりも社内事情に詳しくなることを心がけており、その結果、今では経営方針に対する社内の反応について社長からフィードバックを求められるなど、良き相談相手としての関係を構築出来ている」ということが伝わる説明とでは、同じ優秀な能力を持つ候補者でも面接官に与える印象はまったく違いますよね。

この様に同じ仕事内容の説明であっても、単なる作業内容の説明ではなく「どんな思いを込めて仕事に取り組んでいたのか」ということが伝わる説明が出来れば、面接官はその候補者を採用した場合に、どの様な活躍をしてくれるのかイメージ出来ます。そこから、その候補者に対する安心感や期待感までもが生まれてくるものです。

もちろん、聞かれてもいないことを長々と話すのは逆効果ですが、自分の大切な思いやそれに基づいた行動などを踏まえた説明が出来れば、単なるレジュメ情報だけの印象しかない“データとしての候補者”から、特徴ある“顔を持った人間”としての印象を与えることが出来ます。

ぜひ面接では、こういった点も意識してご自身の特徴が伝わるお話をされることをお勧めしたいと思います。

取締役山本 恵亮 / Keisuke Yamamoto
【経歴】
同志社大学商学部卒。大手人材サービス会社にて金融とIT業界を担当後、渡米。在米のコンサルティング会社で、人材採用支援、人事コンサルティング、そして新規事業の立ち上げを事業開発マネージャーとして推進し、北米での事業拡大に貢献。2004年4月アンテロープ参画、翌年同社取締役。PEファンド(バイアウト)を中心に、VC、M&A、コンサル、投資先企業の経営人材、また組織立ち上げ期におけるコアメンバー採用の支援も強み。1級キャリアコンサルティング技能士。

【担当領域/実績】
専門はPEファンド(バイアウト)、VC、エンゲージメントなど投資ファンド、投資先の経営人材など。20年のエージェント経験で培われた層の厚いネットワークを有し、業界トップから新鋭企業まで数百名に及ぶ転職を支援してきた。水面下で流通する求人案件の提案から、選考対策、希望職種の明確化も含め丁寧な支援を行っている。