バイアウトファンドの仕事内容を理解する。<PEファンド研究>

2018-06-21 text by 山本 恵亮

アンテロープは投資ファンド(バイアウトファンド)への転職を
バイアウト業界の黎明期2012年から支援しており、
200名ほどの人々をバイアウトファンドへ橋渡し致しました。

さて、選考が非常にシビアなバイアウトファンドに採用をされる為には、
まず何よりもバイアウト投資の仕事内容を理解している必要があります。

しかし、この仕事内容への理解が不足していると、
例え、必要なスキルや優秀な能力・経験を持っていたとしても、
1次面接などの初戦で不合格となってしまいます。

そこで、バイアウトファンドへの応募する為に必要な準備として、
その仕事内容を理解する為のアドバイスを記載したいと思います。


<バイアウトファンドの仕事内容>

当社のHPをご覧になっている方々はご存知であると思いますが、
バイアウトファンドの仕事と全体のフローを大掴みに記載すると
下記の通りです。

***
投資案件のソーシング(投資候補企業の探索、投資検討)

投資の実行(M&Aエクセキューション)

投資先企業のバリューアップ(企業の再生や成長支援による経営支援)
モニタリング(企業の業績や経営状態、改革の進捗等の分析、管理)

投資先企業のエグジット(売却や株式公開による資金回収)
***

バイアウトファンドの投資プロフェッショナルは、
基本的には上記のフローで仕事を行っています。

それぞれの仕事、投資対象企業のソーシング、投資の実行、
バリューアップ、モニタリング、エグジット等についての解説は、
アンテロープWebサイト(下記)に記載していますので、
理解が十分でないと思う方はご覧下さい。

バイアウトファンドの仕事内容の解説

また、バイアウトファンドの投資プロフェッショナルは
実際の仕事の現場において、何をどう行っているのでしょうか?

具体的な仕事について手触り感のある理解をして頂く為に、
現役の投資プロフェショナルにお話をお聞きしました。

私がお話をお聞きしたのは、スカイマークへの投資で知られている
有力なバイアウトファンド、インテグラルのディレクター山崎氏です。

山崎氏には、上述した仕事のフローに沿ってヒアリングをしています。
仕事の全体像と流れを大まかにでも頭に入れた上で、
このインタビュー記事をお読み頂くと
バイアウトファンドの仕事について理解が深まると思います。

インタビュー記事:ファンド業務の全貌(インテグラル、山崎氏)


<参考書籍>

バイアウトファンドのビジネスや仕事内容を理解する為には、
無料で獲得出来るオープン情報ばかりでなく、
この分野についての専門書を読了しておくことも必要です。
多少のお金はかかりますが、ここはケチらずに勉強しておきましょう。

代表的な書籍を3冊ご紹介します。

***
「バイアウト」
佐山展生、山本礼二郎 著(日本経済新聞出版社)


 インテグラルの共同代表2名による著書。
 バイアウトファンドが具体的に何をやっているのか、
 まさに上述した仕事の流れが具体的に記載されている。
 ファンドの仕組み、ファンドレイズ、ソーシング、
 投資取引、ファイナンス、バリューアップ、エグジットなど
 それぞれに1章をさいて詳しく解説されている。
 バイアウトファンド志望者は必読の書。
 
「プライベートエクイティ」 
杉浦慶一 編、越純一郎 編 (日本経済新聞社)


 複数の国内ファンドの経営陣がバイアウトファドの
 スキーム、ファンドレイズ、企業価値向上、
 LBOファイナンス、などのテーマで各章を執筆。
 対談の記事も掲載されており、さまざまな角度から
 バイアウトファンドを見ることが出来る。

「M&Aファイナンス(第2版)」
笹山幸嗣・村岡香奈子 著(金融財政事情研究会)


 M&Aのファイナンスについては実務で関与したことがなく
 知らずに応募する人もいるが、M&Aファイナンスの
 スキームを創造する力量は大型案件を手掛ける上では
 必須のスキルである。
 仮に実務経験が不足していても、理解をしておくべき。 
 このテーマの名著。
***

<求められる人物像>

バイアウト投資の未経験者採用における募集要件で
求められるバックグラウンドの多くは、
M&Aのエクセキューション(実行)経験です。
外資系投資銀行や証券会社の投資銀行部門、
会計事務所系FASのM&Aチームなどで
M&Aアドバイザリーの実務を3年以上経験していることが
求められることは一般的です。
 
次に多いのは、戦略コンサルティングファームでの
経営コンサルティング経験です。
マッキンゼーやBCGなどですね。
 
他には、総合商社や事業会社での事業投資経験なども
対象になることはあります。

当社で社長小倉や私山本恵亮と共にバイアウトファンドを担当している加藤浩が、
以前にこのテーマでコラムを書いていますので、こちらも参考にされて下さい。

参考コラム:PEファンドで求められる人材

また、経験やスキルという点では上記の通りですが、
M&Aなどのハードスキルがあるからといって、
バイアウトファンドで活躍出来るとは限りません。

例えば、
ソーシングでは、提案力や人間関係構築力、相手のニーズを掴む力など
カバレッジバンカー的な能力や営業センスをはじめ、
相談にのるコンサルタントとしての能力も活きてきます。

また、バリューアップでは、課題発見能力や解決能力などの
コンサルティングで培った経験やスキル、
人を巻き込み動かすことが出来るリーダーシップや
信頼される人間性、
他人を感化させることができる人間力などが必要です。

このように1つの専門性だけでやっていける仕事ではなく、
異なる専門性を各局面で発揮していく仕事です。
まさに、総合格闘技です。

いますぐに出来ることは1つの専門分野だけれども、
入社後は、まるで傘のように自分の専門スキルをぐいっと伸ばして、
さらに能力を横に広げていけるポテンシャルのある人が
求められているのです。


<最後に>

以上の説明とご紹介した弊社が公開している記事、推薦図書などを
お読み頂ければ、基本的なことを理解出来ると思います。

その上で、国内で活躍しているバイアウトファンド各社について
それぞれの特徴を理解しておきましょう。
もちろん、投資案件について調べることもお忘れなく。

また、釈迦に説法だとは思いますが、
バイアウトファンドへの転職ありきでの思い込みによる希望ではなく、
自分自身が何をやりたいのか、自分はどんな価値観を持っており、
それには、どんな仕事がフィットするのか、
しっかりと自分の内面を掘り下げて内省することは大前提です。

参考ツール:自分の価値観を発見する為のワークシート

この自己理解ができていて、
それに合う仕事に就くことができればきっとハッピーでしょう。

バイアウトファンドの仕事を理解して、
その仕事が自分自身の求める要素を持っていると思うからこそ、
志望すべきであり、そう説明するからこそ、
応募先の面接者は納得をして下さるのです。

当たり前のことではありますが、
まずは真摯に自分自身への理解を深めるとともに、
仕事についての理解をしましょう。
そして、両者が一致すると思えるのであれば、
その仕事に挑戦すれば良いのです。

皆さんが働きがいあるキャリアを手に入れることを祈っています。


山本恵亮
アンテロープキャリアコンサルティング株式会社


取締役山本 恵亮 / Keisuke Yamamoto
【経歴】
同志社大学商学部卒。大手人材サービスにて金融とテクノロジー業界を担当後、渡米。在米のコンサルティング会社で、人事コンサルティング、管理部門のコスト削減と業務効率化、人材採用支援などを事業開発マネージャーとして推進。2004年4月アンテロープ参画。PEファンド、投資銀行、経営コンサルティング等への転職支援を行っている。1級キャリアコンサルティング技能士。

【担当領域/実績】
専門はPEファンド(バイアウトファンド)、戦略ファーム、投資銀行が中核。また、金融とコンサルティング業界での15年のエージェント経験で培われた層の厚いネットワークを有し、業界トップ企業から新鋭ファームまで数百名に及ぶ転職を支援してきた。水面下で流通する求人案件の提案から、PEファンドや投資銀行の選考準備、ケース面接対策、希望職種を明確化するための支援まで、寄り添い型のキャリアコンサルティングを行っている。