若手プロフェッショナルのキャリア感の変化

2018-09-26 執筆者:山本 恵亮

最近、労働市場における若手プロフェッショナルの行動が変わってきているのを感じます。

従来は、シンプルに言うと資本主義経済におけるピラミッドの上を目指すというのが若手プロフェッショナルの行動パターンでした。つまり、ピラミッドの頂点である投資家や経営者を目指す高学歴で一流企業勤務の若手人材が、そのビジョンの達成に必要な専門スキルを得るために、投資銀行や戦略ファームへの転職を希望してキャリア相談にご来社されるという流れが、我々と若手プロフェッショナル人材との出会いでした。

そして、株式会社の経営者や資本を握る投資家になるためのキャリア構築を手伝うのがアンテロープのコンサルタントです。つまり、我々はこの資本主義経済のピラミッドの上に登る道筋と登り方をアドバイスし、ステップを登る際に生じる会社と個人の間でなされる労働力商品の売買の仲介を行っているわけです。

こう見るとアンテロープの人材仲介業者としてのビジネスが、資本主義社会における人の流れにピッタリと合致していることが分かりますね。

ところが、最近は投資銀行や戦略ファームを初めとした若手人材の中に、投資家たるバイアウトファンドや大手企業の経営人材に向かうのではなく、フィンテックなどのベンチャー企業を希望して、実際に転じる人が増えています。

しかも、旧来のベンチャー希望者とは動機が異なります。一昔前は、大企業では持てない大きな裁量権を持ってビジネスを動かしたいといった、やりがい重視の動機が多かったように思います。しかし、最近はブロックチェーン技術など産業の仕組みを根本から変えてしまうような、革命的な技術の可能性に魅力を感じている人が多いように思います。マクロ的に見れば、意識的にも無意識的にも、従来の中央集権的な社会から自律分散化社会への転換していくウェーブに乗ろうとしているのではないか? という気がしてなりません。

若手プロフェッショナルがフィンテックベンチャーへ転職することは一見よくある転職の光景だとしても、中身は従来の資本主義ピラミッド内で上を目指す転職とは異なる大きな変化の可能性があります。もしそうだとすれば、転職活動をまだ始めていない若手人材や、そのようなことを意識したことのない人々もアンテナを張っておくべきでしょう。

アンテロープは転職エージェントとして、このウェーブに以前から網をかけています。その結果、ベンチャーキャピタルの募集は20件以上増えており、ベンチャー企業での募集も随分と増えてきました。それもこの1~2年で急増しています。

もちろん、弊社は新しいものだけを追っかけている訳ではなく、バイアウトファンドや投資銀行、戦略ファームなども、引続き網羅的に押さえております。新たなウェーブに乗っていくキャリアも、既存世界で変化を創造するキャリアも、エージェントとして強力に支援していきます。

今の変化の時期に自分のキャリアをどうしようかと検討する際には、例えば弊社にお越しいただいて、これらのお話をお聞きになるだけでも、これから自分が何をやっていくべきか、お考えを進めるきっかけになるのではないかと思います。

山本恵亮

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取締役山本 恵亮 / Keisuke Yamamoto
【経歴】
同志社大学商学部卒。大手人材サービス会社にて金融とIT業界を担当後、渡米。在米のコンサルティング会社で、人材採用支援、人事コンサルティング、そして新規事業の立ち上げを事業開発マネージャーとして推進し、北米での事業拡大に貢献。2004年4月アンテロープ参画、翌年同社取締役。PEファンド(バイアウト)を中心に、VC、M&A、コンサル、投資先企業の経営人材、また組織立ち上げ期におけるコアメンバー採用の支援も強み。1級キャリアコンサルティング技能士。

【担当領域/実績】
専門はPEファンド(バイアウト)、VC、エンゲージメントなど投資ファンド、投資先の経営人材など。20年のエージェント経験で培われた層の厚いネットワークを有し、業界トップから新鋭企業まで数百名に及ぶ転職を支援してきた。水面下で流通する求人案件の提案から、選考対策、希望職種の明確化も含め丁寧な支援を行っている。