ベンチャーキャピタルの採用トレンド

2022-07-22 執筆者:山本 恵亮

アンテロープはPEファンドをはじめとした投資ファンドへの転職支援が強みのエージェントで、PEについては投資フロントの採用で累計300名ほどの実績があります。

これまでファンドといえば、ほとんどの取り扱い求人がPEであったのですが、この数年の傾向としてベンチャーキャピタルからの募集が大きく増えました。その背景には、10年ほど前から独立系VCの設立が増え始めて、それらが1号ファンド、2号ファンドと実績を上げて、3年ほど前から100億円を超える大型のファンドが次々と組成される様になったことがあります。その結果、キャピタリストの増員や給与水準を引き上げるVCが増えました。

それでは、VCはどんなバックグラウンドの人材を中途採用の候補としてみているのでしょうか? これは結構分かりにくいですよね。投資の仕事であっても、PEであればM&Aの実務経験者、ヘッジファンドであれば株式アナリスト経験者(コンサルや投資銀行出身者も多いですが)の様に、必要なバックグラウンドが明確です。

一方で、VCには様々なバックグラウンドの人々が入社をしています。キャピタリスト経験者以外のバックグラウンドの例を挙げると、戦略コンサルティングファーム、総合系コンサルティングファーム、証券会社の公開引受部門、公認会計士(IPO支援経験含む)、弁護士、銀行等での法人営業、スタートアップ、事業会社のCVC部門・経営企画・新規事業部門・研究開発部門、総合商社、ITエンジニアなどなど、本当に色々です。ポテンシャル採用の時には、上記の多様なバックグラウンドの方々が候補として選考されています。

ただし難しいのは、これらの職種を経験すれば確実にVCへのステップになるのかというと必ずしもそうではないことです。これらのバックグラウンドとは別にスタートアップ業界への興味と理解、VCへの理解と明確な志望動機などが(当然ですが)求められています。

AI、SaaS、IoT、ロボティクス、サイバーセキュリティ、フィンテック、ヘルスケアテック、モビリティ、スマートシティやその他ディープテック領域など、スタートアップの様々な領域のトレンドを理解した上で、どんなプレーヤーがいてどの様な事業をしているのか、大づかみにでも把握する必要があります。

その上で、自分がなぜキャピタリストを志望するのか、明確に話せないといけません。面接においては面接担当者から「業界や社会はどう変わっていきそうか」、「もし自分が投資をするならどこに投資をしたいのか」、「どんな投資をやりたいのか」といった質問をされれば、それらの質問に答えて議論をします。

業界や仕事への理解があった上で自らの考えを述べて会話が盛り上がれば、述べた志望動機も信ぴょう性が増して真剣にキャピタリストを目指していると受け止めてもらえるでしょう。逆に言えば、その様な会話が出来なければ「本当に志望しているのかな?」と疑問を持たれて不合格になってしまいます。

現在、VC業界は中途採用の募集が活発で、キャピタリスト未経験者でも応募できる求人が多いです。キャピタリストを目指す人々にはチャンスが多い恵まれた状況ですので、そのチャンスを活かせる様にしっかりと準備をした上で応募することをお勧めします。

もちろん、VCでの求人案件の紹介や選考に向けた準備は我々がご支援いたしますので、私やアンテロープの各担当者にぜひご相談下さい。

取締役山本 恵亮 / Keisuke Yamamoto
【経歴】
同志社大学商学部卒。大手人材サービス会社にて金融とIT業界を担当後、渡米。在米のコンサルティング会社で、人材採用支援、人事コンサルティング、そして新規事業の立ち上げを事業開発マネージャーとして推進し、北米での事業拡大に貢献。2004年4月アンテロープ参画、翌年同社取締役。PEファンド(バイアウト)を中心に、VC、M&A、コンサル、投資先企業の経営人材、また組織立ち上げ期におけるコアメンバー採用の支援も強み。1級キャリアコンサルティング技能士。

【担当領域/実績】
専門はPEファンド(バイアウト)、VC、エンゲージメントなど投資ファンド、投資先の経営人材など。20年のエージェント経験で培われた層の厚いネットワークを有し、業界トップから新鋭企業まで数百名に及ぶ転職を支援してきた。水面下で流通する求人案件の提案から、選考対策、希望職種の明確化も含め丁寧な支援を行っている。