PEファンドへの転職者の出身業界が多様化

2025-04-07 執筆者:山本 恵亮

アンテロープではPEファンド(プライベートエクイティ)への転職を数多く支援させて頂いており、2002年の会社設立時からの累計で300名以上のPEファンドへの転職実績があります。
弊社は日本で活動している主要なPEファンド(外資、日系を問わず)を網羅的にカバーしており、その大部分に弊社経由で入社した人々がいます。10年以上前に入社した方々の中にはパートナーやMDなどの幹部として活躍している方々もいます。

PEへ転職する人々の出身業界の割合を10年前と比較

さて、このように長くPEファンドへの転職をお手伝いしていると、過去、例えば2010年代初頭と2020年代の前半ではPEファンドへ転職する人々のバックグラウンドが多様化してきたと感じます。

例えば、2010年代前半に弊社からPEファンドへ入社した人々のバックグラウンドは、大まかな数字ですがM&A(8割)、コンサル(1.5割)、その他(0.5割)です。その他にはPE未経験者では総合商社、弁護士などが含まれます。

これが2020年以降になると、M&A(5.5割)、コンサル(1.5割)、総合商社(1.5割強)、その他(1.5割弱)となっています。その他には弁護士、キャリア官僚、事業会社(商社以外)など色々なバックグラウンドが含まれPE経験者も増加しています。

こうして比較してみるとPEファンドへ転職する人々が随分と多様化したことが分かると思います。

なぜ総合商社からの転職者が増えたのか

特に、総合商社からPEファンドへの転職者の割合が3倍を超える増加で際立っています。この要因はPEファンドのジョブマーケットの環境変化と総合商社の人材が経験している業務内容の変化があると思います。

PEファンドのジョブマーケットはこの10年程で倍に拡大しています。かつてはPEファンド業界全体へ転職した人々は年間で50名に満たなかったのが、最近では100名程度になっているイメージです。そうすると従来の採用要件(投資銀行と戦略ファームにほぼ絞った採用)では候補者の母数が不足しますので、対象を広げる必要が出てきます。

また、総合商社ではかつてのトレーディング(貿易)から投資へ事業が転換してきており、商社で働く若手の実務経験も国内外の企業への出資、出資後の経営管理や経営支援などにシフトしています。例えば、海外企業に出資した後、その対象会社に出向して事業の立て直しや新規事業の立ち上げなどを経験している人々も多いです。これらの経験はPEファンドで生かせます。
更に、商社を退職して私費でMBA留学をしている人も最近では目立つようになりました。こうしてPEファンドを含むプロフェッショナルファームで必要な基礎スキルや知識を獲得している人も増えています。

以上のような背景から、総合商社からPEファンドへの転職者が増加しているのでしょう。

選考を突破する為には準備が必要

最近ではPEファンドへ転職を実現した人々は、PE未経験者では投資銀行などのM&A経験者が半分以上を占めつつも、コンサルファーム、総合商社などからの転職者となっています。加えて、PEファンド経験者が他のファンドへの転職や新しく設立されるPEファンド(日本に進出する海外PEや国内の新興PEなど)への参画をしています。

この様にPEファンドへの転職者が多様になっており、それに伴いチャンスも広がっています。ただし、これまでも繰り返し発信させて頂いておりますが、PEファンドの選考は大変セレクティブです。「とりあえず応募して選考を受けながら考えてみよう」というスタンスでは必ず不合格になります。業界や仕事の理解、自己理解、不足しているハードスキルの自己研鑽など事前にしっかりと準備する必要があります。

このような準備は必要ですが、PEファンドでの仕事は大変やりがいがあります。もし初期的にPEファンドに興味をお持ちになった場合は、まずはPEファンドを理解することから取り組むことをお勧めします。

弊社のようなPEファンドにフォーカスしたエージェントにご相談頂くのもウェルカムですし、下記に紹介する書籍や動画、記事を読んで頂くことから始めても良いと思います。


山本恵亮


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・書籍(共著):PEの仕事を理解する本
コンサルが「次に目指す」PEファンドの世界
 

・PIVOT 公式チャンネル
【コンサルが「次に目指す」PEファンドとは?】
 
 
・東洋経済オンライン
コンサル人材が目指すPEファンドへの"転身"
 

・ダイヤモンドオンライン
1回目:
コンサルの「次のキャリア」はPEファンド!?求められる具体的なスキルと知られざる選考プロセスを徹底解説
 
2回目:
コンサル→PEファンドに転職で年収2000万円増も!職位別の報酬額と、4件の具体例を公開

取締役山本 恵亮 / Keisuke Yamamoto
【経歴】
同志社大学商学部卒。大手人材サービス会社にて金融とIT業界を担当後、渡米。在米のコンサルティング会社で、人材採用支援、人事コンサルティング、そして新規事業の立ち上げを事業開発マネージャーとして推進し、北米での事業拡大に貢献。2004年4月アンテロープ参画、翌年同社取締役。PEファンド(バイアウト)を中心に、VC、M&A、コンサル、投資先企業の経営人材、また組織立ち上げ期におけるコアメンバー採用の支援も強み。1級キャリアコンサルティング技能士。

【担当領域/実績】
専門はPEファンド(バイアウト)、VC、エンゲージメントなど投資ファンド、投資先の経営人材など。20年のエージェント経験で培われた層の厚いネットワークを有し、業界トップから新鋭企業まで数百名に及ぶ転職を支援してきた。水面下で流通する求人案件の提案から、選考対策、希望職種の明確化も含め丁寧な支援を行っている。