PEファンド(プライベート・エクイティ)の年収とキャリー

2025-07-15 執筆者:山本 恵亮

PEファンドの報酬体系は、ベース年俸+賞与+キャリー(キャリードインタレスト)という仕組みとなっています。

このうちベース年俸や支給がほぼ確定している賞与についてはファンドの管理報酬から支払われます。この管理報酬はファンド総額の1.5パーセントから2.5パーセント程です。例えば、ファンド規模が1000億円の場合、年間の管理報酬は15億円~25億円となります。ここから人件費をはじめ諸経費が支払われます。


ベース年俸と賞与


PEファンドのベース年俸と賞与の金額の目安はどの程度でしょうか?
タイトル(職位)ごとの年収水準を外資系が中心のラージキャップのPEファンドと国内系が多いミッドキャップのPEファンドについて以下にそれぞれ記載します。

<ラージキャップ>

アソシエイト:1000万円台前半+賞与(ベース年俸の50~100%)

シニアアソシエイト:1500万円~2000万円+賞与(同上)

VP:2000万円~2500万円+賞与(同上)

ディレクター:2500万~3000万円台前半+賞与(同上)

パートナー:3000万円以上+賞与(同上)

*ベース年俸と賞与に加えてキャリー有り。


<ミッドキャップ>

アソシエイト:800万~1000万円+賞与(ベース年俸の20~50%程)

シニアアソシエイト:1000万~1500万円+賞与(同上)

VP:1500万~2000万円+賞与(ジュニア層より高い比率)

ディレクター:2000万~2000万円台後半+賞与(同上)

パートナー:3000万円以上+賞与(同上)

*ベース年俸と賞与に加えてキャリー有り。


キャリー(キャリードインタレスト)


PEファンドの報酬面の特徴は、ベース年俸と賞与の他にキャリーというものがあります。まず、概要を説明しますと、キャリーとはファンドの投資成果に応じた成功報酬です。ファンド運営会社はGP出資をした権利として、利益の一定割合の報酬を受け取ります。

PEファンドは、ファンドへの出資者に元本を返すとともに、元本の約8%をハードルレートとして優先的にLP投資家に還元します。
そして、ハードルレートを超えてキャピタルゲインが得られた場合、LP投資家に80%を分配し、GP側に数%~20%を割り当てます。このGPに割り当てられた20%分の金額によってキャリーの金額が決まります。

例えば、ハードルレート分を除いた回収資金が1000億円だとすると、GPに200億円が還元されます。このうち半分の100億円を会社に残すとして、残りの100億円をメンバーで分配します。これをタイトルや貢献度合いに応じて上から傾斜配分をしていきます。メンバーが50名いたら均等に割れば一人当たり2億円ですが、実際には傾斜配分されて、シニアアソシエイトやアソシエイトなどのジュニアクラスの場合は数百~数千万円くらいの規模となることが多いようです。

ただし、多くの場合ジュニア層は実際には「リターンから得られた賞与(キャリー型の賞与)」ですので高額の所得税がかかります。
一方、幹部層などファンドに自らの資金を出資できる場合はキャリーがキャピタルゲインとして認められるので、その場合は税率が20%程でかなり金額的に有利です。(当然ですが自己資金をファンドに出資する場合、運用が失敗すれば資金を失う訳でリスクを取ることが求められます。)


お金(だけ)よりも本当にやりたいことか?


キャリーのことまで考えれば、以上のようにPEファンドは職位を上がればそれだけ大きな報酬を得られるチャンスがあります。ただ、PEファンドで投資からEXITまで自分で実行してリターンを出し続けることができるようになるには10年かかると言われます。つまりパートナーあるいはそれに準ずる立場と実力を得るには10年はコミットする必要があります。PEファンドは株主側で権力を持つ立場ではありますが、一方で、責任が大きく困難に立ち向かう仕事です。大変な時に踏ん張って障害を乗り越え続けていくのは報酬の魅力だけでは難しいでしょう。
本当にPEの仕事がやりたいという覚悟が必要です。

まずは、自分にとっての仕事の意味を考え、それがPEファンドで実現できることなのか、深く考えることが大切です。しっかりと自己理解に取り組み、PEファンドの仕事を理解すべく業界研究に取り組むことをお勧めします。


アンテロープキャリアコンサルティング株式会社
取締役 山本恵亮


*PEファンドでのキャリアについて詳しくお知りになりたい場合は、下記の書籍と動画をご覧下さい。


<著書>
コンサルが「次に目指す」PEファンドの世界
   
<動画>
・PIVOTインタビュー
コンサルが「次に目指す」PEファンドとは?

<寄稿記事>
・東洋経済オンライン
コンサル人材が目指すPEファンドへの"転身"
 

取締役山本 恵亮 / Keisuke Yamamoto
【経歴】
同志社大学商学部卒。大手人材サービス会社にて金融とIT業界を担当後、渡米。在米のコンサルティング会社で、人材採用支援、人事コンサルティング、そして新規事業の立ち上げを事業開発マネージャーとして推進し、北米での事業拡大に貢献。2004年4月アンテロープ参画、翌年同社取締役。PEファンド(バイアウト)を中心に、VC、M&A、コンサル、投資先企業の経営人材、また組織立ち上げ期におけるコアメンバー採用の支援も強み。1級キャリアコンサルティング技能士。

【担当領域/実績】
専門はPEファンド(バイアウト)、VC、エンゲージメントなど投資ファンド、投資先の経営人材など。20年のエージェント経験で培われた層の厚いネットワークを有し、業界トップから新鋭企業まで数百名に及ぶ転職を支援してきた。水面下で流通する求人案件の提案から、選考対策、希望職種の明確化も含め丁寧な支援を行っている。