不動産ファンドで高まる不動産ファイナンス経験者の採用需要

2026-01-29 執筆者:岡田 真奈

不動産ファンドが、銀行での不動産ファイナンス経験者を採用したいというニーズ、また、不動産ファイナンス経験のある方が不動産ファンドに転職したいと相談いただくケース、いずれも多くある事例です。

◆どのような経験が求められるか
不動産ファンドが評価するのは銀行的な与信よりも「投資家目線での資金設計とリスク判断ができるスキル」のため、不動産ファイナンスの中でも刺さる経験と“刺さりにくい経験があります。

結論として、ファンドが求める王道はノンリコースローン経験です。
理由:
・不動産から得られる収益や売却代金のみを返済原資とする(返済できなくなっても担保物件以外には責任が及ばない)ものであり、これはファンドの投資判断と同様
・LTV/DSCR/売却価値を計算し、組み立てる力がある
・SPC/スポンサー/レンダー間の関係について実務からの理解がある
評価されるスキル:
・キャッシュフローモデルの読解
・レバレッジ設計(どこまで借りられるかの算出)
・売却前提のローン条件設定

次点として、上場リート等がよく借り手となるキャッシュフローベース融資(将来生み出すCFも含めて返済原資と評価する)の経験です。
理由:
・NOI/賃料/稼働率に基づく分析ができる
・マルチテナント/賃貸契約リスクの評価ができる
評価されるスキル:
・マーケット賃料と現行賃料の乖離分析ができる
・テナントクレジットの見方ができる
・売却時のキャップレート感覚がある

以下はケースバイケースで評価されうる経験です。
・開発融資の経験はバリューアップ型ファンドとは相性が良い
・メザニン/ストラクチャードローン経験はマッチする場合もある

◆どのような業務で経験を活かせるか
結論として、最もフィットしうるのは期中運用(AM)業務です。
ただし、アクイジションに行ける可能性も十分あります。

期中運用(AM)が最もフィットする理由:
・銀行側の思考が肌感覚も含めて理解できる
・稟議で何が嫌われるか・通るかがわかる
・数字とリスク管理に強い

以下の業務において経験を活かすことができます。
・レンダー対応
・ローン条件管理(LTV、DSCR、コベナンツ)
・リファイナンス/条件変更交渉
・収支モニタリング(NOI、CF、感応度)
・売却時のローン完済/調整対応

一方、アクイジションで活かせる可能性がある経験は以下の通り。
・レバレッジ設計や資金調達方針を考えられる
・レンダーを選択するためのリスク洗い出しができる
・売却前提で資本構成を見ることができる

逆に、アクイジションへ転身する上でキャッチアップが必要となりそうな点は以下の通りです。
・マーケット賃料への理解
・物件そのものへの肌感覚
・売買交渉の肌感覚

これまでの事例を見ていますと、
アクイジション・期中運用(AM)での採用可能性に加え、
ファンドによっては財務IRや不動産ファイナンス業務が独立して存在しているところもあるため、こういった業務において採用される可能性も十分にあります。

岡田 真奈 / Mana Okada
【経歴】
早稲田大学教育学部卒。新卒で三井住友銀行入行。個人富裕層および中小企業営業を担当。採用面接や人材開発にも携わる。その後野村證券にて証券営業を経験。通算約13年間金融業界に在籍した。自身がキャリアに悩んだ経験や、経営者の悩みは人材に起因するものも多いという現実を知ったことから、個人のキャリア構築に貢献し、企業を人材面から支援したいという思いでアンテロープに参画。

【担当領域/実績】
アセットマネジメント(伝統的資産・オルタナティブ資産)、不動産金融、グローバルマーケッツなどを担当。金融および不動産業界出身の方々のキャリア支援に強みを持つ。国家資格キャリアコンサルタント。