PEファンドに採用されるタイプ

2022-03-15 執筆者:加藤 浩

PEファンドで求められる人材とは。

人材要件上のスペックでいえば投資銀行、FAS、コンサル出身者等ということになるのですが、人気のファンドによっては競争倍率が100倍を超える激戦区の中、必ずしもバックグラウンドだけで決まるわけではなく、人物像、タイプのようなものが選考要件として間違いなくあります。
弊社の経験上、どういった方が結果として内定を獲得されているのかをまとめてみました。

■可愛がられるタイプ
未経験であればアソシエイトで入社するのが通常なので、既存メンバーからしても「彼/彼女なら仕事を教えたい」「一緒に仕事をしたい」と思えるかどうかは、当たり前なのですが非常に重要です。
ファンドの場合、社員が数名~数十名くらいしかいないことも多いので、それぞれの関係性が密になります。ひとりでも尖ったタイプが入ってしまうと企業文化にも影響しかねないので、やはり採用したがらなくなります。また、これもよく言われることですが、投資先企業に入りこんでいく場面も多いので、経営者や年配の方から可愛がられたり、信頼されるタイプであることも重要です。

■リーダーシップ
リーダーシップというのは正確な表現ではないかもしれませんが、ファンドの仕事は外部のアドバイザーやコンサルサント、法律事務所など様々な機関の方々に協力を仰ぎながら進めていく場面も多く、それらを主体的にハンドリングできる力は間違いなく必要です。
また、これも当然ながら投資後は投資先企業の役員として改革を推進していくこともあるので、そういった場面でもリーダーシップが求められます。

■好奇心旺盛
投資銀行出身者もコンサル出身者も、総合格闘技と言われるファンドの仕事においては初日からいきなりの即戦力にはなり得ず、ファイナンス、ビジネス、法律、税務など新たに知識や経験をキャッチアップしていく場面がとても多いです。
投資銀行やコンサル時代にはクライアントにしなかったような業界、サイズが投資先企業になることもあり、そういった新しい世界を理解しようとする好奇心が重要ですし、すばやくキャッチアップできる柔軟性、地頭の良さも求められます。
面接の場で志望動機を深く掘り下げて聞くのも、こういったファンドの仕事の特性を理解しているかを確かめる狙いもあります。

■儲けることへの意欲
これはファンドによって理念など違いが様々なので一概には言えないのですが、儲けることへの感度が求められる場面があります。
ファンドにとってクライアントは投資家であり、投資家にいかにリターンを返すかがファンドの任務になります。よく志望動機を聞かれ、社会的意義ばかりを語る方がいらっしゃるのですが、そこに何となく違和感を感じるという面接官が結構います。
もちろん社会的意義は間違いなくありますし、それを第一に運営しているファンドも多いですが、他のビジネス以上に利益を出すことが求められる環境であることも事実です。キャリーという制度もファンドメンバーのモチベーションをより上げるために設けられていますし、そういった制度で意欲が上がるタイプの方が向いているということにもなります。

カルチャーや相性は当然ファンドによって変わってくるので、自分に合ったファンドを見つけるべく、転職活動では複数のファンドを見ていくことをお勧めいたします。

加藤 浩 / Hiroshi Kato
【経歴】
上智大学法学部卒。大手メディア企業にてアジアを中心とした海外営業に10年間従事。その後、コンサルティング会社で人事領域をフロントラインで広くカバーする中、数々の優秀な人材と接触。プロフェッショナルのキャリア構築をこの手で支援したいとの強い思いから、2007年にアンテロープへ参画。

【担当領域/実績】
専門はPE投資ファンド、M&Aアドバイザリー、戦略系・総合系・再生系コンサルティングファーム。PEファンド等、マネージングディレクタークラスと独自のネットワークがない限り応募をすることすら難しい業界にも、豊富なパイプラインを持つ。情報提供はもちろん、コンサルファームのケース面接対策はじめ、キャンディデートを文字通りハンズオンで支援することにより、これまで経営トップから若手人材まで数百名の方々の転職を成功に導いてきた。