ポストコンサルのキャリア

2014-06-26 執筆者:佐藤 史子

コンサルティング業界を志す方々はみなさん一様に、転職の際にその先のキャリアパスについて想いを巡らせ、リサーチをされることと思います。私たちも、コンサルティング業界への転職相談に乗る際に必ずと言っていいほど、ポストコンサルの選択肢についてご質問をお受けします。

以前に比べて、ポストコンサルのキャリアパスも多様性が見られるようになったように思います。特に事業会社においては、ほんの数年前はインターネット系の新興企業が王道でしたが、最近では日系のブルーチップ企業や中堅の企業からも、プロフェッショナルファームの出身者を採用したいというお話をよく伺うようになりました。海外展開や戦略の転換に向けた組織変革の切迫性、事業の再生など背景にある課題は様々ですが、コンサルティングファーム出身者がジョブマーケットに飛び出し、方々で活躍し実績を積んで来たこと、またコンサル出身者が持っている「正解のないような難しい課題へ対応する力」「タスクを整理しながら人を巻き込んでプロジェクトを推進する力」などが、どのような場面でも汎用的に評価されているように思います。

当然ながら一概にポストコンサルと言っても、その方がどのような領域でコンサルティングを行ってきたか、コンサルとしてどのような強みをお持ちかで、先々の選択肢は変わってきます。ここからは最近のいくつかの事例を交えながら、採用側がコンサル出身者に期待することや転職成功のポイントなどを見ていきたいと思います。


●外資系コンサルティングファームから国内系ファームを経て大手事業会社の経営企画室へ

新卒で外資系ファームに入社され数年活躍された後、ハンズオン型ファームに転職。そこで数年勤務された方が日系大手事業会社の海外戦略部門に転職された事例です。コンサルティングファームで養ってきたロジックの強さと、現場の厳しさを肌感覚で分かっていることが成功の決め手になりました。

●外資系コンサルティングファームから投資ファンドへ

中途採用で外資系コンサルティングファームへ入社。順調にキャリアを積んで30代半ばで投資ファンドへの転職に成功されました。コンサルタントとしてのご経験を買われたことはもちろんですが、ファンドの目指すコンセプトとその方のビジョンがぴったり一致していたことがポイントになり、非常に順調にプロセスが進みました。ご自身のキャリアプランがはっきりしていたため、ちょうど始まった募集のタイミングで迷わず応募をされ、機会を逃さずキャッチすることが出来たと言えます。

●外資系コンサルティングファームから人事組織系ファームへ

新卒で外資系のトップファームに入社され、数年勤務の後、人事組織系ファームに転職をされた事例。戦略コンサルタントとしてのプロジェクト経験が、戦略の実行をドライブするための組織設計・人事制度導入のプロセスや、経営課題から人事課題へ落とし込みを行う際の課題の整理に大きくプラスになるとの評価で、強い歓迎モードで転職を実現されました。ご本人も、コンサルタントとしての経験の第2ラウンドに入りつつ、元の職場より長期的に安定してキャリアを積めるとの理由で、ハッピーな転職になりました。


転職を成功された方々の顔を思い出して共通して言えるのは、客観的に冷静にご自身のコンサルとしての強み、そして足りないところも把握されていたこと、それをどのように転職市場にアピールしていくのか、よく考えられていたことだと思います。

当然ながら、トップファーム出身の方と言えどもすべての転職先の採用要件に万能に当てはまる訳ではありません。転職先で求められ、快適にご自分の力を発揮できる場所を見極めることも、成功を手にする一つの要素になると思います。応募する側がポストコンサルに何を求めているか、このあたりはご自分の力だけで見極めるのは難しいことだと思います。そのような時は、ぜひ一度ご相談ください。ご自身が思い切りパフォームできる環境はどのようなところか、一緒に探していきたいと思います。

佐藤 史子 / Fumiko Sato
【経歴】
津田塾大学学芸学部国際関係学科卒。新卒で大手新聞社に入社し、取材記者として勤務。その後大手総合人材サービス会社を経て2008年より現職。人材業界でのキャリアは通算15年以上にわたる。

【担当領域/実績】
コンサルティング業界担当。毎年年間200名以上の候補者の転職やキャリア形成をサポート。外資系戦略コンサルティングファーム、総合系ファーム、会計系財務アドバイザリーファームを中心に業界でのネットワークを広く持ち、現役コンサルタントの方々との日々のコンタクトを通じて業界の生の情報に触れ、コンサルティング業界の最新動向やキャリア形成に関する知見を磨く。これらをソースにした的確な転職アドバイスに強み。大手ファームへの転職支援はもちろん、ポストコンサルの方々のファンドや事業会社のコアポジションへの転職支援実績も多数。