面接でしゃべる「コトバ」が語るもの

2016-11-30 執筆者:佐藤 史子

先日、とある事業会社に外資系コンサルティング会社の候補者の方をご紹介しました。大変優秀で、評価も昇格も順調。社内でも特に優秀な方が所属するチームでよい実績を積まれて、今後コンサルティングを続けるか、社外で第2のキャリアを歩むか、熟慮の上で活動に入られました。経歴は申し分がない方で、ご本人もこれまでの実績からくる自信に溢れており、安定感抜群。私も「転職先はすぐに決まるだろうな」という楽観的な見通しを持つ中で、活動がスタートしました。

しかし、いざ開始してみると意外にも面接で苦戦され、中々先に進みません。返ってくるフィードバックを見ていても「ご経歴は申し分ないのですが、当社には合わない」、「実績は素晴らしいのですが、チームで働くイメージがもてない」、「コミュニケーション能力が…」という、なんともあやふやな内容。面接の手ごたえが悪くないだけに、ご本人も困惑されておりました。

あまりにも手ごたえがないので、不採用になった応募先に、具体的な懸念ポイントを突っ込んで聞いてみると「話し方や説明の仕方におけるコンサルタント色が強すぎて、当社では浮いてしまう」という、ちょっと意外な答えが返ってきたのです。

私はその方との面談でのやり取りを振り返ってみました。思い当たったのは、確かにコンサルティング業界独特の横文字の多さ。

「私のケイパビリティは~というところにありまして…」
「次のオポテュニティは、こういうクライテリアで探したいと考えており…」
「そういうオプションは、Nice to Haveですね」

話される内容自体は決して斜に構えたり、上から目線でもなんでもないのですが、このようにちょっとしたコトバが違和感を与え、本来の評価を得られないでいたようです。

今でこそ私も、コンサルティング業界で10年近く転職支援を行っており、こうした表現も耳に馴染んでしまった感があります。が、初めて聞いたときは率直に言って「なんだそりゃ!? 随分と特殊な言語で語る方々だなあ」と感じたことを思い出してしまいました。

業界独特の言い回しが一概に悪いということではないのですが、特にプロフェッショナルファームの方々においては、ご自身と周囲の方にとっての共通言語と、一般企業との間の差分みたいなものは意識しておく方が得策かもしれません。

言語表現そのものより、環境や共通言語が変わっているのに、それに気づかずに自分のこれまでの慣例を持ち込んでしまうこと。それ自体が、空気が読めない、協調性がないとの印象を与えてしまう危険性があるからです。

ちなみに、前述の方は、こうしたフィードバックを意識されたことで、無事に希望の応募先で内定を獲得されました。

佐藤 史子 / Fumiko Sato
【経歴】
津田塾大学学芸学部国際関係学科卒。新卒で大手新聞社に入社し、取材記者として勤務。その後大手総合人材サービス会社を経て2008年より現職。人材業界でのキャリアは通算15年以上にわたる。

【担当領域/実績】
コンサルティング業界担当。毎年年間200名以上の候補者の転職やキャリア形成をサポート。外資系戦略コンサルティングファーム、総合系ファーム、会計系財務アドバイザリーファームを中心に業界でのネットワークを広く持ち、現役コンサルタントの方々との日々のコンタクトを通じて業界の生の情報に触れ、コンサルティング業界の最新動向やキャリア形成に関する知見を磨く。これらをソースにした的確な転職アドバイスに強み。大手ファームへの転職支援はもちろん、ポストコンサルの方々のファンドや事業会社のコアポジションへの転職支援実績も多数。