プロフェッショナルファームでの女性のキャリアデザインとは?

2018-11-28 執筆者:佐藤 史子

先日、アクセンチュアの女性MD、マネージャーの方々に、働き方やキャリア形成についてのお話を伺う機会をいただきました。

いずれの方々も、ご結婚や出産などのライフイベントを経て、アクセンチュアで管理職として充実したキャリアを築かれており、三者三様に個性豊かで(ご本人たちは「芸風」とおっしゃっておりましたが)、魅力あふれるプロフェッショナルでした。私自身も仕事を持つ女性として考えさせられること、刺激を受けることばかりで、とても楽しい時間を過ごさせていただきました。

特に印象に残ったのは、みなさんが共通して、結婚や出産などのキャリアを左右するような大きな場面に遭遇された時に、肩肘をはらず「環境が変われば出来ることと出来ないことが出てくる。制約を受け入れて、とりあえず前に進もう」というフレキシブルなスタンスで対処されていたことです。仕事が波に乗っている時に出産されたり、妊娠中にMDとしてアクセンチュアにご入社されたり、みなさんまだまだ女性の少ないコンサルティング業界で、タフで激動の時間を過ごされて来ています。

様々なライフイベントの壁にぶち当たり、さぞかし悩み多き日々の苦労話が出てくるのかと思っていたのですが、予想に反して「なるようにしかならないから」と笑顔で語られていました。自分のキャリアプランに執着したり、自分の期待値をいつも100%超えることに拘るのではなく、自然体のHappened Stance。起こったことや変化を柔軟に受け入れて、その時その時の選択を最善のものに変えてこられたことが感じられ、とても清々しい印象を受けました。

これは決して場当たり的に出来ることではありません。キャリアに関する選択を迫られた時、岐路に立つ瞬間に到るまでの弛まない努力や積み重ねがないと成り立たないことです。実際みなさん、社会人生活の早い段階でご主人の転勤や留学でキャリアを中断されたことがあり、女性が働いていくにはどこに行っても寄って立つスキルが必要であることを実感されて、コンサルティング業界に飛び込み実績と能力を高めてきています。

女性であることを言い訳にしない。自信がない時も、時に不安がある時も、やるべきことはやるといって逃げずに引き受ける。成果を出すためにフルコミットメントされてきているのです。だからこそ、予期せぬライフイベントで環境が変わった時、これまでと異なるやり方をしなければならなくなった時にも、しなやかに順応してこられたのだと思います。

女性に限らず、転職などキャリア形成全般において、もっと言うとすべての勝負事において、本番を迎えるまでの準備の期間で勝敗の9割が決まってくるのだと思います。いざ転職活動に入り、応募先を決める段階になってから、急にスキルが高まるわけでも、これまで出来なかったことが出来るようになる訳でもありません。それまで培ってきた自分で勝負するしかないのです。だからこそ、日ごろから自分にとって必要な経験やスキルを積むための努力や、自分が目指す姿について考え続けることが大事なのだと思います。

裏を返せば、この積み重ねをすることによって、いざ転機を迎えた時に、自分はこういう人間でこれが出来る、こういう場面で価値が出せる、という良い意味で強気な姿勢で臨めます。女性に限ったことではないですが、自身にとってのターニングポイント、変化の時をしなやかに乗り越えられるよう、己を研鑽することの大事さを感じた時間でした。


今回ご紹介した取材時の記事がこちらになります。ぜひご覧ください。
アクセンチュア インタビュー特集第2回:タフでしなやかな、女性コンサルの働き方改革

佐藤 史子 / Fumiko Sato
【経歴】
津田塾大学学芸学部国際関係学科卒。新卒で大手新聞社に入社し、取材記者として勤務。その後大手総合人材サービス会社を経て2008年より現職。人材業界でのキャリアは通算15年以上にわたる。

【担当領域/実績】
コンサルティング業界担当。毎年年間200名以上の候補者の転職やキャリア形成をサポート。外資系戦略コンサルティングファーム、総合系ファーム、会計系財務アドバイザリーファームを中心に業界でのネットワークを広く持ち、現役コンサルタントの方々との日々のコンタクトを通じて業界の生の情報に触れ、コンサルティング業界の最新動向やキャリア形成に関する知見を磨く。これらをソースにした的確な転職アドバイスに強み。大手ファームへの転職支援はもちろん、ポストコンサルの方々のファンドや事業会社のコアポジションへの転職支援実績も多数。