VCへの転職に有利なキャリア・職種とは?

2021-05-18 text by 佐藤 史子

昨年以来、コロナ禍でもベンチャー投資の勢いは衰えていません。2020年もスタートアップの資金調達額は累計5000憶円程度、そのうち半分近くがベンチャーキャピタル(VC)による出資と言われています。オープンイノベーションの重要性が認知され、事業活動として定着しつつある、ということでしょう。一過性のブームではなく、恒常的にスタートアップの智を取り込もうとする動きは確実に広がってきています。

このような流れから、転職先としてベンチャーキャピタルに関心をお持ちの候補者の方が実に増えてきたと感じます。今まで世にない体験、サービスを発掘、創造したい。そのことにより、経済や社会の構造を変えるような大きなインパクトを与えたい。起業家に寄り添って、産まれたばかりのビジネスを大きく育てたい。みなさん、それぞれの想いでご相談に来られます。「どうしたらVCに転職できますか?」この疑問にお答えするために、ここでは、将来のキャピタリストを目指して、どんなキャリアステップが有益か、武器になる力を磨ける職種はどんなものがあるのかを紹介してみたいと思います。

■コンサルティング
投資対象となるスタートアップのビジネスモデルの検証や経営支援に必要な力をつけるには、やはり有益な選択肢です。戦略コンサルティングは汎用性がありますが、他にも新規事業戦略や実行支援にフォーカスした経験、先端技術をテコにした事業の構造改革や顧客体験のデジタル推進などは、VCの選考では加点ポイントになります。VCの選考では、テクノロジー系の知見やバックグラウンドを求められることも多く、IoTやAR・VR、AIなど先端技術の利活用に強い方は有利です。またIPO支援や、数は多くはないですがベンチャー向けの経営コンサルティングもお勧めです。

■アクセラレーター
シード段階を過ぎたスタートアップ企業のビジネス拡大に焦点を当てた資金投資やノウハウなどのサポートをする組織です。数週間~数カ月の短期的支援で、ビジネスを急速に成長させるアクセラレーター・プログラムを提供します。スタートアップやベンチャー企業との新興事業に大企業や自治体が出資・支援することによって、共創や協業を目指すための実証実験がアクセラレーター・プログラムです。投資を行うこともありますが、目的はVCのようにリターンを狙ったものではなく、協業を目指す場合が多いです。グローバルではPlug and Play、国内ではグロービス、サムライインキュベート、ゼロワンブースターなどが主なプレイヤーです。スタートアップの成長に必要な様々な支援を行いますので、VCの仕事に非常に近く、併願される方も多い職種です。

■投資・M&A
スタートアップへの投資は、PEに比べて財務諸表もシンプルで、投資の際に高度な財務スキルが求められることはほぼないのですが、特にレイターステージ以降、規模の大きめの投資を行うVCでは、投資やM&Aの経験が優遇されるケースがあります。中には、財務の試験を行うところもあったりしますので、金融系のバックグラウンドの方はこの路線でいかれるのもありだと思います。

■スタートアップでの就業経験
ポテンシャル採用に近いですが、スタートアップのカルチャーや事業の難しさを知っていることが評価につながることもあります。またVCでは、入社をしたら職位に関わらず自分でソーシングをします。起業家が集まるイベントに参加したり、他のキャピタリストとの関係構築をしたりしながら有望なスタートアップを探す訳ですが、スタートアップ界隈でリレーションを作っていると、VC転職後ソーシングの際に活きてきます。

以上、代表的な選択肢をご紹介してきましたが、VCはPEやコンサルティングファームに比べて採用要件が確立されておらず、捉えにくい業界であると思います。VC業界を志望される方は、ぜひご相談ください。色々な事例を見てきた経験から、皆さんの強みやご希望を踏まえた、有益な選択肢をご提案したいと思います。

佐藤 史子 / Fumiko Sato
【経歴】
津田塾大学学芸学部国際関係学科卒。新卒で大手新聞社に入社し、取材記者として勤務。その後大手総合人材サービス会社を経て2008年より現職。人材業界でのキャリアは通算15年以上にわたる。

【担当領域/実績】
コンサルティング業界担当。毎年年間200名以上の候補者の転職やキャリア形成をサポート。外資系戦略コンサルティングファーム、総合系ファーム、会計系財務アドバイザリーファームを中心に業界でのネットワークを広く持ち、現役コンサルタントの方々との日々のコンタクトを通じて業界の生の情報に触れ、コンサルティング業界の最新動向やキャリア形成に関する知見を磨く。これらをソースにした的確な転職アドバイスに強み。大手ファームへの転職支援はもちろん、ポストコンサルの方々のファンドや事業会社のコアポジションへの転職支援実績も多数。

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