労働人口の不足や採用企業の中核人材不足を背景に「35歳転職限界説」が都市伝説化して久しいですが、この流れはコンサティング業界でも顕著であると強く感じます。
私は約17年、コンサルティング業界への転職希望者の方をご支援しておりますが、特に大手総合ファームを中心に転職を成功される方の年齢、経歴もこの仕事を始めたころとは大きく様子が変わっていることを実感しています。
かつては、未経験からコンサルティングング業界へキャリアチェンジできる年齢的なリミットは30代前半まで、と考えられていましたが、最近は特定の業界・業務の専門性を持つ40歳前後の方々が、年齢の壁を軽やかに飛び越えて業界で活躍される事例が増えています。
以下をご覧ください。
・40代半ば 大手素材メーカー/研究開発職から外資系大手総合コンサルティングファーム/インダストリーコンサルタント
・40代半ば 大手損害保険会社/デジタルイノベーション担当から大手外資総合コンサルティングファーム/金融インダストリーコンサルタント
・30代後半 官公庁/官民連携プロジェクト推進からBig4系コンサルティングファーム
・40代前半 官公庁/技術の研究職からBig4系コンサルティングファーム/先端領域コンサルタント
これらは、実際に当社でご支援し、ご転職を成功された方々の事例です。そして、異業界からの転職でありながら、すべての方がマネージャーでオファーを獲得されています。
大手ファームを中心にここ数年で陣容が大きく拡大し、育成ノウハウが蓄積されたこと、そして対応するプロジェクトの幅も広がったことで、コンサルティング未経験であっても比較的デリバリーしやすい案件が増えており、異業界からの転職であっても、マネージャーとしてプロジェクトを引っ張ることが出来るようになっている、という状況です。
実際ある程度ご年齢を重ねた方は、現職でも責任ある立場についていらっしゃるケースが多く、かつてはスキルや経験は魅力的だが、未経験でマネージャーでのオファーが出せないから、という理由で不採用になったり、候補者側がご辞退になってしまうケースが散見されました。
しかし、業界が成熟し受け入れ環境が整備されてきた結果、異業界で有益なご経験をされた方が年齢にふさわしい役職で活躍できるようになってきたことは、喜ばしい状況だと考えています。
では、どのような条件が揃えば、こうしたキャリアチェンジが叶うのでしょうか。大きくは以下の経験が評価されているといえます。
1. 企画系業務、具体的には社内外問わず現状把握や分析からの課題/論点整理や改善に向けた施策立案が必要な業務
2. プロジェクトベースでの業務経験、その中でのマネジメント経験
3. デジタル推進やシステム開発などIT周りの経験
4. 特定の業界(特に金融、素材化学、ライフサイエンスなど専門性が高く、プロジェクトメンバーに業界知識を持った人材が必要な業界)やファンクションの深い知識
特に1~3の方はコンサルティングファームのカウンターパートになっていることもあり、ご本人たちも比較的業務イメージはわきやすいものの、実際にご自身が課題解決の専門家としてコンサルティング業界に転職できるチャンスがあることは、あまり意識されていなかったりもします。近しいご経歴の方がファームへ転職して活躍されていることをお話して初めて、自分もチャレンジしてみたい、となられる方も少なくありません。
もちろん、一定のご年齢を超えてコンサルティング業界へ転職をすることは、リスクも伴います。仕事の進め方が事業会社と大きく異なり、半年一年、戸惑われる方も少なくありません。
私たちはこれまで見てきた多くの事例から、ポジティブな面も慎重に考えるべき面も把握しています。
コンサルティング業界へご興味を持たれているものの、今からでは遅いのでは、と考えていらっしゃる方は、諦める前にぜひ一度ご相談ください。ご自身では気づいていないようなチャンスがあるかもしれません。
- 【経歴】
津田塾大学学芸学部国際関係学科卒。新卒で大手新聞社に入社し、取材記者として勤務。その後大手総合人材サービス会社を経て2008年より現職。人材業界でのキャリアは通算15年以上にわたる。
【担当領域/実績】
コンサルティング業界担当。毎年年間200名以上の候補者の転職やキャリア形成をサポート。外資系戦略コンサルティングファーム、総合系ファーム、会計系財務アドバイザリーファームを中心に業界でのネットワークを広く持ち、現役コンサルタントの方々との日々のコンタクトを通じて業界の生の情報に触れ、コンサルティング業界の最新動向やキャリア形成に関する知見を磨く。これらをソースにした的確な転職アドバイスに強み。大手ファームへの転職支援はもちろん、ポストコンサルの方々のファンドや事業会社のコアポジションへの転職支援実績も多数。