ポストコンサルとしてのPE

2025-07-30 執筆者:佐藤 史子

ここ数年でプライベート・エクイティ(PE)ファンドにおける採用人材も多様化の傾向を見せておりますが、コンサルティングファーム出身者への採用ニーズは引き続き堅調です。
以前は、戦略ファームご出身者を中心に採用が進んでいる様相がありましたが、今はもう少し裾野も広がって、PEはジョブマーケットにおけるポストコンサルの有力な選択肢としての存在感を着実に広げるつつあるように思います。

こうした背景には、各ファンドのサイズが大きくなりポートフォリオの数が増加して行くこと、またExitの難易度も上がり投資後のバリューアップの重要性が上がる中で、近年はより長期的な視点で企業のバリューアップに深く関与することの必要性が高くなっていることがあるようです。
投資後のフェーズでは、投資先企業に経営陣として入り込み、戦略立案だけでなく現場で投資先の社員の方々を巻き込みながら実行支援までを担う役割が求められることもあり、「バリューアップチーム」「ポートフォリオチーム」と呼ばれる、投資後の支援専門チームを設置するファンドも増加傾向にあります。

こうした中で、コンサルティングファーム出身者の方々が、特に価値を発揮するのは、?企業の課題を構造的に整理し、仮説を立てて投資後の事業計画や戦略を構築する力、?複雑な事業環境を分析し、再成長のシナリオを描く力、?関係者を巻き込みながらプロジェクトを推進していく実行力、の三点であると言えます。
敢えてざっくり言うと、高いコンサルティングスキルと現場での感覚を併せ持つ人材であり、戦略系のみならず再生やオペレーションに強いファーム出身者のニーズも高くなりつつあります。

もちろん、これまで外部からの経営者へのアドバイザーとしての経験を砥がせて来た方々にとって、投資家として経営の当事者として入り、経営改革を推進して行く過程では大きなマインドセットの切り替えや新たなスキルの習得が必要になりますが、これまでお話したほぼ全ての方が、株主として投資先と関係を作りながら計画を実行していく過程を楽しんでいらっしゃるように見えました。
クライアントの経営計画を作って、そこから先は関与できなかったコンサル時代とは異なり、自分の作った計画で収益が上がるか、現場に受け入れてもらうにはどうしたらいいか、試行錯誤で進める過程は、“戦略までは描けるけど実行が足りない”というコンサル時代の課題感にまさに現場で立ち向かっていく、道場のような環境であるようです。 

もちろん、投資家(LP)へのリターンが最終指標になるPEで成果を出すには、「支援」そのものにやりがいや正しさを求めるのではなく、「支援がファンドのリターンにどうつながるか」を意識して動けるかが重要です。
経営支援とは、突き詰めて行くとリターンを出すためのドライバーであり、「5年後に社会的インパクトが出る施策」よりも、「2年以内に収益貢献する施策」の方が優先されることも十分にあり得ます。

このような「金融的な合理主義」と「現場での泥臭いオペレーション」を接続する力は、誰もが簡単に習得できるものではないですが、これを併せ持つ方々にとっては、PEは非常に魅力的なキャリアパスになるはずです。
少しでも興味を持たれた方、この道場にチャレンジされたい方はぜひご相談ください。

佐藤 史子 / Fumiko Sato
【経歴】
津田塾大学学芸学部国際関係学科卒。新卒で大手新聞社に入社し、取材記者として勤務。その後大手総合人材サービス会社を経て2008年より現職。人材業界でのキャリアは通算15年以上にわたる。

【担当領域/実績】
コンサルティング業界担当。毎年年間200名以上の候補者の転職やキャリア形成をサポート。外資系戦略コンサルティングファーム、総合系ファーム、会計系財務アドバイザリーファームを中心に業界でのネットワークを広く持ち、現役コンサルタントの方々との日々のコンタクトを通じて業界の生の情報に触れ、コンサルティング業界の最新動向やキャリア形成に関する知見を磨く。これらをソースにした的確な転職アドバイスに強み。大手ファームへの転職支援はもちろん、ポストコンサルの方々のファンドや事業会社のコアポジションへの転職支援実績も多数。