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第4回:自分がどういう人間なのかを試される、それがファンドの醍醐味

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愛場 啓介 Keisuke Aiba ヴァイスプレジデント
PROFILE

2007年に米ミシガン大学を卒業後、帰国してクレディ・スイス証券に入社し、M&Aや資金調達等の投資銀行業務に従事。2012年にラザードフレールに移り、自動車や産業機械等のインダストリーにおけるファイナンシャルアドバイザリー業務を手掛ける。2015年にインテグラルに入社以降、イトキンやキュービーネットHD(以下、QBハウス)等を担当し現在に至る。

目次
  1. -買収後のバリューアップにまで関わってこそ本当のM&Aのプロ
  2. -社内の風向きが変わり投資後3年で黒字化
  3. -インテグラルは投資先とのIPOの約束を守った
  4. -投資検討・実行からバリューアップまでとことん関われるかが大切
社内の風向きが変わり投資後3年で黒字化
その中で、愛場さんの具体的な取り組みについてお聞かせいただけますか。
愛場
私は元々金融出身ということで、不採算事業や不採算店舗の撤退等の構造改革のモニタリング、また銀行などの金融機関の方との交渉といったファイナンス寄りの業務を担当していました。その他にも、仕入れ計画の見直しや、出店に際しての投資基準をより明確にするなど、ビジネスを数字に落とし込んで議論するための仕組み作りを進めました。一方、同時並行でビジネス面での改革を鈴木が担当し、イトキンの各ブランドがマーケットで再び輝くためにリブランディングを実施すべく、外部のコンサルタントにも支援いただきながら議論を進めていきました。
それだけの規模と歴史のある会社ですので、お二人では大変だったのではないですか。
愛場
私は経営企画部のマネージャーというタイトルをいただきまして、もともといらした経営企画部の方たちと一緒になって改革にあたりました。当然、会社の皆さんの方がイトキンやアパレルビジネスをより深く理解されていますので、色々な意見や考えは出てくるわけです。ただ、定性的な意見や判断が多い印象があったので、例えば私がExcelでシミュレーション用のモデルを作成し、投資の可否などをより定量的な観点から考えるというプロセスを提案しました。

私はアパレルの素人でデザインの良し悪しは分かりませんが、物事を数字に落とし込んで定量的に判断するということはFAとしてずっとやってきたことです。こうした部分を個人的な突破口としながら、徐々に社内に貢献できるようになったのかなと思っています。やはり株主という立場で20~30代の外部の人間が突然入社しましたので、最初は「この人は何をしてくれるの?」と、斜めに見られているかもしれないなと感じたこともあります。その時に、自分にはこういう付加価値がありますということを早い段階で感じてもらえることが出来たのは、その後の関係を構築する上で良かったのではないかと思います。
常駐先の社員の方々と良い関係性を築くというのは、御社では非常に重要視される部分ですね。
愛場
少し大げさかも知れませんが、素人に何がわかる、と斜に構えて見られることもあれば、逆に何でも出来るスーパーマンだと思われてしまうこともあると思います。そんな時に、ファンドによっては無意識にせよ、株主然とした態度をとってしまう人もいるかもしれませんが、インテグラルのメンバーはまったくそうではありません。投資先の方々と同じ目線で会社を良くするために一緒に汗をかいていきたい、という考えのもとに集まったメンバーですので、毎日部内の方と一緒に社員食堂へ連れ立って行きランチを食べ、夜は飲み会にも参加して、皆さんと行動を共にしています。そういった中で少しずつ人間関係が構築され、投資前のデューデリジェンスではつかみきれなかった社内の深い内情なども肌で感じることが出来るようになっていくのだと思います。
構造改革を進める中では抵抗などもあったと思いますが、特に大変だったのはどんなことでしょうか。
愛場
先程申し上げた通り、株主だからと上から目線になってはいけないというのが大前提なのですが、とはいえ抵抗に怯んでなあなあになっても駄目で、そのメリハリというか自分自身の立ち位置をどこに置くかというのは、特に常駐直後は難しかったですね。さっきまで食堂で若手の方と楽しくおしゃべりをしていたすぐ後に、アパレル業界での経験は勿論、何十歳も年上の経営陣の方々に対して「これはやらなければいけないんです、やってください」と言い切らなければいけない。山本(礼二郎氏、パートナー)もよく「相手にとって耳が痛い話をいかに聞いてもらえるかが、その人の人間力だ」ということを言っているのですが、それを実感しましたし、今でもそういう場面はよく覚えています。
お話しできる範囲で、その耳の痛い話の内容を教えていただけますか。
愛場
一例になりますが、効率的な資金繰りの観点から、仕入れを大幅に抑制しないといけないという課題がありました。これまでは、商品さえあればそれなりに売上は作れるので、店舗からはもっと商品をくれと言われて企画側もそれに応じていたのですが、そのやり方では継続的な運営は出来ません、と。仕入れをこれまでの6割7割に絞った上で、そこから商品の企画・生産・流通・販売のレベルを改善することで売上を作っていくというのが我々が直面している課題であり、皆で取組んでいくんです、ということをお伝えました。長らくパターン化していた仕事のやり方を転換するのは大きな挑戦ですし、市況の関係もあって業績が落ちた時期もやはりありました。ただ、そこでその場しのぎのために仕入量を従来の水準に戻すのではなく、我慢してやり続けていくことで、今では逆に店舗の方から「過去は仕入れ量が多過ぎた」といった声も多く聞こえてくるようになりました。
皆さんの考え方が変わり始めたのは、どのくらい経ってからですか。
愛場
当初は全員が否定的で、ある瞬間からそれが一斉に肯定的になるというものでもないんです。投資直後から、ある程度の方々は、何となく新経営陣やインテグラルの人間のことを信じてみようと考えてくれていたとは思います。ただ、実際に行動に移すとなるとより時間は要してしまいました。それでも1年経ったころには多くの方が肯定的に見てくれるようになっただけでなく、より能動的に行動を取っていただけるようになったという感じでしょうか。結局、店舗の方々もプロなので、仕入れはこれだけ絞りますと決めたら、その中で売上を上げる方法は一緒に考えてもらえるんですね。ただ、その仕入れ適正化という大きな一歩を踏み出すために、背中を押して勢いをつけるお手伝いを、インテグラルが担えたのかなと思います。投資から丸3年が経った今、完全黒字化を達成することが出来ました。まだまだこれからも成長していきたいとは思いますが、かなり社内の風向きは変わったように感じています。
3年で黒字化という客観的な変化があったことで、社員の皆さんも成果を実感されてらっしゃるのではないですか?
愛場
そうですね。以前は社内が縦割りというか、横の連携がかなり限定的だったようです。自分の事業部のことは分かるけど、他の事業部のことは何をやっているのかもわからないと…。現在は毎月の業績も全体朝礼で共有しますし、どこかの事業部で良い事例があればそれをすぐに横展開出来るような仕組みも、経営企画部が中心となって構築出来ています。以前はオーナー系企業にありがちな、会議をしても御前会議のような状態でしたが、最近では出席者が活発に意見を交換するようになりました。イトキンが向かうべき方向をトップがはっきりと示し、社内のコミュニケーションが活発になってきたことで、全体の雰囲気もかなり変わってきたのではないかと思います。

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企業プロフィール

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投資先経営陣とハートのある信頼関係を構築することを最重視し、長期的視野に立った投資を行うことで日本企業の改革と発展を促進する独立系PEファンド。投資後は『経営と同じ目線・時間軸』をもって投資先企業とともに歩み、企業価値向上に向けて経営・財務の両面でのサポートを行う。これまでにスカイマーク、アデランス、イトキン、QBハウスなどへの投資実績がある。

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