外資系と日系ファームのコンサルティング・スタイル及び制度・カルチャーの違い
経営コンサルティング、特に戦略系コンサルティングは米国発祥のサービスであり、それを日本国内へ持ち込み展開したのも米国の外資系ファームでした。現在でも、主要な経営戦略コンサルティングファームはほぼ外資系が占めています。他方、国内では元々リサーチを本業としていたシンクタンク系企業がコンサルティング事業に進出し、同時に中小企業を対象にしたコンサルティング会社が規模を拡大してきました。この様な背景の違いから、外資系ファームと日系ファームでは「コンサルティング・スタイル」とそれを支える「制度・カルチャー」が大きく異なります。そこで、両者の違いを上記2点から説明します。
■ コンサルティング・スタイル
マッキンゼーやBCGをはじめとした代表的な外資系ファームは戦略ファームとも呼ばれ、大企業に対する経営戦略全般のコンサルティングを行っています。あえて単純化すると、その役割は企業の意思決定を支援することです。クライアント企業には自社の事業について熟知した優秀な人々がいますが、その人々でさえ気づかない経営課題を見出し、答えの出せない課題に解を示すことが彼らの仕事です。コンサルティングの形態としては、パートナー(幹部)が案件を受注した後に、5名前後のコンサルタントが一定期間(3カ月程度)プロジェクトを組むことがほとんどです。基本的にコンサルタントはプロジェクトを掛け持ちせず、ひとつの案件に集中します。プロジェクト開始早々に論点を設定し、仮説を立て、後はそれを論理的に検証していくというスタイルです。集めてきた事実を積み上げて分析した結果をもとに答えを出す…という伝統的な課題解決手法とは全く異なります。まさに知恵を出す専門家と言えるでしょう。
日系ファームは、大きくは総研系ファームと中小企業向けファームに分かれます。総研系は大手金融機関系列であることが一般的です。これらはもともとシンクタンクとして調査・分析を専門に行っていたという経緯があり、リサーチとその結果を踏まえたコンサルティングを得意としています。クライアントには金融機関や官公庁が多いという特徴があります。一方、中小企業向けのコンサルティングファームは、プロジェクトを組成するのではなく、顧問契約を結んだクライアントを定期的に訪問して経営相談に乗るというスタイルをとります。また、最近では複数のクライアントを集めて勉強会や研修を提供するといったサービスも増えています。外資系とは案件の獲得方法も異なり、たとえ若手であってもコンサルタント自身で企業に営業をして自ら仕事を取ってきます。この様な形態であることから、1人で複数のクライアントを担当することが一般的です。
■ 制度・カルチャー
外資系ファームは基本的に、Up or Out(昇進するか、さもなくば去れ)の文化です。「プロフェッショナルは成長し続けて当然」という価値観が浸透しており、一定期間で昇進出来ない場合は退職することになります。これだけを聞くと非情だと感じる方もいるかと思いますが、決してそうではありません。1人のコンサルタントを評価するために、数多くのシニアクラスのコンサルタントが相当な時間を使って議論を重ねます。あるプロジェクト・マネージャーが自分の下についたスタッフを評価した際には、評価会議においてパートナーからその妥当性に関して容赦ない議論を浴びせられます。評価者はこの議論を受けて立ち、パートナーの面々を納得させなければなりません。この様なプロセスを経て初めて評価のスコアがつくのです。社員の評価に関して、ここまで時間と労力を投資する会社は他にどれだけあるでしょうか?
日系の総研系ファームの多くは、良くも悪くも外資系ファームほど明確に白黒つけることをしません。成果主義的な評価制度を持ちながらも、実際には年功序列的色彩が強い会社も多くあります。Up or Outでないことには、離職率が低くなり、特定分野の強みを持っているベテランが息長く組織や顧客に貢献し続けられるというメリットもあります。また、中小企業向けファームの場合は、営業成績(例:顧問契約の獲得数)に応じてボーナス金額が大きく変動する制度を設けている会社も多く見受けられます。
以上、外資系ファームと日系ファームの違いについて、簡単に説明いたしました。ご自身の仕事に対する価値観、プロフェッショナルとしてありたい姿、ライフスタイルとの親和性などを勘案して、自分にフィットするファームに挑戦されることをお勧めします。
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監修:アンテロープキャリアコンサルティング この記事は、アンテロープキャリアコンサルティング株式会社が監修しています。 コンサル業界・金融業界への転職に役立つ情報を発信しています。 |
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