モチベーションの源泉

2014-07-31 執筆者:小倉 基弘

内輪の話で恐縮ですが、過日、ある大学院の院生向けキャリアセミナーで講演した時のことです。私の後に2名のOBの方々が自身の就職体験談を披露していました。お二人とも偶然、弊社のご登録者であったようですがその内のお一人がエージェントとの関わり方について「多くの案件を次から次に出してくるエージェントではなく、自分の話をじっくり聞いた上で求職者目線を持って志向にあった案件を2,3件に絞って出してくるエージェントのほうが信頼できる」「そういう意味でアンテロープのAさんは信頼できるエージェントです」と思いがけず弊社のコンサルタントの名前を挙げて紹介していただきました。

どのような仕事でも楽しいことばかりでなく時にはクレームを受けたり、成果がなかなか上がらなかったり、自分の成長が感じられなかったりしてマンネリ化してしまう時期があります。ある人はそこで成長が止まってしまうかもしれません。場合によってはある人はその時点でその仕事を辞めてしまうかもしれません。でも時折、サービスの受け手側から「良いサービスだった」「サービスの質が高かった」「サービスが信頼できる」というフィードバックをいただくとサービスの提供側はやりがいを感じ、モチベーションが上がり、更にその上のサービスを目指そうと前向きな気持ちになります。

私たちの仕事も常に「初回面談はあのような対応で良かったのだろうか」「求職者に提供した機会は本当に相応しいものだったのだろうか」「情報提供の内容はあれで良かったのだろうか」「面接アドバイスの内容は充分だったろうか」「面接プロセス途上の対応は良かったのだろうか」「NGメールの文面はあれで良かったのだろうか」「入社後のサポートはこうしたほうが良かったのではないだろうか」「本当に求職者の役にたったのだろうか」といつも正解の無い中で思い悩んでいます。ただ上記のように「提供してくれたサービスが良かった」「他では見られない希少性の高い情報/機会を提供してくれた」「あの時あの機会を紹介してくれたから今のキャリアがある」「是非、友人のサポートをお願いしたい」「これからもキャリアデザインの相談にのって欲しい」等のフィードバックは迷いながら仕事をしている私たちに前へ進んでいくモチベーションと自信を与えてくれます。

本当の意味でプロフェッショナルエージェントとして世間で評価される為には気の遠くなるような努力が必要であると覚悟しています。何故ならサービスには満足すべき水準は無く、常にその上のサービスが存在するからです。努力をして、良いフィードバックをいただき、こういった喜びがあるから更に上を目指して努力する。「人の役にたっている」「人の成長をサポートできている」という実感が終わりの無い螺旋階段を昇っていくモチベーションの源泉となっているのです。

代表取締役小倉 基弘 / Motohiro Ogura
【経歴】
上智大学法学部卒。日興證券(現SMBC日興証券)を経て90年、建築関連のビジネスを起業。約7年のベンチャー経営後、プロフェッショナルのキャリアデザインに関連するビジネス創造を目指して、人材エージェントにてコンサルタントを4年間経験。2002年、「野心と向上心を持ったプロフェッショナル」に対してチャレンジングな機会提供を行う目的でアンテロープキャリアコンサルティングを設立。同社は投資銀行、プライベートエクイティ、ベンチャーキャピタル、アセットマネジメント、不動産ファンド及びコンサルティングファームのフロント人材の長期的なキャリアデザインを支援している。07年アンテロープの共同創業者の増井慎二郎氏とオープンワーク(株)(旧(株)ヴォーカーズ)設立にも関わる。

【担当領域/実績】
専門は投資銀行、PE投資ファンド、投資先企業マネジメントポジション、不動産ファンド。