オンライン面接での留意点

2021-06-01 執筆者:鈴木 勝則

新型コロナの影響で、大手金融機関のほとんどが何らかの形でテレワークを導入しており、中途採用の面接もオンラインが一般的になってきました。

オンライン面接に関しては巷間様々な“ハウツー”が取り上げられており、事前セットアップの必要性、服装や周囲の環境、面接時の視線の向け方や会話の間など、いくつもの注意点が挙がっているようです。これらの点も、もちろんスムーズに面接を行う上で大切なポイントです。
ここでは、そうしたハウツーに加えて、入社後を見据えたオンライン面接の留意点を考えてみたいと思います。

オンライン面接の導入当初は実例が少なく、採用側も応募者側も手探り状態でしたが、最近ではオンライン面接のみでの採用も増え、面接での盲点が浮き彫りになってきたと感じます。
その一つは、対面での面接とは違い画面越しでしか雰囲気が分からないため、お互いの実像が把握できない事です。
もう一つは、これまではテレワークが働き方の一形態になることを想定していなかったため、双方とも職場勤務を前提とした質疑応答を行ってしまい、入社後のテレワーク中心の働き方に関して齟齬を感じてしまう場合が多い事です。

前者は選考プロセスの中で実際にオフィスを訪問する機会を作ってもらう事で解消される場合が多いですが、後者は面接でしっかりと確認する必要があります。
具体的には、入社後の導入研修やOJTはテレワーク環境下ではどのように行われるか、また社内コミュニケーションはどう行われているのか、労働時間はどのように計上され把握されるのか等、職場での勤務とテレワークの違いを十分に確認する必要があります。
特に新しい業務に取り組むことになる場合は、立ち上がりのスピードに大きな違いが生じる可能性もあるため、テレワークにおける研修やOJTに関して慎重に確認する事をお勧めします。

採用側も、テレワーク下で業務やコミュニケーションがしっかり行える人物かどうかを見極める質問をしてきます。業務の進捗を分かりやすく報告する能力、他のメンバーや外部のカウンターパーティーとのコミュニケーションをどのように行っているのか等、新人からマネジメントレベルまで、経験に基づきオフィスとテレワーク両方での実績を説明できるようにしておく必要があります。

転職における面接はあくまでも入口であり、入社してからが本番です。
入社後に齟齬のないよう、オンライン面接でも入社後の働き方についてしっかりと確認していただきたいと思います。

鈴木 勝則 / Katsunori Suzuki
【経歴】
中央大学理工学部卒。シティバンク、エヌ・エイにて外国為替カスタマーディーラーとしてトップティアの事業法人や金融法人を担当。後に同行プライベートバンキング部門に異動し、投資カウンセラーとして個人富裕層顧客にも対応。その後カナダ・ロイヤル銀行にて再び大手法人顧客への外国為替のセールスに従事。20年以上に亘り、金融業界で多様な顧客と国際金融市場との架け橋役を担ってきたが、テーマを社会で最も重要な「人」に変え、向上心を持つプロフェッショナルと人材を求める企業との架け橋となるべくアンテロープに参画。

【担当領域/実績】
資産運用会社(アセットマネジメント)、プライベートバンク、フィンテック、銀行・証券のセカンダリーを中心としたフロントおよびセールスポジション等、マーケット分野を中心に担当。金融業界での長年のキャリアをベースとした情報やネットワークで、幅広い年齢層の転職をサポートしている。