選考後のフィードバック

2012-09-27 執筆者:山本 恵亮

我々は、候補者の方々の面接結果を応募先企業からいただいた時、特に不合格であった場合には、出来るだけその理由をお聞きするようにしています。例え不合格であっても理由をお聞きしフィードバックすることによって、候補者が自分自身について自らの視点では見えなかった事に気づき、今後の転職活動における面接で活かしていただけるはずだと考えるからです。

私自身もそうですが、我々は自分自身について、他の人からはどのように見えているのか、認識できていないことが多いと思います。不合格の理由が妥当であれば仕方がありませんが、発言した内容や、ちょっとした話し方や振舞い方、表情等が誤解を生み、候補者の本当の良さが理解されずに終わるとすれば、大変残念なことです。従いまして私は、候補者が自他のギャップに気づくためのきっかけを与えることは、キャリアコンサルタントとして大事な仕事だと思っています。

しかし、不合格の理由を候補者にお伝えする際には大変気を使います。個々の性格に合わせた伝え方をしないと、フィードバックを受け止めることが出来ず、単に自分を否定されたと感じてしまい、その方が自信を喪失してしまう可能性もあります。また、応募先企業が自社に対して悪い印象を持たれてしまう可能性を避けるために、理由を候補者に開示しないでほしいと言われることは多々あります。

この様に、候補者に応募先企業の印象をフィードバックすることは決して簡単なことではありませんが、転職活動という候補者が人生をかけた真剣な勝負をされている時には、自他のギャップを認識することは極めて有益なことです。ご転職を支援する者としては、逃げずに候補者に気づきを与えることは必要だと思います。そのためには、フィードバックを聞く目標は、自身の転職活動を成功させるために必要な情報を聞くことであると、候補者の方々に対してご理解いただけるように働きかけることも必要であると思っています。

言うは易く行うは難しで、お役に立つ形でフィードバックをさせていただくことは簡単ではありませんが、その様な気持ちで選考結果の理由をお伝えしておりますので、例え耳障りな内容であっても前向きに受け取っていただきき、今後のご活動にお役立ていただければ幸いです。

取締役山本 恵亮 / Keisuke Yamamoto
【経歴】
同志社大学商学部卒。大手人材サービス会社にて金融とIT業界を担当後、渡米。在米のコンサルティング会社で、人材採用支援、人事コンサルティング、そして新規事業の立ち上げを事業開発マネージャーとして推進し、北米での事業拡大に貢献。2004年4月アンテロープ参画、翌年同社取締役。PEファンド(バイアウト)を中心に、VC、M&A、コンサル、投資先企業の経営人材、また組織立ち上げ期におけるコアメンバー採用の支援も強み。1級キャリアコンサルティング技能士。

【担当領域/実績】
専門はPEファンド(バイアウト)、VC、エンゲージメントなど投資ファンド、投資先の経営人材など。20年のエージェント経験で培われた層の厚いネットワークを有し、業界トップから新鋭企業まで数百名に及ぶ転職を支援してきた。水面下で流通する求人案件の提案から、選考対策、希望職種の明確化も含め丁寧な支援を行っている。