複数オファーをもらった時の転職先の決め方

2024-02-01 執筆者:加藤 浩

転職活動終盤の、もっとも大事なフェーズ。幸運にも複数の会社からオファーをもらった場合にどこを選択すべきか、という相談をよくいただきます。

他エージェントさん経由でのオファーの場合でも、客観的な意見を聞きたいとご相談いただくこともあります。最終的な答えは自分自身の中にしかないのですが、転職活動をしていると色々な人がそれぞれの立場(利害関係も含め)でモノを言ってくるので、答えを出すのが難しくなることがよくあります。考え方の指標がいくつかあるので、ここでご紹介します。

まずは「転職活動を開始した目的に立ち返る」ことです。当たり前のことなのですが、転職活動をして色々な情報が入ってくると「そもそも自分は何を求めて転職活動しているんだっけ?」というのが分からなくなってくる瞬間があります。まずは原点に立ち返ることで、間違った選択をすることが減ります。

次に「この会社に入った場合、5年後にどの程度キャリアが高まっているのか」という基準です。これは、それまでのキャリアとの連続性も含めて考える必要があります。エージェントに質問するなら「私がこの会社に入って5年間順調にキャリアを積み再度転職を考えた際、マーケット状況が今のままとしてどういう選択肢があってどういう年収水準になりますか?」ということを聞いてみると良いです。

あとはやはり「年収」です。ただ、直近1年間の年収ではなく、昇給も含めた5年間くらいのトータル年収でみる必要はあります。オファーレターを並べてみて、A社より年収が100万円低いB社を選ぶということは、自分にとってどういう意味を持つのかと考えてみると具体的にイメージできます。年収は、そうはいっても大事な要素です。B社を選んで入社した後「A社を選んでいれば100万円年収が良かったのに」と後悔したくはないですから。

このように、順を追って考えていくことをお勧めします。よく、メリット/デメリットを表にまとめて比較しようとする方がいますが、意外と最初から自分の中で答えが決まっていて、その気持ちを持ちながら比較表を書いていたりするので、結局客観的なようでまったくそうでなかったりします。また、友人や先輩に相談して決めるという方もいますが、友人や先輩はキャリア選択のプロではないので、あくまで参考意見に留めるべきでしょう。

加藤 浩 / Hiroshi Kato
【経歴】
上智大学法学部卒。大手メディア企業にてアジアを中心とした海外営業に10年間従事。その後、コンサルティング会社で人事領域をフロントラインで広くカバーする中、数々の優秀な人材と接触。プロフェッショナルのキャリア構築をこの手で支援したいとの強い思いから、2007年にアンテロープへ参画。

【担当領域/実績】
専門はPE投資ファンド、M&Aアドバイザリー、戦略系・総合系・再生系コンサルティングファーム。PEファンド等、マネージングディレクタークラスと独自のネットワークがない限り応募をすることすら難しい業界にも、豊富なパイプラインを持つ。情報提供はもちろん、コンサルファームのケース面接対策はじめ、キャンディデートを文字通りハンズオンで支援することにより、これまで経営トップから若手人材まで数百名の方々の転職を成功に導いてきた。