コンサルティング業界の変化と採用動向

2022-08-17 執筆者:佐藤 史子

コンサルティング業界へのキャリアチェンジを考える皆様にとって、転職のタイミングは非常に重要です。ご自身の準備が出来ていることはもちろんですが、採用マーケットの動向を踏まえて適切なタイミングを捉えることで、転職活動の成果は大きく変わってきます。

現在は、コンサルティング業界全体の採用熱が過熱し続けており、各社の人材獲得競争は続いています。私は2008年から当社で皆様のご転職の支援をさせていただいておりますが、間違いなく今が一番大きく門戸が開かれており、多くの方にとってコンサル業界でのチャンスを得やすい環境であると感じています。

IT専門調査会社IDCによると、コンサルティング業界の市場規模は、2020年の段階で8623憶円になったと見られ、さらに2025年に1兆2551億円に達すると言われています。デジタル関連を中心とした需要が、既存顧客層からのプロジェクトスコープの拡大と、新たな顧客層によるDXへの取り組みの開始の両面で市場成長を牽引している、という流れです。実際、私たちが各ファームのビジネスの動向を伺っていても、主要ファームは軒並み2ケタ成長を続けており、業界全体が大きく成長拡大していることを感じています。

こうした状況の中、実際の採用実績を見ていても、採用数はもとより従来よりも各ファームの採用スコープ自体が広がっています。

20代~30代前半で事業会社で一定のご経験をお持ちのハイポテンシャル層はもちろん、実務経験1~2年の第2新卒と言われる若手の方がオファーを得られるケースも増加しています。一方、40代でコンサル業界未経験でも特定インダストリーの知見や専門性をお持ちの方がマネージャーとして採用される事例も出ています。職種や業界についても、従来からの対象であった事業会社の企画系や基幹業務のご経験に加え、営業職やサービス業出身の方、またベンチャー企業や公務員の方々など非常に幅広い方々がチャンスをつかまれております。

こうした動きの背景には、市場規模の拡大とクライアント企業を取り巻く環境の変化から生じた、コンサルティング業界に求められる価値の変質や仕事の変化があると見ています。

クライアント企業自体にファーム出身者やMBAホルダーが多く在籍し、かつITやそれを活用したサービスの発達によりクライアント自身で各種情報へのアクセスが容易になった中、コンサルタントの価値は従来のような質の良いリサーチや、それに基づいた提案業務だけではなくなっています。従来以上に「解決策の実行支援」が重要な成長領域となっているのです。

デジタル推進のように構想策定だけでは意味をなさない領域であれば尚更です。また、SDG'sやカーボンニュートラルといったクライアントにとって知見の薄い領域への対応や、消費者の行動をつぶさに観察し、潜在的なニーズをつかんで商品開発やマーケティングに活かすデザイン思考など、これまで以上にニッチで多様な領域へ対応しニーズを喚起することで、クライアントへの提供価値を高めているようにも見えます。今まで以上に現場に近いフィールドでのプロジェクトが増え、かつスコープも広く長くなったことが、業界の肥大と現在の人材不足につながっていると思います。

業界の構造自体の変化に伴い、採用基準も変わってきています。多くの方がご経験や能力を活かしてコンサルティング業界の門戸を開けることが出来る環境になっている今、一歩踏み出してみようと考える方には好機です。ぜひ私たちにご相談いただければと思います。

佐藤 史子 / Fumiko Sato
【経歴】
津田塾大学学芸学部国際関係学科卒。新卒で大手新聞社に入社し、取材記者として勤務。その後大手総合人材サービス会社を経て2008年より現職。人材業界でのキャリアは通算15年以上にわたる。

【担当領域/実績】
コンサルティング業界担当。毎年年間200名以上の候補者の転職やキャリア形成をサポート。外資系戦略コンサルティングファーム、総合系ファーム、会計系財務アドバイザリーファームを中心に業界でのネットワークを広く持ち、現役コンサルタントの方々との日々のコンタクトを通じて業界の生の情報に触れ、コンサルティング業界の最新動向やキャリア形成に関する知見を磨く。これらをソースにした的確な転職アドバイスに強み。大手ファームへの転職支援はもちろん、ポストコンサルの方々のファンドや事業会社のコアポジションへの転職支援実績も多数。