女性がコンサルティング業界で働くことの意味

2023-02-02 執筆者:佐藤 史子

コンサルティング業界で女性採用が活況になって久しく、現在でもコンサルタントとしてのネクストキャリアを志望される女性の候補者の方にはチャンスの大きい環境が続いています。

採用総数のうち、一定の割合で女性候補者を採用することをKPIとして定めているファームも多くあり、女性限定の採用イベントや採用広報のための懇親会を開催するなど優秀な女性の方を確保しようとする動きは過熱の一途をたどっているという印象です。

採用ばかりでなく、入社後のコンサルタントの育成と継続的なキャリア支援にも力を入れて取り組んでいて、一過性のブームではなく、優秀な女性を戦力としてサステナブルに活躍させていくことへの取り組みはコンサル業界に定着しつつあるように思います。

これまで多くの女性の候補者の方と対話し転職のご支援をしてきましたが、私は女性にとってコンサルティグ業界でのキャリアはとても有益で、長い目で見たキャリアを継続していくに際しての、強力な武器になると感じています。エンプロイアビリティ(employability=雇用される能力)が高まることで、環境の変化があってもキャリアを自分で選び、決められるようになるためです。

世の中の流れで家事育児への男性の参加が自然であるという機運が高まってきて、ジェンダーによる旧来型の役割分担からは社会も個人も開放されつつありますが、それでも結婚・出産・育児・介護など人生で発生する様々なライフイベントに際して、女性の方が影響を受けやすく、変化への対応が必要な場面が多く発生するのが現状です。

こうしたプライベートの事情により、離職をしたり、働き方を変えなければならない場面であっても、コンサルタントとして働いてきた人が培ってきた経営者視点での課題解決能力やプロジェクトマネジメント力、経営やオペレーションについての専門知識は、他の職種に比べて汎用性が大きく、転職や再就職の強力なプラス要素になり得ます。結果として、環境の変化があったとしても満足のいくキャリア形成ができる可能性が大きく向上します。

また、派生的なことではありますが、高い報酬水準を手にすることによって、パートナー選びの選択肢が広がるとも言えます。相手の収入に依存することがないので、自分にとって本当に居心地のいい相手、自然でいられる相手と一緒にいることが出来て、人生の満足度も上がります(実際、コンサルティング業界でマネージャー以上のポジションについている方ですと、ご主人と収入が逆転しているケースも珍しくありません)。

以前、外資系大手ファームの女性パートナーとお話した時に、プライベートも含めた人生の選択を自由に行うためには職業上得たスキルや能力が大きく寄与していて、それは時間をかけて磨いていくものだと仰っていて、本当にそうだと得心したことがあります。

もちろん、働いて収入やキャリアを上げることだけが是ではなく、積極的に休眠期間を置いたり、ライフステージに合わせてスローダウンすることも必要です。そうした働かない自由を選択するためにも、再雇用される力を高めていくことは必要で、そのためにコンサルタントとしてのキャリアはご一考いただく価値のあるものだと思います。

世の中の機運から追い風が吹いている今、女性に取ってコンサルタントとしての働き方は決してハードルの高いものではありません。多少なりともご関心を持たれる方は、まずはご相談してみてください。女性として、それ以上に一人の人間としてそれぞれの方が満足できるキャリアを展開していけるようお手伝いが出来ればと思います。

佐藤 史子 / Fumiko Sato
【経歴】
津田塾大学学芸学部国際関係学科卒。新卒で大手新聞社に入社し、取材記者として勤務。その後大手総合人材サービス会社を経て2008年より現職。人材業界でのキャリアは通算15年以上にわたる。

【担当領域/実績】
コンサルティング業界担当。毎年年間200名以上の候補者の転職やキャリア形成をサポート。外資系戦略コンサルティングファーム、総合系ファーム、会計系財務アドバイザリーファームを中心に業界でのネットワークを広く持ち、現役コンサルタントの方々との日々のコンタクトを通じて業界の生の情報に触れ、コンサルティング業界の最新動向やキャリア形成に関する知見を磨く。これらをソースにした的確な転職アドバイスに強み。大手ファームへの転職支援はもちろん、ポストコンサルの方々のファンドや事業会社のコアポジションへの転職支援実績も多数。