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第1回:ファンド業務の全貌と通底する「ハート」

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パートナー 山崎 壯
PROFILE

2001年に東京大学を卒業後、当時のデロイトトーマツコンサルティング(現アビームコンサルティング)でキャリアをスタート。自動車・小売・専門商社といった企業に対する業務改善プロジェクトに従事する。2004年に産業再生機構に参画し、中小製造業等の事業再生案件を担当。2009年にインテグラルに入社。米ハーバード大学MBA。

目次
  1. -産業再生機構でPEの仕事の面白さを知る
  2. -経営者から指名で相談を受けることが多くなってきた
  3. -「1円でも高く売る」ことだけを求めるファンドではない
「1円でも高く売る」ことだけを求めるファンドではない
投資の実行後は、投資先企業をバリューアップしていくわけですが、ここはファンドによって非常に差が出てくる部分だと思います。インテグラルではどういったことを行うのでしょうか。
山崎
一般にこのフェーズでは、投資先企業のモニタリングと企業価値向上支援を行っていきます。業績面の数値や定性的な変化を調査するモニタリングはどんなファンドでも必ず行う業務ですが、企業価値向上支援に関してはファンドによって取り組み方に濃淡があります。外部から経営人材を雇って投資先企業に派遣し変革を促すファンドもありますが、インテグラルでは外部人材だけでなく、インテグラルの内部人材自らも行います。先ほど少し触れたi-Engineという機能なのですが、ここではインテグラルの社員が投資先企業の経営企画部門の責任者として中期経営計画を策定する、あるいは海外展開やIPO準備といったプロジェクトをリードする、こうしたサポートを、完全常駐でその会社の名刺を持った状態で進めていきます。

私の場合ですと、ある電子部品メーカーに執行役員企画管理本部長という肩書で3年以上携わって経営企画や事業開発、総務、経理、人事などを統括したケースがあります。そこまで深く入り込んでいくと、取締役会や経営会議に出ているだけでは分からない、事業面での本当のKPIだとか従業員間の情報の流れなどが見えてきます。これがモニタリングの有用性に非常に大きく影響するんです。数値面には表れないけれども、この部門の現場が疲弊し始めているとか、ここは前もって手を打たなければ傷が広がりそうだといったことは、表層だけ見ていても気が付かない部分ですから。その意味で、企業価値向上支援業務からモニタリングへのフィードバックというのは、とても大事にしています。

なお、企業価値向上支援のために投資先に常駐するのに、インテグラル内のポジションは関係ありません。アナリストでもディレクターでも、本人の希望と能力、投資先企業のニーズがマッチしていれば現場に送り込まれます。ただ、当然サポートの内容は経験によって変わってきます。若手のうちはファシリテーターとして様々なプロジェクトをうまく回す潤滑油的な役割を果たすことが多いのに対し、ベテランになってくるとラインの長、場合によってはCEOとして派遣されることもあります。インテグラルの人間がその会社の社長や会長になり、改革を先頭に立ってリードするということもあります。
そういう仕事では特に経験値がものを言う面も多いかと想像されますが、それが追い付いていない若手メンバーにとって、もっとも重視すべきなのはどういった点だと思われますか。
インテグラル山崎壯氏インタビューカット3
山崎
経験が少ないメンバーに対する研修やアドバイスは常に行われますが、一番重要なのは本人のパーソナリティ、それに尽きると思います。基本的に人として接していて楽しい人、笑顔とエネルギーにあふれている人、能力があっても傲慢にならず謙虚な人。そういう人は早期に投資先といい関係を築くことができます。

投資先が地方の中小企業だったりすると、東京からビシッとスーツで決めた高飛車な人間が乗り込んできたとなれば、受け入れられるのに非常に時間がかかるか、あるいはいつまでも受け入れられません。そうすると内部の情報にもアクセスできず、バリューアップどころではなくなってしまいます。スキルは後からいくらでも学ぶことができますが、コミュニケーション能力は最初からなくてはならない要素ですね。
よく分かりました。さて、いよいよ最後のエグジットの局面に入ります。ここでの具体的な業務と、御社の特徴についても教えてください。
山崎
エグジットには、これも大まかに3つの類型があると考えています。まずは、パブリックマーケットを使って個人も含めた一般投資家に株式を売却するケースですね。次に、M&Aなどで他の企業に保有株式を買い取ってもらうケース。3つ目は、リキャピタライゼーションなど様々な名前で呼ばれますが、株式を投資先企業に買い戻していただくケースです。インテグラルでは、そのいずれの場合でも投資先の会社で働く役職員の方にとって最良のパターンは何なんだろうということを非常に重視しています。

例えばTYOという投資先のエグジットでは、理論上は他の事業会社に売却した方がコントロールプレミアムを考慮すると高値が付く可能性が高かったのですが、マネジメントの方々が独立を維持することを非常に重視していたので、市場へのオファリングという形ですべて一般株主に売却しました。市場売却の際には株価にディスカウントが発生しますので、この案件、その瞬間だけを見ればリターンの最大化は出来ていない可能性があるわけですが、我々は全オプションを比較して1円でも高く売ることだけを個別案件で追求する、というファンドではありません。結局自分たちの金儲けのためだけか、と投資先企業や潜在的な投資先企業に思われてしまっては誰も相談したいと思わないでしょうし、次の投資に少なからずダメージを与えます。資金を出していただいている投資家の方々にも、こうした我々のフィロソフィーをしっかり説明しご納得いただいた上で、投資先企業の皆さんのことを最優先に考えたエグジットを行っています。
ありがとうございます。ファンドレイズから投資、バリューアップ、エグジットに至るPEの仕事について、理解を深めることが出来ました。それでは最後に、この業界、あるいは御社へのアプライをご検討されている方々にメッセージをいただけますでしょうか。
山崎
私が企業買収に関わるようになって13年ほどになります。振り返れば、1990年代後半にスタートされたユニゾンキャピタルさん、アドバンテッジパートナーズさん、MKSパートナーズさんが御三家と呼ばれていた日本のPEの黎明期があり、その後リーマンショック前後で業界全体として挫折を経験したりもしました。今はまたそこから回復して伸びてきている状況であり、ファンドを活用して会社を良くするという成功事例が積みあがってきたことで、そうした手法が一般にも徐々に認知され始めてきているのを感じます。特にこの数年は案件数も増えてきていますし、長い時間をかけて日本でもようやくPEがひとつの産業、社会インフラとして定着する可能性が高まってきているのかなと思っています。PEを確固たる産業にする、そのプロセスを一緒に歩んでいきたいと思う方にとって、インテグラルは手前味噌ですが投資先思いの素晴らしい仲間がそろっているファンドだと思いますので、ぜひメンバーの一員になってほしいですね。
本日はお忙しい中、ありがとうございました。

※インタビュー内容、所属、タイトル等はすべて取材当時のものであり、現在と異なっている場合がございます。

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企業プロフィール

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投資先経営陣とハートのある信頼関係を構築することを最重視し、長期的視野に立った投資を行うことで日本企業の改革と発展を促進する独立系PEファンド。投資後は『経営と同じ目線・時間軸』をもって投資先企業とともに歩み、企業価値向上に向けて経営・財務の両面でのサポートを行う。これまでにスカイマーク、アデランス、イトキン、QBハウスなどへの投資実績がある。

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