PEファンドを志望する人々を支援するときによく質問されるのは、選考対策は何を勉強すればよいか?というものです。必要なことは幾つかあるのですが、皆さんが最も気にしているのはLBOモデル試験です。その準備のためにモデリングやバリュエーションなどの勉強が必要だと多くの方々が心配しておられます。もちろん、これらは必要で、応募前に勉強していないことは論外です。ただ、PEファンドで活躍している人々を見ていると、モデル作成スキルなどファイナンスの知見はあくまでこの仕事をするためのベース・スキルで、他にも必要な能力があります。
投資後に取り組むこと
PEファンドは、投資を実行した後、投資先企業をハンズオン支援して企業の価値を高めていきます。特に、ミッドキャップ、ミッド・スモールキャップのPEはその傾向が強いです。投資して終わりではなく、投資後にやることがたくさんあるのです。
これまで私が何人ものPE投資担当者からお話をお聞きしていると、共通していることがあります。それは「投資後は、まず投資先の現場へ足を運んで役職員の人々とじっくりと話をした」というものです。ある人は工場へ足しげく通い、ある人は数百人の社員全員と面談し、ある人は1ヵ月以上かけてこれまでの会社の歩みを聞いて理解していったとのことでした。
投資先の現場に足を運ぶ理由
念のために申し上げておくと、別に彼らは現場が大好きな人たちというわけではありません。投資先企業の現場に足を運ぶのは、その会社を理解するためです。当然、PEファンドは投資検討から実行のプロセスの中で対象企業をかなり深く調査しています。その上で投資の意思決定をしているのですが、事前に行った財務やビジネスの分析などでは把握できることに限界があります。例えば、「なぜ価格改定が進まないのか」「なぜ工場で改善活動が定着しないのか」「なぜ新しい方針に社員が動揺しているのか」といったことまでは事前調査だけでは分かりません。
PEの仕事の面白さ
PEファンドも投資家です。投資先候補の情報を集め、有望な投資先に良い条件で投資をすべく日々活動しています。ただし、一般的な投資家と異なって投資後は対象企業の経営に関与します。投資先のハンズオン支援に入ると、金融投資家の理屈だけでは会社の改革を行って企業価値を高めることはできません。経営者と同じ視点で考え、社員と同じ空気を感じて、そのうえで投資家として求められる判断をしていきます。この投資家の立場と、経営者としての立場を行ったり来たりすることが、この仕事の難しさであり、面白さです。あるPEの投資担当者は「PEの仕事は大変だけれど、自分がオーナーで起業する以外では、最も面白い仕事だ」と話していました。
会社を見る力
このようなPEファンドの仕事を目指すのであれば、LBOモデルをはじめとしたファイナンスを学んでおくことは当然ですが、それだけでは十分ではありません。ファイナンスの知見を修得するとともに、会社そのものを見る力も磨いておくべきです。
PEのプロフェッショナルは、投資先の人々に向き合って会社を深く理解することで、誰もが気づかなかった課題を見出して、それらを解決しています。ハンズオン支援を重視するPEファンドを目指すのであれば、ファイナンスだけでなく、会社を見る力を意識して磨くことをお勧めします。
アンテロープキャリアコンサルティング株式会社
取締役 山本恵亮
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<著書>
コンサルが「次に目指す」PEファンドの世界
<動画>
・PIVOTインタビュー
コンサルが「次に目指す」PEファンドとは?
<コラム>
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- 【経歴】
同志社大学商学部卒。大手人材サービス会社にて金融とIT業界を担当後、渡米。在米のコンサルティング会社で、人材採用支援、人事コンサルティング、そして新規事業の立ち上げを事業開発マネージャーとして推進し、北米での事業拡大に貢献。2004年4月アンテロープ参画、翌年同社取締役。PEファンド(バイアウト)を中心に、VC、M&A、コンサル、投資先企業の経営人材、また組織立ち上げ期におけるコアメンバー採用の支援も強み。1級キャリアコンサルティング技能士。
【担当領域/実績】
専門はPEファンド(バイアウト)、VC、エンゲージメントなど投資ファンド、投資先の経営人材など。20年のエージェント経験で培われた層の厚いネットワークを有し、業界トップから新鋭企業まで数百名に及ぶ転職を支援してきた。水面下で流通する求人案件の提案から、選考対策、希望職種の明確化も含め丁寧な支援を行っている。













