これから経理に求められるスキルとキャリアアップの注意点
「バックオフィス」に分類される経理。国際会計基準の変遷や、M&A(企業の合併・買収)における経理業務の複雑化、事業再構築の一環としてのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)など、さまざまな変化が訪れている分野です。
金融業界で経理のプロフェッショナルとして活躍したい場合はどのような点を心がけるべきなのでしょうか。これから経理に求められるスキルをはじめとして、日系金融機関および外資系金融機関を目指す際の注意点などについて解説します。
経理の役割と目的
企業内の活動のうち“お金”に携わるのが経理です。資金の流れを把握し、月単位・年単位で記録するのが経理の主な役割です。仕事内容は業界によっても異なりますが、具体的には収支バランスの計算、出入金管理、帳簿づけ、伝票整理、監査法人対応、フロントオフィスとの折衝などがあります。少数で運営しているファンドなどでは、投資家向けのレポーティング等のミドルオフィス的な業務に携わることもあるようです。
経理と似たような部門として「財務」があります。同じ系統の仕事に分類されることもあり、求められている知識にも共通した部分が多くありますが、過去と現在のお金を扱う経理は職人に近く、未来のお金を考える財務はもっと経営者寄りの仕事といえます。
一般的に経理は“つぶし”が効く仕事の1つと考えられていますが、こと金融業界における経理は専門性が高く、広く深い知識が求められる傾向があるようです。事務能力やPCの高度な使用経験が必要なのはもちろんですが、同じ金融への転職であれば即戦力として高く評価されるでしょう。
経理を取り巻く環境の大きな変化としては「会計基準の国際化」があげられます。今まで各国の会計基準はそれぞれ異なるものでしたが、現在は日本、EU、アメリカの間で国際会計基準審議会(IASB)が策定した国際財務報告基準(IFRS)への統一が大手企業を中心に徐々に進んでいます。
日本では今のところIFRSは任意適用となっており、上場会社では住友商事や丸紅、ソフトバンクなどが適用しています。しかし将来的には諸外国と同様に強制適用されることが予想されているため、国際財務報告基準との違いが少なく米国会計基準にも対応できる米国公認会計士(USCPA)の資格保持者や、米国会計基準(US-GAAP)の知識を持つ人が求められるようになっていくと思われます。
日系金融機関へのキャリアアップ
日系金融機関で働く魅力のひとつとして、外資と比べて雇用が安定している点があるのではないでしょうか。繁忙期はもちろんありますが、比較的ワークライフバランスは保たれており、じっくりとキャリアを形成したい人に向いています。職人気質の部門であるため、まったくの未経験で採用されることは、新卒を除くとほとんどありません。同業出身の即戦力人材や会計関連の経験が長い有資格者を採用するケースが多いようです。
なお、外資系と比べるとグローバルではないと思われがちですが、金融業界ではステークホルダーが国をまたいでいる場合が多く、英語で電話やメールをする機会が少なくありません。日系企業で経理の基礎をじっくり学びながら語学力を鍛え、外資系企業に転職するという人も珍しくありません。
外資系金融機関へのキャリアアップ
外資系金融といえば、非常に高給である一方で経済状況が悪くなればすぐにリストラされる…と思われがちですが、それはフロントオフィスで働く場合のイメージで、バックオフィスである経理の雇用環境は比較的安定しています。確かに外資系金融機関は本国の意向によって大規模な改革が行われることが多く、突然部署がなくなってしまうということもあり得ます。しかし、経理は企業活動において欠かせないことから、その中でも最後まで維持される部門といえるでしょう。英語力が求められるのはもちろんですが、最近は国際会計の知識や経験が求められており、USCPAの資格を持つ人などは活躍できるでしょう。
事業会社からの転職は?
事業会社から金融機関へ転職する場合ですが、即戦力として活躍するための基本的な経理経験に加え、管理会計やリスク管理業務などの経験があれば高く評価される傾向にあります。
金融機関の運営は非常に複雑化しており、経理として求められるレベルも高めです。事業会社では、規模によっては事務職が経理、会計、財務業務などを一括して行うことがありますが、このレベルでは専任ではないため基本的に業務未経験とみなされます。まずは事業会社の経理部門でしっかりと経理業務の基礎を学んで、それから金融機関を目指すというキャリアプランが現実的です。
経理から管理職を目指すには
経理職では、経理主任を経て経理・財務部長というキャリアパスが一般的です。管理職になる場合、経理や金融の知識と同等かそれ以上に「マネジメント経験」が重視されます。将来的に金融機関の経理プロフェッショナルとして活躍したい人は、30代のうちから部下への指導やプロジェクト管理などのスキルを伸ばすようにしましょう。
おわりに
金融機関における経理職は非常に専門性が高い職業です。経理業務そのものの経験はもちろんですが、USCPAやUS-GAAP、IFRSの知識などがあれば人材マーケットでの評価はさらに高くなるでしょう。また英語力があれば、日系・外資系を問わず活躍できキャリアの幅は大きく広がるはずです。
経理への転職
経理への転職をお考えなら、アンテロープにお任せください。
あなた専任の実績豊富な当社のエージェントが転職活動を強力にサポートいたします。
監修:アンテロープキャリアコンサルティング この記事は、アンテロープキャリアコンサルティング株式会社が監修しています。 コンサル業界・金融業界への転職に役立つ情報を発信しています。 |
関連記事
【経理・財務の求人情報はこちらから!】
以下の求人情報一覧ページもあわせてご覧ください。