コンサルタントの評価はあくまで実力主義
コンサルティングファームにおける人事的な評価・査定は、完全な実力主義です。この傾向は外資系、国内系を問わず共通しており、勤続年数に応じて自動的に役職や給与が上がっていくような年功序列ではなく、会社にもたらした成果、あるいはコンサルタントとしての能力に応じてキャリアアップすることが可能です。
そのシビアな人事評価を指して「Up or Out(昇進するか、さもなくば去れ)」という言葉があるように、一般的な業種における実力主義と比べてもコンサルティングファームでの評価は厳しいものとなっています。ここでは大手コンサルティングファームでの事例を見ながら、コンサルタントがどのように評価され、昇進していくのかを紹介していきます。
コンサルタントの基本的な評価方法について
評価方法について解説する前に、まずはコンサルタントのキャリアパスについて解説しましょう。一般的にコンサルタントの職位は大きく分けて「コンサルタント」と「パートナー」に分けることができます。
コンサルタントとは、一般的にイメージされているとおりのもので、クライアント企業の経営陣に対してコンサルティングを行うポジションです。その中で役割ごとにステージが設定されています。コンサルティングファームによって呼称は異なりますが、情報収集や分析作業などをメインに行う「アナリスト」、課題の特定・検証・提案などを行う「コンサルタント」、これらのメンバーをとりまとめながらリーダーとしてプロジェクトを牽引する「マネージャー」などに分類できます。
一方、一般企業における役員クラスに該当するのがパートナーです。ファームの共同経営者として大きな責任を負うのと同時に、一流企業の経営陣に対して強固な信頼関係を築きプロジェクトを獲得するという営業面でのノルマも課せられます。自社のコンサルタントの教育を行うのも重要な仕事です。
ほとんどのコンサルティングファームでは、コンサルタントは年に数回、定期的にパートナー陣から評価・査定されます。具体的な方法はファームによって異なりますが、査定会議においてパートナーから「上の役職に就くために必要な能力がある」と判断されると、プロモーションが決定します。役員クラスのメンバーが一堂に会して部下を昇進させるか否かを決めるというスタイルは、コンサルティングファーム以外にはあまり見られません。
【具体事例】野村総合研究所の評価制度
まずは大手国内系ファームの一角である野村総合研究所(NRI)におけるコンサルタントの評価・査定事例を見てみましょう。NRIのキャリアステージは総合職・専門職・上級専門職と分かれており、業務の達成度合いによって飛び級が認められています。また、NRIの特徴的な評価方法としては「C&A (Challenge&Act)制度」が挙げられます。社員の自主性と個性を尊重する制度で、能力だけで評価するのではなく、上司とのコミュニケーションを重視する方法です。自ら目標を立て、上司から指導を受けつつ目標の達成を目指し、半期ごとにその度合いを確認、評価します。人事評価としての機能以外に、能力開発の側面も併せ持っているのが特徴です。
【具体事例】マッキンゼーの評価制度
次に戦略系コンサルティングファームの名門、マッキンゼーの評価システムをみてみましょう。世界最高峰のファームとも称されるマッキンゼーでの評価・査定方法には徹底した「成果主義」がみられます。何年在籍したかは関係なく、何を成し遂げたのかによって評価が決定するのが特徴です。ひとつ上の役目を果たす能力があると分かれば、年次に関係なく昇進が決まります。実際、30代でパートナーにまで登りつめる強者も存在します。
ただし、昇格すればするほど要求されるレベルも高くなります。昇進後の新たなチャレンジに対し、これに応えることができなければ、より厳しい評価が下されます。成果を出せない状態が続くようであればコンサルタントはマッキンゼー以外の選択肢を探さなければなりません。常に成長が求められるコンサルティング業界においても、ここまで「Up or Out」を意識させられるファームは見当たらないかもしれません。
Up "and" Outという選択肢も
実力主義のコンサルティングファームでは、年齢や勤続年数に関わらず成果をしっかりと出すことができれば若くしてキャリアアップをすることができます。役職に応じて得られる報酬もどんどん増えていくため、チャレンジングな環境で自分をストレッチしたい人にとっては非常に魅力的な環境です。
また最近は、ファームの経営や人材教育を行うパートナーになるよりも、現場でコンサルタントとしての経験をもっと積みたい、専門性を磨きたいという人が「Up and Out(昇進して、去る)」という選択肢を取るケースも増えてきました。ある程度の役職に就いたら他のファームへ転職して、再びコンサルタントとして自己の成長に励むというスタイルです。転職が当たり前のように行われているコンサルタント業界ならではのキャリアパスと言えるでしょう。
コンサルティング業界への転職
コンサルティング業界への転職をお考えなら、アンテロープにお任せください。
あなた専任の実績豊富な当社のエージェントが転職活動を強力にサポートいたします。
監修:アンテロープキャリアコンサルティング この記事は、アンテロープキャリアコンサルティング株式会社が監修しています。 コンサル業界・金融業界への転職に役立つ情報を発信しています。 |
関連リンク