投資先企業の成長ステージについて
ここ数年で、スタートアップ企業への投資額が大きく伸びています。その背景には、テクノロジーの進化により既存産業へのイノベーションが進んでいることが挙げられます。また、研究の成果や技術の発達により、大学発ベンチャーの数も大きく増えています。
そうしたスタートアップの成功例として、フリーマーケットアプリ開発運営会社であるメルカリが挙げられます。2018年、メルカリは東証マザーズへ上場しました。会社設立から3年で時価総額は1000億円を超え、5年でIPO、上場当日の終値ベースでは時価総額7000億円を超えました。今後成長が期待される新たなユニコーン候補として、Preferred NetworksやSansan、Spiber、パネイル、freeeなど大きなスケールを遂げている企業が次々と誕生、成長しています。
そうした企業に投資を行うベンチャーキャピタリストにとって「投資先候補企業が、現在どの成長ステージにいるのか?」ということは投資判断においてとても重要です。0→1のフェーズで投資を行いキャピタリスト自身が創業メンバーに近い立場でビジネスの立ち上げにコミットするケース、あるいはミドルステージで爆発的な拡大を目指し経営・マーケティング・販売営業などの戦略立案~実行に尽力していくケースなど、投資先候補の成長ステージよってVCの果たす役割も変わってきます。VCで一般に使われている「投資ラウンド」を知ることで、そのベンチャー企業がどの段階のステージにいるのかを理解することが出来ます。投資ラウンドというのは、投資先企業がどのような成長段階にあるかを端的に表し、理解しやすくするためにシリコンバレーで生まれた考え方で、最近は日本でも頻繁に使われるようになってきています。文脈により多少の違いはありますが、基本的には5つのステージに分けて認識されていますので、以下で解説していきたいと思います。
シード:起業前の段階(調達額は数百万円)
シードは起業前の段階を指します。創業チームが集まりビジネスモデルが固まっているだけで、法人は設立前であり、商品やサービスのプロトタイプを開発しているような段階が該当します。この段階ではビジネスプランやピッチ資料を練り上げ、エンジェル投資家、場合によっては家族や友人知人へプレゼンを行い、比較的少額の資金を調達します。
アーリー:起業直後の段階(調達額は数百万円)
アーリーは起業してすぐの段階を指します。ビジネスに着手し始めた段階で、軌道に乗せるために様々な改善・実行を繰り返す段階です。まだマネタイズが出来ず赤字経営の状態であることが多く、資金調達のパイプ確保が非常に重要になりますので、ビジネスプランの実現可能性をVCへ強くアピールする必要があります。このころから、資金の出し手には銀行や行政からの助成金なども加わってきます。
シリーズA(ミドル):事業の本格的なスタート段階、市場確保前(調達額は数千万円)
シリーズAは商品やサービスをリリースし、マーケティング戦略も整えて世の中へ広めていく準備が出来ている段階を指します。フロント・ミドル・バックと会社の組織体制構築のために人材も増えていく時期になるので、必要な資金も増え、調達額としてはおおよそ数千万円程度が目安となります。
シリーズB(ミドル):事業が軌道に乗り一定の市場を確保、さらに成長させる段階(調達額は数億円)
シリーズBは商品やサービスが軌道に乗り始め、売上や組織をより大きくする時期を指します。各部門でさらに人材確保が必要になり、また事業の黒字化の達成も必要になるタイミングです。調達額も億単位になるため、複数のVCや銀行を組み合わせながら調達していくことになります。IPO時期の目途も具体的に検討していくフェーズです。
シリーズC(レイター):黒字化、経営安定期、IPO/M&A前(調達額は数億~数十億円)
シリーズCは確立されたビジネスのさらなる拡大のため、海外進出やM&A、新規事業開発などを成長戦略に組み入れます。また、IPO実現のために企業の内部環境もさらに整備する必要があります。これまで以上に大きな資金を必要とする段階です。
これら各ラウンドによって、キャピタリストに求められる役割も変わってきます。シード/アーリーであれば、キャピタリスト自身も起業家精神を発揮し、自社プロダクトの改善、追加資金調達、組織構築などについて起業家と議論を重ねたり、ともに手を動かしたりします。また、挫けそうになる起業家を励まして一緒に前を向くようにメンタル的なサポートも行います。
一方で、シリーズA~Cでは、経営コンサルタントのような事務面でのサポートがより重要になります。1を10に拡大させるために何をどうするべきか? といったような経営戦略立案から実行、改修をサポートしていきます。投資先のビジネスの成長度合いが世間の反響や指標とする数値によって実感できようになり、Exitという着地点も意識し始めます。会社の成長・拡大の角度とスピードが、サポートしているキャピタリストの手腕次第で大きく左右されることになります。
ベンチャーキャピタル(VC)への転職
ベンチャーキャピタル(VC)への転職をお考えなら、アンテロープにお任せください。
あなた専任の実績豊富な当社のエージェントが転職活動を強力にサポートいたします。
監修:アンテロープキャリアコンサルティング この記事は、アンテロープキャリアコンサルティング株式会社が監修しています。 コンサル業界・金融業界への転職に役立つ情報を発信しています。 |