コンサルティングファーム卒業後の大手事業会社は王道パターン
コンサルティングファーム卒業後のキャリアパスとして大手事業会社に入社するというのは、以前からの王道パターンです。そして、実際にコンサル経験者がさまざまな成果を創出してきたことで、近年は事業会社側もコンサルタント経験者を高く評価し、積極的に採用するようになっています。
コンサルタントから大手事業会社への転職を検討しているユーザーに対して、メリットやリスクなど、改めて心に留めておきたいポイントと、実際にコンサルティングファームから事業会社への転職をなされた方の事例をご紹介します。
コンサルタントから大手事業会社に転職する3つのメリット
プロフェッショナル人材がCxOとして事業会社に転職する際には、どのようなメリットが期待できるでしょうか。いくつかのポイントを見ていきたいと思います。
●メリットその1「規模の大きなプロジェクトを自分でドライブできる」
「考え抜いて作り上げた戦略を、実際に自分の手でドライブしてみたい」というのは、コンサルタントであれば多かれ少なかれ誰でも抱く思いでしょう。プロフェッショナルファームから実業の世界に飛び出す、というのは一人称でビジネスを行う立場になるということと同義です。
さらにそれが大手事業会社であれば、ビジネスの規模は時として業界全体、あるいは日本社会にまで影響するような大きなものになる可能性があります。非常に濃密なビジネス経験を得られる環境であると言えます。
●メリットその2「多彩な事業フィールドで勝負できる」
立ち上げ間もないベンチャー企業は、ほとんどの場合軸となる一つの事業で戦わなければなりません。
しかし例えば楽天が「楽天市場」事業以外にも、トラベル事業、銀行事業、証券事業、通信事業など、多角的にビジネスを展開しているように、大手になればなるほど、事業フィールドは広がっていきます。巨大なプラットフォームを生かしたダイナミックな経営にチャレンジすることが可能です。
●メリットその3「ワークライフバランスがとりやすい」
数ある職業の中でも特にハードワークといわれているコンサルタント。体力的に余裕のある若手のうちはともかく、結婚、出産といったライフイベントを迎えるころには、それまでよりも「安定した雇用」や「家族と過ごす時間」を大事にしたいという気持ちが芽生えてもおかしくはありません。
大手企業は労務管理もしっかりしているので、毎日明け方タクシー帰り、という日々に比べればゆとりのある生活が送れるようになるはずです。
事業会社への転職時、注意すべき3つのリスク
事業会社に転職するメリットについて、3つの要素を紹介しましたが、逆にデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。大手企業におけるリスクについてまとめてみました。
●リスクその1「職位レベルがいったん下がる」
コンサルタントの1年は事業会社の3年に相当する、と言われることがあります。確かにコンサルタントは1週間かかる仕事を2日で終わらせるような猛烈な働き方をしますし、それに伴い(実力があれば、ですが)どんどん昇進していきます。
新卒7年目くらいにもなれば、クライアントの部長、役員クラスと対等に話をすることになります。
しかしこのタイミングで事業会社に移った場合、同年代の出世頭にあわせても良くて課長クラスどまり、ということになる可能性があります。給与等の処遇面も仕事内容もスケールダウンしたところからスタートし、改めて社内で頭角を現していく必要があります。その先の出世スピードに関しても、コンサルのような「飛び級」が実現することはまれでしょう。
●リスクその2「異動、転勤の可能性がある」
大手事業会社に正社員で入社し長く働くとなれば、部署の移動や勤務地の変更の可能性はなくなることはありません。専門性を追求していきたいというキャリアの志向性をお持ちの方にとっては、将来の人事がリスクになるかもしれません。
リスクその3「よくも悪くもその会社独自のルールがある」
事業会社のなかでも長い歴史を持つ大企業の場合、その会社独自のルールや慣習を少なからず持っていることがあります。合理的・論理的な思考が身にしみついているコンサルタントにとっては、それらの不文律を窮屈に感じることも多いようです。
こうした部分は外からは見えないことも多く、理想通りの魅力的なポジションに飛びついて転職してしまうと、入社後に思わぬストレスを感じることもあります。
おわりに|コンサルタントからの転職事例
コンサルタントと事業会社における最大の違いは、視点の位置にあります。クライアントのそばに立って経営支援を行うコンサルタントは、事業を「三人称」の視点で見つめますが、それらを実行していく事業会社にとっては「一人称」での出来事です。同じフィールドに立って同じ顧客を見ていても視点がまったく異なります。
大手企業への転職は数多くのメリットがあります。コンサルタントで培った専門的知識やマネジメント経験をそのまま生かすこともできるでしょう。しかし、この視点の変化には多かれ少なかれギャップを感じることになります。
成功する経営の構造をつかむことに興味があるのならばコンサルタント、戦略から実行まで自分ごととして幅広く関わっていきたいのならば大手事業会社、自分が経営のどこに魅力を感じているのかを改めて見つめ直してみましょう。それが転職成功の近道となるはずです。
最後に、アンテロープキャリアコンサルティングを通じてコンサルティングファームから事業会社への転職をされた方の実例を紹介します。
今後のキャリア形成で悩まれている方は是非参考にご覧になってみてください。
関連リンク
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リンク:大手総合系コンサルティングファームから欧州系商業銀行への転職をされた事例(30代/男性)
監修:アンテロープキャリアコンサルティング この記事は、アンテロープキャリアコンサルティング株式会社が監修しています。ハイクラス人材の転職に役立つ情報を発信しています。 |