アメリカのベンチャーキャピタルについて
アメリカのVCの起源は1920年代から1930年代にまで遡ります。当時は裕福な個人がEastern AirlinesやXeroxなどのような会社に直接投資をしていた時期でした。その後、1946年に初めて組織的に設立されたVCが誕生します。誕生の背景としては、何かしら潜在的な技術があり、それを開発できる優秀な技術者も集まっているにも関わらず開発を続ける資金がないという状況がシリコンバレー付近で頻繁に発生していたことにあります。VCが現在とほぼ同じような業態に定着したのは1970年代と言われており、2000年代に入ってより一層発展していきます。なお2017年においては、年間を通じて約720億ドル(約8兆円)の投資がVCによって行われたといわれています。
著名なVCのひとつに、アンドリーセン・ホロウィッツというVCをがあります。WebブラウザのNetscapeを開発・創業し、ネット界の天才と呼ばれたマーク・アンドリーセンと、ラウドクラウドやオプスウエアなどの会社の設立から経営までを行ってきたベン・ホロウィッツの2人がパートナーとなって2009年に設立した、今も米国を代表するVCです。2009年にSkypeに投資をし、2011年には8億ドルをTwitterに、その他Airbnbなどにも投資を実行し、多額のリターンを実現しています。
またペイパルの創業者でもあるピーター・ティールは、2002年にペイパルをeBayに売却したのを機に、クラリウム・キャピタル、ファウンダーズ・ファンド、バラ―・ベンチャーズ、ミスリル・キャピタルなど、数々のVCやヘッジファンドを設立しました。彼は初期のフェイスブックへ50万ドル(約5500万円)を投資し、なんと約10億ドル(約1100億円)のキャピタルゲインを得たと言われています。
厳密にはVCではありませんが、フェイスブックによるインスタグラムへの投資はもっとも成功したベンチャー投資事例かもしれません。フェイスブックは2012年にインスタグラムを10億ドル(約1100億円)で買収しています。その当時インスタグラムはごく簡単な写真加工アプリに過ぎず、使用できるデバイスもiPhoneのみでしたが、それから6年経った2018年時点のブルームバーグレポートによれば、インスタグラム単体の評価額は1000億ドル(約11兆円)と推定されており、買収額の100倍にまで成長しています。親会社のフェイスブックを上回るペースでの利用者数の伸びなどが見られ、ベンチャー企業の歴史的成功例としてみることができるかもしれません。
米国はVCが誕生した場であり、現代でも世界中のベンチャーキャピタリストの中心的な活躍の場にもなっています。米国という起業家精神(アントレプレナーシップ)の根づいた社会、そして多民族により構成されており移民などハングリーな人も多いというような背景から、VCは米国社会に深く根付いているのでしょう。様々な障壁もありますが、成功すれば莫大なリターンを得られるという、まさしくアメリカンドリームを体現した事業形態でもあるのです。
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監修:アンテロープキャリアコンサルティング この記事は、アンテロープキャリアコンサルティング株式会社が監修しています。 コンサル業界・金融業界への転職に役立つ情報を発信しています。 |