転職市場概況(金融、コンサルティングファーム)

2009-10-20 執筆者:山本 恵亮

サブプライムローンに端を発する経済危機の影響を受けたリストラ一辺倒の転職マーケットのトレンドも、徐々に冷静さを取り戻しつつあるように感じます。リーマンショック以降の数ヶ月間は外資系金融機関を中心にとにかく新規の採用は凍結するという一方的な動きが目立ちましたが、ここ1、2カ月は必要な人材補充は厳選して行うというケースが散見されるようになっています。経営コンサルティングファームの方々にお聞きしましても、新たなプロジェクトの引き合いが増え始めているというご意見を、頻繁に聞くようになりました。

人材募集状況の概要は、PEについては(個別企業間の差が大きいですが)いくつかの会社では各社毎のニーズに従って多様な人材の募集があり、投資銀行においても疎らではありますが厳選した選考が様々な部門で発生しています。また、潜在的なニーズをご相談頂くことも次第に増え始めております。マネジメント系職種に目を移しますと、戦略コンサルティングファームのうち数社では積極的に選考が行われており、また、経済環境を反映しているのか企業再生支援に特化したファームではここぞとばかりに優秀な人材を集めております。他にも、新規ファームの設立に続く立上メンバーの募集も出てきております。

この転職市場に日々接する中で感じることは、同じ業種の中でも採用ニーズの有無や強弱の差がはっきりとしてきたことです。厳しい経済環境下では、お客様や社会からの信頼を積み重ねていることにより、厳しいながらも継続して仕事が集まり経営が底支えされ、更には変化の時期であることがむしろチャンスになっている会社と、そうでない会社の差がはっきりとしているのでしょう。多少横着な言い方をすれば、良い会社と、そうでない会社の差が明確になっているという側面があるのだと思います。良い会社については機会を改めて述べたいと思いますが、社会から必要とされている良い会社へ、志ある善良で優秀な皆様のキャリア展開をご支援することが我々キャリアコンサルタントの使命であると思います。

取締役山本 恵亮 / Keisuke Yamamoto
【経歴】
同志社大学商学部卒。大手人材サービス会社にて金融とIT業界を担当後、渡米。在米のコンサルティング会社で、人材採用支援、人事コンサルティング、そして新規事業の立ち上げを事業開発マネージャーとして推進し、北米での事業拡大に貢献。2004年4月アンテロープ参画、翌年同社取締役。PEファンド(バイアウト)を中心に、VC、M&A、コンサル、投資先企業の経営人材、また組織立ち上げ期におけるコアメンバー採用の支援も強み。1級キャリアコンサルティング技能士。

【担当領域/実績】
専門はPEファンド(バイアウト)、VC、エンゲージメントなど投資ファンド、投資先の経営人材など。20年のエージェント経験で培われた層の厚いネットワークを有し、業界トップから新鋭企業まで数百名に及ぶ転職を支援してきた。水面下で流通する求人案件の提案から、選考対策、希望職種の明確化も含め丁寧な支援を行っている。