勝負をかけるタイミング

2013-03-29 執筆者:山本 恵亮

今年は桜の開花も早く、もう春めいてきました。新年度を迎え、ご自身のキャリアを改めて考え始める方々も多い様で、ご相談が大変多い日々が続いています。

弊社は、求人の取り扱いが「投資銀行・投資ファンド」「経営コンサルティング」「事業会社のマネジメント職」といった専門領域であるため、コンタクトいただく皆様もキャリアビジョンを明確にお持ちであることが多く、また私達もビジョンを明確にした上で、その実現のための目標を設定することを推奨することが多いです。

ただし、これは転職活動を開始するにあたっては大切なことですが、将来のキャリアを考えるにあたっては、常に当てはまるということではないと思います。

まず、自分にとってやりたい仕事、なりたい自分は何か、ということを考え求め続けることは、大変重要です。また同時に、現在の仕事に直結しないことでも興味を持ったことにいろいろと首を突っ込んでみる、といった行動も大切だと思います。その時には何の役に立つかわからないことでも、いろいろと学び経験したことが、後になって振り返れば結果的に役に立っていた、ということはあります。

スティーブ・ジョブズも、大学を中退した後に興味本位で聴講したカリグラファーのクラスでの学びが、その後マッキントッシュ・コンピューターを設計する時になって蘇ってきた、と述べています。それが美しいフォント機能を持った世界初のコンピューターの開発につながり、パソコンの歴史を変えることになったのです。そして「先々のことまで読んで点と点を繋げたのではなく、振り返ってみると繋がっていた」、「バラバラの点であっても将来それが何らかのかたちで必ず繋がると信じなくてはならない」とも述べています。

転職活動においては、ビジョンとそれに向かう目標を設定することは希望職種を考える上では大切で、且つ、理解されやすい志望動機にも繋がります。ですから、この視点で考えを整理することは必要です。

ただし、時には「信じて」寄り道をすることも必要なことがあると思います。そして(転職活動を開始するような)行動を起こす段階になり、振り返ってみた時に、歩んできた道と寄り道が繋がっていることに気づき、それが自分にとって自信となり、その自信が自らの思いに魂を吹き込むことに繋がるのではないかと思います。

その様な時こそ、勝負をする時ではないでしょうか。

取締役山本 恵亮 / Keisuke Yamamoto
【経歴】
同志社大学商学部卒。大手人材サービス会社にて金融とIT業界を担当後、渡米。在米のコンサルティング会社で、人材採用支援、人事コンサルティング、そして新規事業の立ち上げを事業開発マネージャーとして推進し、北米での事業拡大に貢献。2004年4月アンテロープ参画、翌年同社取締役。PEファンド(バイアウト)を中心に、VC、M&A、コンサル、投資先企業の経営人材、また組織立ち上げ期におけるコアメンバー採用の支援も強み。1級キャリアコンサルティング技能士。

【担当領域/実績】
専門はPEファンド(バイアウト)、VC、エンゲージメントなど投資ファンド、投資先の経営人材など。20年のエージェント経験で培われた層の厚いネットワークを有し、業界トップから新鋭企業まで数百名に及ぶ転職を支援してきた。水面下で流通する求人案件の提案から、選考対策、希望職種の明確化も含め丁寧な支援を行っている。