公認会計士のキャリア・ディベロップメント ①

2009-10-23 執筆者:山本 恵亮

弊社では数多くの公認会計士の方々のご転職を支援させて頂いております。多くの方々が、会計の専門家としての知識・経験を基に、様々な分野へのキャリア・アップを実現されています。具体的な事例を挙げますと、PEでの投資プロフェッショナル、投資銀行でのM&Aアドバイザー、財務アドバイザリー会社でのコンサルタント、企業再生の現場でのターンアラウンドマネージャー、経営コンサルタント、等の金融や経営のフロント職から、証券会社の引受審査や経理部門等のミドル・バックのプロフェッショナルまで、それぞれのご志向によって(並びに実務経験等にもよって)多岐にわたる道へ次のキャリアを展開されています。以下、今回は監査法人から初めて転職をされる方を意識して記載します。

多くの会計士の方々は、同年代の若者が自由な学生生活を謳歌している頃から、ご自身のキャリアに向き合い、勉強し、難関の試験に合格し、監査業務に従事されています。それだけに、意識が高く真摯な方々が多いように感じます。転職理由も、「監査という受身の仕事から、自らビジネスを推進し顧客から感謝されるような仕事をしたい」、「もともと経営に興味があったので、会計士になった。将来プロのCFOにつながる仕事をしたい」、「会計士の専門性を基礎として、金融の世界で自分の専門性をより高度化したい」といったしっかりとしたものが多いです。他方、就職活動を経験したことが無い為、上記の様な志を抱き、いざ転職を意識しても何をどうしてよいかわからない、といったご相談が多いのも特徴です。

それでは、転職に成功する公認会計士とはどういったタイプの方が多いのか、少し述べたいと思います。主なものを一つ申し上げますと、「監査の経験+α」をお持ちの方です。この+αは特別なことではありません。例えば、外交的でコミュニケーション能力が高い、英語が出来る、特定の業界に詳しい、税務に強い、志望する業務の勉強を相当している等、聞けば何でも無いことですが、これが必要になります。本来、公認会計士という会計の専門性そのものが他者との差別化要因になると思われがちですが、金融や経営の最先端での転職市場では、それだけでは十分ではありません。なぜか。それは、他にも優秀な人々がいるということだけでなく、公認会計士は他の公認会計士と比較されることが多いからです。よって、他の公認会計士と自分を差別化する必要性が出てきます。

転職も含めてご自身のキャリア構築を検討されている公認会計士の皆様は、会計士ということに加えて、ご自身の独自性は何か、強みは何か、ということを自己分析し、それらを修得されるよう努められると良いのではないかと思います。また、志望されるキャリアを構築する為の、より具体的なお話は、キャリアミーティングにて対話させて頂きたいと思います。

取締役山本 恵亮 / Keisuke Yamamoto
【経歴】
同志社大学商学部卒。大手人材サービス会社にて金融とIT業界を担当後、渡米。在米のコンサルティング会社で、人材採用支援、人事コンサルティング、そして新規事業の立ち上げを事業開発マネージャーとして推進し、北米での事業拡大に貢献。2004年4月アンテロープ参画、翌年同社取締役。PEファンド(バイアウト)を中心に、VC、M&A、コンサル、投資先企業の経営人材、また組織立ち上げ期におけるコアメンバー採用の支援も強み。1級キャリアコンサルティング技能士。

【担当領域/実績】
専門はPEファンド(バイアウト)、VC、エンゲージメントなど投資ファンド、投資先の経営人材など。20年のエージェント経験で培われた層の厚いネットワークを有し、業界トップから新鋭企業まで数百名に及ぶ転職を支援してきた。水面下で流通する求人案件の提案から、選考対策、希望職種の明確化も含め丁寧な支援を行っている。